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年寄り渋谷でオロオロ散歩

久しぶりに渋谷に出向いた。駅構内が複雑化、再開発ビルが林立、年配者にとってとまどうことばかりだ。多少なじみのある古くからの店舗にも、最近時代の変化を示すニュースが相次いだ。

たまにしか渋谷に行かない人にとって、まず面食らうのが駅の出口だ。私は副都心線からだが、出口表示があまりにも多く、地上のイメージとつながらず、どこから出てよいのかわからない。エスカレーター、通路もやたら長い。

地下鉄渋谷駅構内

西武百貨店

スクランブル交差点から公園通り沿いに建つ西武百貨店。1968年、堤清二率いる西武流通(その後のセゾン)グループが東急の牙城、渋谷に初めて進出した記念碑的な店だ。しかし、その後2000年代初めセゾングループは崩壊、元々のイトーヨーカドーを母体ととしたセブン&アイ・グループに組み込まれ、そして今年11月、米投資ファンドに売却されることが発表された。家電量販のヨドバシは同ファンドと提携し、西武の池袋本店に出店するというが、渋谷店がどうなるかは明らかにされていない。

西武百貨店渋谷店

同じ西武グループだったパルコは、少し遅れ1973年に渋谷に進出。西武百貨店とともに渋谷カルチャーを牽引した。こちらは、2012年に大丸、松坂屋のJ.フロント リテイリングの子会社となっている。そのせいか渋谷パルコは建物も新しく輝いて見えた。

東急ハンズ

パルコの先にあるのが東急ハンズ。1978年に旗艦店である渋谷店がオープン。私は前職で流通業を担当したことがあり、出店間際の同店を取材した。東急ハンズは、東急でも東急百貨店、東急ストアの流通部門でなく、東急不動産の事業だった。当時として革命的だったのは、道具類の専門家を採用したこと。たとえば、自転車屋さんだったおじさんが店に立った。この戦略が受けて急成長、全国展開に至った。しかし、競争のせいか近年は頭打ち、今年3月にホームセンター大手のカインズに買収され、10月から社名から「東急」がとれてハンズになった。この日店名は変わらず東急ハンズだったが。

東急ハンズ渋谷店

東急百貨店

東急百貨店本店は1967年開業。背後に高級住宅地松濤を控え、ハイグレードなデパートで通ってきた。だが、建物の老朽化を理由に同店は2023年1月末で閉店する。跡地にはルイ・ヴィトンなどを傘下に持つLVMHと手を組み高級複合施設を建設するという。百貨店に隣接し1989年にオープンした複合文化施設Bunkamuraも、2023年4月から長期営業休止になるという。

東急百貨店本店

東急百貨店は渋谷駅にあった東横店を2020年3月に閉じており、渋谷から姿を消すことになる。デパート業全体としても西武の行方によっては、渋谷からデパートがなくなることもあり得る。

渋谷スクランブルスクエア

古い店舗が消えゆく一方で、新しい渋谷の象徴が2019年11月にオープンした47階建ての高層ビル、渋谷スクランブルスクエアである。新しいものも見ておかねば、と最後に立ち寄った。

渋谷スクランブルスクエア

なんと、地下2階から14階まですべて商業施設である。エスカレーターで上がったが、どの階もかなりの混雑である。14階は展望台のチケット売り場があるが、ここも行列。今が旬のホットスポットということもあるのだろうが、なぜこんなに人が集まるのか。客層はほとんど若い人。高齢者は見かけない。

渋谷スクランブルスクエア入口

15階には、QWS(キューズ)という名の施設があるので、ちょっと覗かせていただいた。「渋谷ならではの多様な人が年齢や専門領域を問わず集い、交差・交流することで、世の中の新しい価値につながる種を生み出すことを目指した会員制の共創施設、渋谷キューズ」と説明書きにある。オープン時にマスコミでずいぶん取り上げられた。ただひねくれ年寄りは、場を設けるだけで一体どのようにして創造が生まれるのか、気になった。

QWS(キューズ)

(取材2022年12月)

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