ふじみ野駅東口から歩いて10分ほど、ふじみ野市苗間の古くからの住宅地。通り沿いにひっそりと建つ民家が、イタリア料理店「TAVOLA YASUNO」(ターボラ ヤスノ)の店舗だ。手頃な価格で、本格的なイタリアンが楽しめるとあって、目立たぬ立地でも連日満席の盛況だ。自宅で開業したオーナーの安野豊さん(50)にお話をうかがった。
生パスタ、チーズも自家製
―このお店はいつオープンしたのですか。
安野 3年半前、2019年です。
―イタリアンということですね。
安野 メニューはピザとパスタが中心です。
―食べさせていただいて非常においしいですが、どの辺にこだわりが。
安野 そうですね。パスタは毎朝店で生パスタを作っています。チーズも自家製があります。調味料とかいろいろなものを自分で仕込みで作ったりもします。仕込みにはかなり時間がかかっているかもしれません。
―価格がお手頃です。
安野 値段に関しては原価率から出した適正価格だと考えています。なるべくおいしいものを手軽な価格で召し上がっていただきたい。
―自家農園をお持ちなのですか。
安野 農園と言っても敷地内の畑ですが。他は近くの農家や農協から野菜を仕入れています。
「安野家の食卓」
―店名の「TAVOLA」とは。
安野 イタリア語で食卓という意味なんです。「安野家の食卓」というイメージ。元々レストランの生い立ちは自分の家に人を招いて料理をふるまうかわりにおカネをいただくこと。 その原点に帰った感じです。
―このお店の建物は実家なのですか。
安野 そうです。今でもここに住んでいます。リビングを改装したテーブル席、ソファを置いた洋室、それと和室を客室としています。
―その前からレストランを。
安野 6年ほど前までこの近くでやはりイタリアンの店を出していたのですが、閉めて、北海道にチーズの勉強をしに行き、それから準備をしてこの店を開きました。
―元々飲食に関わっていたということですか。
安野 いいえ。うちは元々祖父の代から電気工事の会社をやっていました。私は途中から飲食の道に入りました。だから調理の学校は出ていません。
おいしいものを食べて喜んでくれるお客さんの顔を見るのが好き
―飲食に入ったのはどうしてですか。
安野 学生の頃から飲食店でバイトはしていたのでその流れで。おいしいものを食べて喜んでくれるお客さんの顔を見るのが好きでした。
―レストランで修業したのですか。
安野 都内のレストラン何軒か。
―特に影響を受けた店がありますか。
安野 西麻布のリストランテ・アルポルトという店でしょうか。
口コミで満席に
―席数は何席あるのですか。
安野 全部で50くらいです。
―住宅地で看板も目立たず、知らないと見過ごしてしまう店です。
安野 ここは住宅街なのであえて看板も大きくは出していないし、宣伝もそんなにしていません。結局口コミで広がっていきます。おかげさまで今でもだいたい満席になります。宣伝しても今のお客さんが入れなくなるので。
クロワッサン専門店
―パンの店を出されたのですか。
安野 7月初めから敷地内にクロワッサン専門店(「TAVOLA BAKERY」)をオープンしました。
―いろいろ大変ではないですか。
安野 大変と思ったことはありません。好きなことをやらせてもらっているだけでありがたいです。
―今後の計画は。
安野 今ベーカリー始めたばかりなので、それを軌道に乗せることです。
(取材2022年7月)