ふじみ野市上福岡でラドン温泉の銭湯だった末広湯(佐原武司氏経営)が、2022年4月、新装オープンした。ラドンの装置は撤去し、炭酸泉、遠赤外線サウナなど今人気の最新設備を導入した。新しい取り組みについて、2代目の佐原直司さんにお話をうかがった。
末広湯は昭和36年創業。今回60年ぶりにリニューアルした。
―今回何を変えたのですか。
佐原 建物はそのままで配管、お風呂関係をすべて変えました。60年たって老朽化していました。
遠赤外線の乾式の80度から90度まで上がる本格的なサウナ
―お風呂が変わったのですか。
佐原 前はラドンが入っていましたが、撤去して、今度は炭酸泉を入れた。炭酸泉も高濃度と超高濃度の2種類があります。サウナも前はスチームサウナといって湿式のサウナでしたが、今度は遠赤外線の乾式の80度から90度まで上がる本格的なサウナです。
―炭酸泉は何がよいのですか。
佐原 血管が拡張するので、血行がよくなります。ヨーロッパでは「心臓の湯」と言われ心臓病に効果があるとされています。
―サウナにはこだわりがある。
佐原 銭湯で遠赤外線を使っているのはなかなかありません。椅子などもSDGSに配慮してすべてヒノキの間伐材を使用しました。それと冷水は以前から地下100mから汲み上げていたのですが、今回チラーユニットという装置を入れ水深90センチで常時14~15度に設定しています。
イラストレーターの「ちゃずさん」の銭湯絵
―他に売りは何ですか。
佐原 軟水に変える機械を導入して水は湯船もカランもすべて軟水にしています。ツルツルで 女性に喜んでいただいている。併設しているランドリーも全部軟水を使っています。
それと銭湯絵。通常は専門の銭湯絵師が描くのですが、ちょっとツテがあって イラストレーターの「ちゃずさん」という方に描いていただきました。とっても楽しい、元気が出る絵です。
―休業日を減らした。
佐原 前は週3回休んでいましたが、今回は月曜日だけ休業にし営業時間も延ばしました。サラリーマンの方が会社帰りにも入れるように。
―料金は。
佐原 統制されており埼玉では今450円です。サウナは300円の追加料金がかかります。
―お客さんの反応はどうですか。
佐原 まだご存知でない方もいるので告知を一生懸命やっているところです。
ラドンを惜しむ声
末広湯では昭和59年からラドン風呂を設置した。ラドン風呂はラドンガスを溶け込ませたお湯に浸かり、また空中に放出されるガスを吸い込むことで健康になるという、ホルミシス効果を狙ったお風呂。ラドン温泉のある銭湯は、以前は各地にあったが、今は少なくなっていた。
―ラドンを惜しむ声もあるのではないですか。
佐原 今でもラドンがないですかと問い合わせがあるのですが、炭酸泉にはやはり負けるかなと。炭酸泉が主流になっていますので。 (取材2022年5月)