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インド古典舞踊の普及に努力 ヨーガ、楽健法、三井温熱療法も指導 健康に安心できる社会を目指す 里見まこさん

南インドに伝わる古典舞踊バラタナティアムを演じる、インド舞踊家、里見まこさん。「プラーナ」インド古典舞踊研究会を主宰し、魅惑と神秘の踊りの普及に努めるほか、ヨーガ、楽健法、三井温熱療法と、健康法の指導、施療も実践する。目指すは、安心して病気になり、安心して年をとれるコミュニティの実現だ。

南インドのタミルナドゥ州のヒンズー教の寺院の奉納舞踊

―この踊りはどのような踊りですか。

里見 バラタナティアム(Bharata Natyam)と言います。南インドのタミルナドゥ州のヒンズー教の寺院で、デーヴァダーシと呼ぶ巫女的立場のダンサーによって奉納舞踊として踊られていたものがルーツと言われており、現在に伝わっています。

―インド舞踊もいろいろあるわけですね。

里見 地域によって違いますが、バラタナティアムは、インドの4大古典舞踊の一つとされています。ただ、インド舞踊は 日本では、他の踊りと比べやっていらっしゃる方はまだあまり多くはないですね。

―特徴は。

里見 中腰の姿勢で、膝を外に開く、アラマンディと呼ぶ形が基本のポーズで、足首に鈴をつけ、素足でステップを踏みながら、体、腕、指先、顔、目の動きで、感情やものごとを表現します。幾何学的、左右対称な型が多いです。リズミカルで激しいステップで構成された軽快な踊りと、インドの神話やヒロインの感情をパントマイムで表現する踊り「ヌリッティヤ」とがあります。

―ヒンズー教との関わりは。

里見 ヒンズー教の寺院では、「舞踊の王」の108のポーズが見られますが、そのポーズからバラタナティアムの基本の型が作られたといわれています。

―踊りを通じて、神とつながるということでしょうか。

里見 ダンサーは自分ごと神様に捧げるため手足を吉祥の色である赤に染めます。舞台では、神々の名前や、「神様早く私のそばにいらして、苦しみを取り除いてください」、など祈りの言葉が繰り返し歌われます。清めの曲が始まった時点から、舞台は神様が降臨された状態になります。

古事記をテーマにオリジナル舞踊も

―なぜこの踊りを。

里見 私は、上野玄春先生(2004年逝去)という方にヨーガを習っていました。先生の奥様のマ・亜土夢・プラチッタ先生はヨーガのインストラクターでもあったのですが、バラタナティアムの教室を開いていて、奥様の強いすすめもあって、舞踊も始めました。

―インドで修行された。

里見 90年から8年間、日本で勉強し、それからインドに渡り故ウマ・スンダラム先生について2000年に南インド、チェンナイの「ミュージックアカデミーホール」で初舞台を踏みました。

―今でもインドに。

里見 毎年行っています。

―古事記を元にしたオリジナル舞踊を作られたのですか。

里見 2010年に、「バラタナティアムでみる古事記」を発表しました。古事記を元にインドの先生にタミール語の詩を作ってもらい、それにインドの古典音楽をつけてもらい、その曲と歌に合わせてグルニーラ・スーカニャン先生に振付を考えてもらいました。完全な「プラーナ」のオリジナル舞踊劇です。6つのシーンでできている。埼玉と長野、インドでも公演しました。

プラーナインド古典舞踊研究会

―今、教室を開いているのですか。

里見 プラーナインド古典舞踊研究会といいます。

― プラーナとは

里見 宇宙の根源のエネルギー、気です。

―教室はどこで。

里見 戸田市で毎週、東京・大森とさいたま市浦和のカルチャーセンター(読売文化センター)で月2回ずつ開いています。

―公演はどのような場所で。

里見 毎年の生徒発表会 日印交流イベントナマステ・インディア(東京・代々木公園)への出演の他、老人ホーム、デイサービス、障害者施設、保育園などでの慰問は積極的に参加させていただきます。

変身願望をかなえる

―この踊りをどういう人にやってほしいですか。

里見 少々きついですが、ダイエット効果は抜群です。また、表現力がつきます。自己表現が苦手な人も、手話のように手指が表現の手段なので手の動きや所作がきれいになります。足を打ち付けて鳴らすことは、大地の神様と心の中の魔物を鎮める意味合いもあるので、ストレス解消にもなります。

―化粧や衣装が独特です。

里見 この人があの人なのと思うくらいの変身ですから、変身願望もかなえられます。インドも民族衣装サリーを着て、カジュルというアイライナーで、目のふちを黒くし、額にピンディー、足に鈴、ウィッグを自分の髪に編み込み、エメラルドやルビーを散りばめた髪飾りやイヤリング、ネックレス、ブレスレットなどで飾ります。一番の特徴としては、頭にチャンドラスーリアという太陽と月(陰陽)のジュエリーをつけます。

