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ゆっくり動いて健康に 楊名時八段錦・太極拳

楊名時八段錦・太極拳(健康太極拳、楊名時気功・太極拳)は、今日本で最も普及している太極拳である。中国出身の故楊名時氏(1924-2005)が、中国の簡化24式太極拳と古来の医療体術である「八段錦」を加え、一般向けの健康体操として考案した。この太極拳の特徴などについて、師範の内山征三さん(川島町在住)にうかがった。

ふじみ野気功太極拳クラブ(富士見市)

ふじみ野気功太極拳クラブ(富士見市)

中国の簡化24式が元、日本向けにアレンジ

―楊名時はどのような人だったのですか。

内山 中国山西省の武門の家に生まれ、幼少の頃から伝統武術を伝授されたようです。

日本に留学して京都大学で勉強。中国の簡化太極拳に独自の工夫を加えて、1960年に楊名時太極拳を完成させました。その後NHKのカルチャーセンターなどにも入り、順調に普及してきました。

―現在は一番普及している太極拳なのですね。

内山 楊名時が始めた頃、日本に太極拳を知っている人はほとんどいなかったようです。今は伝統太極拳もいっぱいあります。楊名時太極拳はNPO法人日本健康太極拳協会によって運営され、ほとんどの県に支部があります。教室の数は数え切れないほどです。

―簡化太極拳は元々中国にあったのですか。

内山 中国では公園などで人々が太極拳をやっているのを見ますが、中国政府が楊家太極拳を元に代表的な型を24に整理統合して制定したのが「簡化太極拳」です。1958年のことと聞いています。これを、楊名時は日本人がやりすいようにアレンジしました。また八段錦は気功です。気功の中の気功。医療体術とも呼んでいます。心身の様々な不調に効果があります。

―体操はどのような内容から成り立っているのですか。

内山 教室でのカリキュラムは、①挨拶、②立禅、③甩手(ソワイショウ)、④八段錦、⑤十字手(宇宙に向かってご挨拶)、それから⑥24式太極拳、⑦部分稽古(1回2つ)、⑧24式太極拳、⑨八段錦、⑩立禅、⑪甩手、⑫挨拶となります。このカリキュラムは本部で統一して進めているものです。

―甩手(ソワイショウ)とは。

内山 腕を振って腰を回転させます。準備運動として、また整理運動として行います。全身に気血をめぐらし、体をリラックスさせます。便秘、肩こり、腰痛予防にもなります。これだけやっても効果があります。

ゆっくりとした動作が交感神経を鎮静化

―楊名時太極拳の特徴は何だと言ったらよいでしょうか。

内山 「ゆっくり動く」ということが、他に例をみない特徴だと思います。体力がなくても、高齢でも、運動神経が鈍くてもできるということです。太極拳でいう「上虚下実」の姿勢で、まずゆっくり動き、足を上げる、体のバランスをとる、体を支える、そうした筋力を作っていく。早く動くと交感神経が緊張し、それがストレスになり、いろいろな障害が出ています。早く動かないということは、興奮することなく、つまり交感神経支配になることなく運動を継続できることにつながり、それによってスムーズな力の伝達と神経の鎮静効果を得ることができます。この双方から受ける血行の促進効果が健康によい効果をもたらすのではないかと言われています。

―実際に効果が得られている例がありますか。

内山 私自身20年ちょっとやっていますが、風邪もほとんどひきませんし、健康診断の数値もよいです。体調が悪いと太極拳をやって調整します。自分の体で体験し、自信をもって人にも進めています。教室に来られている80代の男性は、脳梗塞の他いろいろな病気にかかっておりました。最初は片足立ちでも震えていたが、今はまったくなくなりました。太極拳のおかげと言っています。「継続は力なり」は本当ですね。

―太極拳は武道ではないのですか。

内山 元は武道で、武道から型ができたわけですが、今は武道から離れて、健康太極拳として体調に合わせて楽しみながらやっています。「比べない、競わない」が方針で、大会はみんなが集まってやりますが、その人が気持ちよくできていればよいという考え方です。

太極拳は脳も鍛える

―内山さんはおいくつですか。

内山 今75歳です。

―太極拳を始めたきっかけは。

内山 ゴルフで肩を痛めたのですが、水泳をしたら治りました。そこのスポーツクラブで太極拳の教室があり、始めたら面白くて、はまり、中国にも研修に行きました。太極拳と経絡も勉強し、地元では老人会の人を集めて足裏サロンを開いて楽しくやっています。

―太極拳の教室はどこで。

内山 2009年に師範になり、2010年頃から、富士見市(ふじみ野)と、川島町でやっています。

―内山さんは見た目も若く、元気そうです。

内山 いろいろな趣味をやってきましたが、これだけ長く続いたのは珍しいです。私の身体に合っているのだと思います。私は地元でもいくつも老人会の付き合いがあります。太極拳は次を考えながら意識的な動作を行うので脳も鍛えられます。いくら長生きしても健康でなければいけません。健康長寿が目標です。

―楊名時先生はどんな方でした。

内山 何回かお会いしましたが、なかなかほがらかな人で、みなさんの健康・幸せを願って活動していた人でした。帯津良一先生(帯津三敬病院名誉院長)と仲がよく川越で亡くなっています。帯津先生は今協会の埼玉支部の顧問であり、川越のオアシス(総合福祉センター)で毎年講演会もしていただいています。

(取材2019年2月)

日本健康太極拳協会ホームぺージ 

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