川越市選出の渋谷実県会議員は、「強きをくじき、弱きを助ける」をモットーとする反骨の熱血漢だ。建材店から身を起こし、市議、県議と進み、抵抗をはねのけ、様々な事業を実現してきた。今上田清司県政を追及する。
自衛隊で民生協力
―出身は川越ですか。
渋谷 川越の古谷上です。実家は農家ですが、祖先は川越藩の武士だったようです。
―議員になるまでのご経歴を教えていただけますか。
渋谷 学校を出て、最初 地元の建設会社、初雁興業に入りました。それから建設省(荒川上流工事事務所)に行き、その後自衛隊に入りました。
―建設省、自衛隊はどのような経緯で。
渋谷 他に仕事がなかったからです。昔は建設省でも誰でも入れたのです。しかし、当時の建設省は不正の温床で、それで1年で辞めました。
―自衛隊はどこの部隊に。
渋谷 朝霞駐屯地です。
―自衛隊はどういう経験だったですか。
渋谷 自衛隊はよかったです。愛国心と精神教育をしてくれます。鍛えられました。
―どのような活動を。
渋谷 民生協力が主です。長野県で美ヶ原高原有料道路とか乗鞍スカイラインとか山岳道路を造りました。新潟の除雪、災害派遣にも行きました。あとは東京オリンピックの支援。
年中無休24時間営業、ロジャースの安さ
―自衛隊を経て、昭和46年に建材店(渋谷建材)を創立するわけですが、どのような流れですか。
渋谷 自衛隊では建設部隊でコンクリートを使い、コンクリート工学をやっていましたので、それを事業にしようと思ったのです。
―建材店ですね。
渋谷 生コン専門です。
―創業の頃はどうでした。
渋谷 売れないですから大変でした。1人でやって、女房が電話番です。
―その後は、順調に成長を。
渋谷 売れないですから大変でした。1人でやって、女房が電話番です。
―その後は、順調に成長を。
渋谷 1人が2人、3人になり、1台が2台、3台になり、だんだん増えていきました。
―成長できた秘訣は何ですか。
渋谷 納入が間に合わなければ、「明日車を買って持っていきます」と。年中無休24時間営業。そこまでサービスしました。サービスはセブンイレブン、値段はロジャースと同じに。お客が来ない方がおかしい。
―会社は今でもあるのですか。
渋谷 川越市内にあります。息子に任せています。
困っている人を助けるために市議に
―昭和62年に市議会に出るわけですが、事業で成功したからですか。
渋谷 普通は成功してお金がたまって議会に出ますが、私は成功しないうちに出ました。
―動機は。
渋谷 弱い者、困った人を助けるためです。
―たとえば。
渋谷 いろいろ行政交渉で困っている人がいます。私はそれが納得できないんです。
―市議時代で実績は。
渋谷 100億円分くらい仕事をしました。
―具体例は。
渋谷 古谷本郷に障害者の養護学校(現社会福祉法人川越にじの家)を作りました。地元も議員も市も皆反対でした。私は「弱い者を助けるのが仕事だ」と反対を押し切りました。
―障害者問題にこだわる理由があるのですか。
渋谷 うちの長男が障害者です。だから弱い者を助けるのは私の本能になっているんです。
―他には。
渋谷 それから古谷本郷に鉄鋼団地を誘致。老人ホームも作りました。どちらも、市や地元選出議員は反対でした。
―どれも抵抗をはねのけて実現させたわけですね。
渋谷 「弱きを助け強きをくじく」ということです。強い者を助け、弱い者をいじめるのは楽なんです。楽をしてはだめです。そういう議員が最近は多い。
学校への補助金支給で知事を追及
―県議には平成13年に。
渋谷 小宮山泰子さん(現衆院議員)がやめ、空きができたので出ました。今5期目です。
―活動は。
渋谷 決算特別委員会委員長、総合政策委員会委員長、警察委員会委員長もやりました
―警察官を増やしたのですか。
渋谷 警察委員長の時。安心安全のためです。
―産業基盤整備にも尽力された。
渋谷 川越の工業団地を広げました。芳野台工業団地です。
―知事の任期を決めたのですか。
渋谷 私が委員長の時、3期12年にしました。みんなが反対しましたが、上田知事が自分は3期でやめるからいいと。しかし、今年また出るかもしれません。条例改正をしなければいけないですが。
―上田県政を追求されているそうですが。
渋谷 「東京高等理容美容専門学校」(現・トータルビューティカレッジ川越)という学校に、不明朗な補助金が支給され続けているという問題があり、私はそれを議会で追及しています。
―それと別に、名誉毀損の裁判があったということですが。
渋谷 ある方が、私を名誉毀損で訴えたのです。川越地方裁判所は却下したのですが、東京高裁まで行った。その審理で、上田知事の特別秘書が私に不利な証拠を出してきたのです。結局平成23年の判決で原告が負けたので、私は知事に責任はありませんかと質問しています。
―今後の県政はどうあるべきだと。
渋谷 埼玉大改革です。知事を変え、姿勢をたださなければいけません
川越は観光では食べられない
―お歳は。
渋谷 71歳です。
―今後やりたいことは。
渋谷 地方創生です。このままでは少子高齢化で川越市も消滅してしまいます。企業誘致をしたい。
―川越は観光が盛り上がっていますが。
渋谷 表向き盛り上がっているだけで、お金が落ちていません。川越まつりの日の夕方、観光客から「博物館はどこですか」と聞かれました。「もう閉まっています」と言うと、「いやバスが待っているんです」と。これから東京に行くのです。川越にはお金が落ちない。観光ではもうからない。
市も、行政サービス向上、減税などと言う前に経済基盤をしっかり作らないとダメです。経済基盤がないのにサービスばかりしたらつぶれてしまいます。
―趣味は何ですか。
渋谷 ゴルフと釣り。釣りは、近くの荒川で、ナマズやウナギを。なかなか忙しくて行けませんが。
―健康法は。
渋谷 暴飲暴食をしないこと
―酒は。
渋谷 全然。タバコも吸いません。
―好きな女優は。
渋谷 佐久間良子かな。最近の若い女優は、あのような品格がないですね。
(2015年5月取材)
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