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「二人ヨーガ」楽健法

―ヨーガと楽健法をされる。

里見 私は10代の時から、自分で本を買ってきて独学でアーサナはやっていました。ヨーガはすごいと思い、上野玄春先生の教室に通い、先生のインストラクター養成講座を卒業しました。

上野先生は、楽健法を創始した山内宥厳先生と親しくて、ヨーガの教室でも楽健法を取り入れていました。楽健法は、「二人ヨーガ」と言われ、アーサナを一生懸命した後のような爽快感、筋肉のゆるみとか血液の流れとかを得られます。

―教室を開いているのですか。

里見 ヨーガは戸田市と、蕨市、さいたま市東浦和の3カ所。楽健法は教室は戸田で月1回ですが、東京・品川での山内先生の教室のアシスタントに月に1回通っています。

三井温熱療法

―施療もされるのですか。

里見 楽健法と三井温熱療法です。楽健法でまず踏ませてもらいます。踏むと、かたいなとか、力がないなとか体の様子がわかります。足を当てただけでわかりますし、寝てもらうと見ただけでもわかるようになるんです。楽健法で体をほぐして、その後温熱をするのが私のやり方です。

―三井温熱療法とは。

里見 三井と女子(みつい・とめこ、1915~2001)先生が考案した温熱療法です。遠赤外線セラミックヒーターの温熱器(86度)を、体に当てていきます。体圧をかけてすべらせてみると、冷えがあったり、凝りがあったりするところでは止まってしまい、また特別に熱く感じます。そこに、病変があることになります。すっとすべるところより、ヒーターの滞在時間が長いので、その時に熱で治療が行われるしくみです。ヒーターを購入して、自分で使用することもできます。

―里見さんは施療師なのですか。

里見 NPO法人日本温熱療法協会というところの資格をいただいております。

―ガンにも効果があるのですか。

里見 三井温熱は、しっかり施療を受けると3日間熱がもつとされています。温熱療法はいろいろありますが、熱がとどまる時間が短い。ガンの方はすごく冷えているので、3日熱がもつことは温熱効果を増します。血行をよくし、自分で自分をよくする免疫性を高め、白血球の値もよくなります。熱でガンを焼き切るとかではなく、本人の持っている免疫力を高めて ガンはあっても病状が抑え込まれて、元気に暮らせるというタイプの療法です。

ギックリ腰が回復

―施療の具体例を教えていただけますか。

里見 自分のことですが、インド舞踊の練習中にすべって体からドンと落ちて、仙骨にヒビが入ったことがありました。すぐ自分で温熱をかけたところ、踊りに戻るのも早く、飛び出した骨も平になりました。私は腰が弱くよくギックリ腰を起こしましたが、歩けないような痛みでも、温熱で7~8割はその日のうちに回復できます。

 今施療している方は、脳梗塞の影響で、足の親指の爪がグレーに変わっていて、ちょっと触っても痛がっていました。それが爪の色がピンクになり、痛みも消えた。前立腺ガンの方のところにも月1回行っていますが、5カ月で腫瘍マーカーが下がって、体調もいいそうです。

―施療はどのように。

里見 紹介された方だけ、いろいろな教室の合間にお宅にうかがう形です。

―料金は。

里見 温熱だけでしたら6000円、楽健法だけなら4000円、両方の場合は8000円。それと交通費をいただきます。

それぞれが関連している

―いろいろなことをやり、スケジュールが大変ですね。

里見 インド舞踊が、カルチャーセンター2カ所で月2回ずつ、戸田で毎週1回、ヨーガは月3回ずつ3つの教室、楽健法は月1回。あとは施療で、真っ白で空いている日はほとんどありませんね。

―全部つながっているともいえますか。

里見 私は、何かになりたいとか、それを仕事にしたいとか、で始めたわけではありません。初めは、ヨーガを習っているのが幸せだったのですが、インド舞踊の先生がお産で教えることができなくなったので、試しにインドに旅してみたのがきっかけでした。楽健法もヨーガの延長のようなものです。

―今後の目標は。

里見 一生懸命働いて生きてきて、いくらお金をためても、健康に暮らすために不安が絶えない世の中はいやだなと思っています。自分がやっていることを、少しずつみんなに提供していきながら、安心して病気になり、安心して年がとれる、コミュニティができたらいいなと。あそこに行けば、けがしても大丈夫らしいと。それが世界に広まっていくのが好ましいのではないでしょうか。

(取材2016年12月)

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