富士見市資料館友の会ふるさと探訪部会主催の第37回ふるさと探訪「鶴馬の湧き水と寺社を巡る」が2022年10月1日(土)開かれました。快晴に恵まれ、約20名の参加者が部会の皆さんの説明を聞きながら、約4㌔の道を歩きました。ややむし暑く、年寄りには坂が多くて大変でしたが、湧き水に癒やされました。
富士見市の鶴馬地区は、武蔵野台地から荒川沿いの低地に下りる境界に位置し、古くから「七沢」、「五戸」と呼ばれた谷状の地形があるように、崖や湧き水が多く見られます。また「八寺」と呼ばれた古寺がありましたが、現存するのは3寺だけで、今回はそのうち来迎寺、瑠璃光寺を訪れました。
谷津の森公園
鶴瀬駅からららぽーと富士見に向かうと交差点右に谷津の森公園があります。古くからの屋敷林で地主の寄付を受け、1993年に開園しました。道路沿いは桜の名所ですが、公園内は急な斜面で、上部には藤棚とあずまやが置かれ、下りると市民緑地となっている深い森があります。湧き水が池になり1672年に建立された弁財天が鎮座します(隠れて見えませんでしたが)。
下鶴馬氷川神社
鶴馬には上鶴馬と下鶴馬(川越に近い方が「上」)の2つの氷川神社があります。下鶴馬氷川神社は下鶴馬地区の産土神で、隣地の横田家が大宮氷川神社から分霊したものだそうです。本堂は1968年に改築。狛犬は台座を合わせて高さ2mあります。
神社と横田家屋敷林は埼玉県の「ふるさとの森」に指定されていました(現在は解除)。横田家屋敷林は広大な自然の森で、オオタカが巣を作っており、今でも見かけるそうです。 この屋敷林は市が買い取り、「御庵の森」として保存・整備することになりました。
来迎寺
天台宗で、川越市古谷本郷の潅頂院の末寺です。開山は不明ですが、鎌倉時代のようです。教育と関わりの深い寺で、江戸時代から寺子屋が置かれ、明治6年(1873)に周辺6村が共同で設立した小学校が開かれました。富士見市初の小学校だそうです。境内の延命地蔵は、少し離れた下郷地区の女人講中60名が享保年間に建立したということです。
来迎の泉
来迎寺の南斜面から流れ出る湧水です。この箇所は平成の造成時発見され、水量が多いです。
尻垂坂
下鶴馬氷川神社から下る坂。昔はもっと急だったそうです。南畑方面の人が荷車を押して上るのが大変で尻が垂れることから名がついた。
延宝の庚申塔
延宝2年(1674)に造立された庚申塔。
諏訪神社
通称「おすわさま」。元禄5年(1692)再建の棟札があり、創建はそれより古い。 8月28日の祭りはにぎやかです。神様が聞き間違えて他の神社と違う日取りになり、「つんぼ諏訪」と言われているそうです。
上鶴馬氷川神社
諏訪神社の隣で、神主が同じ人。明治5年に鶴馬村の村社に指定された。 お祭りは5月1日だがあまり人出がないそうです。
弁財天
神社下には2カ所の湧き水がわいています。昔は水量が豊富で、お祭りの時露店商が水を汲みに下りたそうですが、今は水が減りました。雲居の滝は弁財天の池から流れ出る水が落ちる人工の滝です。弁天様の祠には、とぐろを巻いた白いヘビの弁財天(人頭蛇身)がお祀りしてありましたが、盗難に遭い、まだ見つかっていないとのこと。この湧き水一帯にはホタルが棲息しています。
瑠璃光寺
開山は平安時代の古刹で、2010年に本堂を建て替えました。境内に樹齢500年榧の木が立ち、市の天然記念物に指定されています。明治43年の荒川大洪水では同寺の 山門まで水が来たそうです。