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昔なつかしい「昭和レトロ館」(豊島区)

豊島区南長崎、アニメファンでにぎわうトキワ荘近くに「トキワ荘通り昭和レトロ館」(区立昭和歴史文化記念館)が昨年オープンした。特に高齢者にはなつかしく楽しめるレトロ感いっぱいの展示を、としま未来文化財団の我妻良寛さんにご案内いただいた。

味楽百貨店

味楽百貨店

この建物は元々は味楽百貨店と言って、今から75年から80年くらい前、昭和20年代にできたマーケットなんです。当時のマーケットは、今のスーパーとは違い寄合市場です。一つの建物の中に八百屋や肉屋や乾物屋がある。面白いのは肉屋があり鶏肉屋があり、八百屋があり果物屋があり細かく分かれていたことです。1階がマーケットで、2階はアパートでした。各部屋の入口のブレーカー、電気メーターは今も残しています。マーケットは令和3年まで肉屋さんが営業していました。アパートはその10年くらい前になくなっていました。

近くに3年前にトキワ荘マンガミュージアムがオープン

トキワ荘マンガミュージアム

すぐ近くに漫画家の住んでいた伝説のアパートトキワ荘があり、3年前にトキワ荘マンガ ミュージアムがオープンしました。地域の文化拠点整備の流れで、ここに建物がたまたまあったので豊島区がその一部をお借りして、2022年11月3日に建物2階に「昭和レトロ館」(1階はマンガピット)を開きました。前の通りは現在はトキワ荘通りと呼ばれていますが、昔からの街道(江戸川橋から清瀬に通じる清戸道)で古いお店が多く、「トキワ荘通りお休み処」ももうすぐ100年たつ米屋だった建物を使っています。

展示室1「矢島勝昭くらしのギャラリー」

矢島勝昭氏作品
矢島勝昭氏作品(ねづ山)

 豊島区の雑司が谷で生まれ育った矢島勝昭さん(1929-2023)は、郷土史家であり、イラスト作家であり、郷土玩具の制作までされていた方です。雑司が谷を愛し、「雑司ヶ谷わんぱく時代」シリーズなど昭和時代の地域の暮らしを絵にしています。特に子ども達に関わる絵が多い「駅の東に森があった」は、池袋駅の東口にあった根津山(東武鉄道社長根津嘉一郎が所有していた広大な森)の風景を描いたものです。

矢島勝昭さん記事

展示室2「昭和のくらし~昭和40年頃の日常~」

昭和のくらし展示

 昭和40年頃に若い夫婦が暮らしていたという想定で部屋を再現しています。昔のちゃぶ台、魔法瓶、プラッシーというジュースの瓶、泉屋さんのクッキーの缶、かつてのレトロな雰囲気のなか来られた方からなつかしいねと言われます。

昭和40年頃の物価

 40年頃の物価の表です。国家公務員の初任給が2万1600円の頃です。山手線は初乗り20円、今は150円ですから7.5倍になっています。 

展示室3「なつかしい昭和のおもかげ~人世横丁・神田川周辺の風景~」

神田川周辺ジオラマ 制作:山本高樹

 ジオラマ作家である山本高樹さんという方が製作したジオラマがあります。一つは、南こうせつとかぐや姫が歌った「神田川」の歌詞をモチーフにして作った風景です。神田川は豊島区と新宿区の境あたりを流れていますが、そのあたりにあった安兵衛湯という銭湯をイメージしています。

人世横丁ジオラマ 制作:山本高樹

 人世横丁は、サンシャインシティの近くに2008年まであった横丁です。青江三奈の「池袋の夜」には「人世横丁」と近くの「美久仁小路」が出てきます。跡地に建つ石碑の裏に当時の店の名前がみな彫ってあります。ジオラマは人世横丁をそのままに再現しています。

展示室4「高度経済成長期の豊島区~ジオラマでふりかえる昭和の池袋~」  

池袋駅東口周辺ジオラマ 制作:山本高樹
池袋駅西口周辺ジオラマ 制作:山本高樹

池袋駅の東口と西口の駅前の昭和30~40年代の風景です。東口は、都電の発着するロータリーになっており、西武百貨店を中心にして日本勧業銀行、明治製菓の広告も見えます。西口は東武百貨店の前に取り壊しが進む簡易な木造建築のマーケットが並んでいます。

旧豊島公会堂ジオラマ 制作:山本高樹

昔の豊島区役所、豊島公会堂、豊島区民センターです。昔はドリフターズなどのテレビ収 録が行われました。区役所は2015年に現在の新庁舎に建て替えられました。 (取材2023年10月)

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