山里の越生町にはやきものの窯元など工房が多い。2023年11月12日(日)、町内のうめその梅の駅で、「越生陶器・木工市」が開かれた。何人かの作家さんを紹介する。
陶へんぼく 戸田昌利さん
―どのような器ですか。
戸田 料亭で出すような器ですが、家庭でも使っていただけるものです。
―緑色が目立ちます。
戸田 織部風と言われます。藍色も面白いです。
―釉薬は。
戸田 釉薬は全部私が作っています。
―今おいくつですか
戸田 65歳です。20年くらい前に独立し、最初鶴ヶ島に窯を開き、それから越生に来ました。
芹ヶ沢陶房 石川真理さん
―越生はいつから。
石川 来たのは21年前です。それまでは都内のデパートさんとか器屋さんに作品を持っていって販売するという形でやっていたんですが、やはり自然の中で器をゆっくり見ていただいて四季折々の自然の移ろいの中で展示したいという思いから今のギャラリーに来ました。
―越生には縁があったのですか。
石川 以前から越生の灰を調達しに来ていたんです。越生の梅を使った薬を作りたいなと研究していていました。
―越生の梅を使うとは。
石川 梅の木の灰を混入した釉薬を使います。私は釉薬は自然釉で、全部自分で作っています。梅の木を使った作品は梅の咲く時期の空の色を思いをはせるという意味で「梅空」と名づけて私の代表作の一つです。
―目指しているのはどんな器ですか。
石川 主には食卓の器ということで、どんな料理にも使い回しができて手軽に使っていただける器です。
―越生について。
石川 素朴な自然の中で生きている人がいるという感じが好きです。
陶工房 勝 小野勝年さん
―やきものはどのくらいされていますか。
小野 私は退職してから美術学校に3年行きまして、それ以来ですから22年になります。
―今お歳は。
小野 83歳です。
―80代ですごいです。
小野 体が丈夫ですから
―やきものはどうして。
小野 私はゼネコンに勤めていたんですが、新入社員の時名古屋支店に配属になり、隣町に瀬戸があり、そこの市営病院の建設の仕事をしました。その関係で瀬戸の作家さんたちと知り合いになり、それが縁でやきものに興味を持つように。
―今、越生ですか。
小野 住まいは日高ですが、越生の30号線沿いに工房を作りました。越生は雰囲気のいい町だと思います。
―どういうものを作っていますか。
小野 織部釉が好きです。今は年ですから、作りたいものを作っています
瑞光工房 伊藤雄基さん
―これは何ですか
伊藤 金属です。
―金属工芸の作家さんということですか。
伊藤 そうです。
―アトリエの場所は。
伊藤 越生町の如意というところです。
―いつから越生に。
伊藤 実家は春日部ですが、5年くらい前に引っ越してきました。
―奥さんも作家ですか。
伊藤 妻は妻で草木染めをしています。
―なぜ越生に。
伊藤 前にいたところが取り壊しになり、広くて環境のいいところをと空家バンクで探しました。今古民家を改装しながら自宅兼工房として使っています。
―金属工芸でどういうものを目指しているのですか。
伊藤 鍛金、そのなかでも「拡大する鍛金」の流れです。自分なりに探求していきたい。
―ここに置いてあるのはオブジェですか。
伊藤 花入れにも使えます。他にクリスマスツリーの飾り、ぐい呑み、置物、雑貨類。建築金物や家具も手がけます。