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脱サラで自然農法に挑戦

児玉町の根岸茂さんは、建築士の資格を持ち大手住宅メーカーに勤めていたが、脱サラで農業に挑戦している。しかも、農薬、肥料を一切使わない、困難な自然農法だ。最初は小川町で農業の研修をし、児玉町に転居後もときがわ町で若手農家が始めた直売所「ときのこや」(http://tokinokoya.jimdo.com/)で販売を続ける。根岸さんにお話をお聞きした。

ニンジンが主

―作物は何を。

根岸 中心はニンジンです。いろいろ作ってはいますが、絞らないと手がまわりません。今年の夏はズッキーニを中心にしようかと。冬はカブも。

―肥料も農薬も一切使わないのですか。

根岸 まったく外からは入れていません。畑の中から出てきたものを戻すことはしていますが。

―最初から作物がとれましたか。

根岸 とれました。ただ、農薬をまいているのに比べ見栄えは悪いです。

―量はどうですか。

根岸 やはり少ないです。B品が多くなります。ただ、農協に卸しているわけではないので、それでも何とか売っています。本には最初2~3年は減ると書いてありますが、私の場合収量は上がってきています。

草取りが大変

―自然農法でよけいな手間は何ですか。

根岸 有機も同じですが、草取りが一番大変です。あとは、虫対策としては、ネットをかける手間はあります。ただ、農薬をかける手間とあまり変わらないのではないでしょう。

―種は。

根岸 自分でも採っていますが、大量に採るのが難しいものは今でも買っています。自家採種にだんだんシフトしていこうと思っています。

―作りにくいのは何ですか。

根岸 タマネギとかナスでしょうか。肥料を食います。土が合っていればできると思いますが。

―自然農法のなにがよいのでしょうか。

根岸 慣行農法をやったことはありませんが、農薬を使えば食べてもらう人にも生産者の体にもよくありません。有機との比較では堆肥まきがないので生産者としては少しは楽なのかな。

―味は。

根岸 いいと思います。スーパーで野菜を買ってきて比較して食べることはありませんが。ニンジンも味が違うというのがわかります。

販路が課題

―販売はどこで。

根岸 それが一番困っています。主に有機のレストラン、「ときのこや」(ときがわ町)など直売所、宅配が少し。販路に関しては苦労しており、今後の課題です。

―加工もしているのですか。

根岸 ニンジンジュース。100%のものとレモン入りがあります。卸値は330円です。他に、麦茶や切干大根など。

一級建築士の資格

―根岸さんはおいくつですか。

根岸 4月で41歳になります。

―農家の生まれなのですか。

根岸 違います。元々東京出身で、大学で建築を勉強し、一級建築士の資格を持っています。

―それがなぜ農業に。

根岸 卒業後住宅メーカーに勤めていました。海外転勤でフィリッピンに赴任したのですが、海外に行くと外から客観的に日本のことが見えてきます。日本の人口が減り始め、これからは住宅もいらなくなる。一方で農業は生産者の人口は減り、若いのがやらないと日本はまずいのではないかと思ったのです。そして日本に戻り農業を始めたわけです。

―とは言っても、ゼロから農業を始めるのは大変だったのでは。

根岸 あちこち農業関係の相談所みたいなところに行って話しを聞いて、小川町の金子美登さんのお弟子さんにあたる田下さんという方が研修生を募集していたので、そこで1年間お世話になりました。その間にMOA自然農法の関係者に会い、上里町の須賀さん親子を紹介され、2年半お世話になりました。須賀さんは自然農法を長い間やっている方で、私の師匠です。

MOA自然農法

―MOA自然農法とは。

根岸 宗教家の岡田茂吉(1882-1955)という人は、芸術文化でMOA美術館(熱海)などで有名ですが、健康科学ということで自然農法を提唱しました。その考え方に共鳴している人たちが集まり、現在MOA自然農法文化事業団という団体があり、自然農法を推進しています。

MOAの自然農法には、基準があります。肥料は化学肥料はだめですが、有機肥料は出所がはっきりしていればよいとしています。しかし私は肥料は一切使わず、それより厳しい条件でやっています。

―根岸さんはどうして最初から有機や自然農法に入ったのですか。

根岸 最初は慣行栽培でもよいと思ったのですが、どうせやるならよりよい方法でよりよいものを作りたいと考えました。自然農法は頭では知ってはいましたが、たぶんできないだろうと思っていました。しかし実際に須賀さんのところでお世話になったら、意外にできるので驚きました。肥料や堆肥をまく手間もなく、逆に楽になるんです。

―児玉町にはいつから。

根岸 そろそろ自分やりたいと思い、3年前に児玉に来ました。

―土地手当てで苦労されませんでしたか。

根岸 家は中古を買いました 農地は借りています。農家でないと農地を借りられませんが、認定の基準が自治体により異なります。私は研修の実績もあり、いろいろ世話をしていただき農地を手当てできました。

―今後について。

根岸 生活は厳しいですが、やめる気はありません。

根岸さんのすばらしさは、1つは大手企業のサラリーマンから、必ずしも生活の保障されない農業に果敢に飛び込んだことだ。しかも農家の出ではなく、土地も何もないところからの出発だ。日本農業の最大の課題は、担い手不足である。根岸さんの気概は、関係者に勇気を与えてくれる。

もう1つは、私もニンジン、干しダイコン、ニンジンジュースなどをいただいたが、どれもびっくりするようなおいしさ。根岸さんは、理系で研究熱心であると同時に、非常に器用でモノづくりに長けているとお見受けした。自然農法で新境地を切り拓いてもらいたい。(金子)

根岸さんの連絡先 sai01architect@gmail.com

(2015年3月取材)

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