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富士見市に伝わる 扇だこ 勇壮な武者絵

富士見市に古くから伝わる扇だこ。ただ一人その製作技術を受け継ぐのが、大曽根力雄さんだ。このほど、地域のモノづくりの仲間の展示会(椿会)が開かれ、扇だこを出品した大曽根さんにお話をうかがった。あわせて、「深雪アートフラワー」の清水和子さん、吊るし雛の関口ふく子さんにもご説明いただいた。

幕末・明治に始まる

―扇だこは、いつ頃から作られているのですか。

大曽根 最初は幕末から明治にかけてだそうです。群馬の方から、さかづきの形のたこを買ってきて、それを扇の形にしちゃったらしいです。

―元々大曽根さんのご先祖が始めたのですか。

大曽根 富士見市上沢に「たこ屋」という屋号の大曽根さんのお宅がありますが、元々その家の先祖(大曽根龍蔵)が始めたそうです。うちは親戚にあたり、私は「たこ屋」の先代大曽根勝男さんから教えていただき、たこ作りの4代目として受け継ぎました。

―大曽根力雄さんはお仕事は何をされていたのですか。

大曽根 私は富士見市役所(旧富士見村・町役場)に勤めていました。たこは勤めをしながら作っていました。

形が末広がりで、縁起物

―扇だこは他の地域にもあるのですか。

大曽根 このあたりにしかないです。

―扇だこの面白さは何ですか。

大曽根 形が末広がりで、縁起物として評判をとり、一時期普及しました。

―扇の形でも揚がるのですか。

大曽根 揚がります。たこは普通尾をつけますが、このたこは尾がなくても糸だけで揚がります。

絵を描くのが難しい

―これは何でできているのですか。

大曽根 竹の骨組みに和紙を貼っています。染料は、着物を染めるのに使う染料です。

―絵は。

大曽根 主に武者絵です。牛若丸や宮本武蔵など。

―大曽根さんはすべての作業を一人で。

大曽根 そうです。

―他に作れる人は。

大曽根 今のところ私だけのようです。

―作るのは難しいのですか。

大曽根 描くのが難しいです。竹を割って組み立てるだけなら作れるのですが、紙を貼って最後に絵を描くのがなかなかうまくいきません。
特に髪の毛の線を出すのが難しいです。絵の好きな人でないとだめですね。

継承者を探したい

―市に扇だこを保存する動きがあるのですか。

大曽根 富士見市扇だこ保存会があり、新しく作り直して、昨年あたりから難波田城資料館で活動しています。

―大曽根さんは今おいくつですか。

大曽根 81歳です。このままつぶしたくないので継承者を探しているのですが、ふさわしい人が見つかりません。

深雪アートフラワー 清水和子さん

清水さん

―清水さんは今回何を出品されているのですか。

清水 「深雪アートフラワー」と、キルト等です。

―「深雪アートフラワー」とは。

清水 料理研究家の故飯田深雪先生が創始された、独自のアートフラワーです。先生が亡くなった後も後継者がいて、全国に支部や教室があります。

―どう作るのですか。

清水 白生地に型紙を当てカットします。その布を染めてからアイロンをかけてワイヤーでセットしていきます。今回私は白生地だけでなく、花びらを昔の着物等で応用し椿を作っています。

―作品は全部花なのですか。

清水 お花と枝物等です。

―清水さんはいつからこれを。

清水 40年近くになります。師範をとってから、以前は他の方に教えていました。ここ数年はアートフラワー展には参加していません。

―これほどにこのアートフラワーに打ち込んだのは

清水 私はやさしい花が好きなんです。特に道端に咲いている雑草と椿が好きです。ですから、花の種類も覚えました。それと、何か資格を取りたかったこともあります。

この作品は、私が考えたオリジナル作品です(椿)。

―椿会とは 。

清水 富士見市上沢2丁目のモノづくりの好きな仲間の集まりです。今日は第3回目の展示会で6人が出品しています。

吊るし雛 関口ふく子さん

―これは何ですか。

関口 吊るし雛といいます。様々なお人形を作って吊るします。酒田(山形県)、稲取(静岡県)と柳川(福岡県)が有名で、それぞれ少しずつ違います。

―毬のようなのは。

関口 これは七宝毬といいます。中に人工綿を詰め、三角の布を12個合わせます。

―作るのは大変ですか。

関口 簡単なんです。七宝毬は、私は1時間でできます。今回25個できたので出品しました。

―これは飾るものですか。

関口 そうですね。七宝毬は名前もいいので

―手芸がお好きなんですね。

関口 祖母が和裁の先生をしていて、いつも家で生徒さんが作っていましたので、子どもの頃その端切れで縫っていました。だから針仕事が大好きです。それしか何もできないんです。

―作るのは楽しいですか。
関口 自己流ですが、作るのを楽しみ、家で飾って楽しむのをやっているだけです。これをやっていると、何も考えません。
関口さん

             (取材2019年5月)

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