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和製ハーブ、クロモジにインフルエンザ抑制作用

和菓子用の楊枝などに使われている植物「クロモジ」。「和製ハーブ」の一つで、清々しい香りを放ち香木、アロマオイル、生薬などにも使われている。養命酒製造株式会社(本社:東京)では「クロモジ研究会」を立ち上げ、クロモジの機能、健康効果に注目して研究を重ねている。クロモジエキスを配合した飴を使った、愛媛大学と共同のヒト試験で、インフルエンザの予防、及び風邪症状の低減に効果がある可能性が示され、抗ウイルス作用があることが明らかになった。

「薬用養命酒」の主原料

クロモジは、クスノキ科の落葉低木。全国の山地の、杉など高木の影などに自生する。リラックス作用が期待されるリナロールを主成分とするよい香りがする。古くから楊枝、香木、生垣、枝を煎じたお茶、漢方の生薬などに利用されてきた。養命酒の「薬用養命酒」の主原料も「烏樟」(うしょう、クロモジ)である。

クロモジの枝

クロモジの花

クロモジの楊枝

クロモジ茶(越生町産)


エキスや精油成分の機能に注目

クロモジのエキスや精油成分の機能性に関し、これまでにも様々な研究成果が発表されている。

・免疫機能改善(エキス):機能低下に対し予防的・治療的作用(松見・丸山=養命酒製造、2017)

・抗腫瘍(精油成分):白血病細胞の増殖を抑制(前多ほか=弘前大学、2011)

・生活習慣病予防(エキス):骨格筋の合成促進、アルコール摂取による肝機能低下改善(渡邊ほか=高知県立大学、2016)

・睡眠改善(精油):睡眠時間を延長(鈴木ほか=養命酒製造、2012)

・リラックス効果(精油):ストレス解消、精神安定(赤壁ほか=山口大学、2011)

・抗糖化・抗酸化(エキス):中性脂肪、遊離脂肪酸の改善(八木ほか=同志社大学・養命酒製造、2017)

ウイルスの増殖を抑え、インフルエンザ感染の減少も

そして最新の研究で明らかになったのが、クロモジの抗ウイルス作用である。

クロモジ研究会資料

ウイルスは細胞内の活性酸素を増やし、細胞を弱らせて増殖すると言われているが、クロモジエキスに含まれるポリフェノール成分は、細胞内の抗酸化酵素を活性化させ、活性酸素を中和することで間接的にウイルスの増殖を抑えるという。

またクロモジポリフェノールはウイルスの表面に直接作用し、ウイルスを不活化させることもわかった(国立国際医療研究センターと養命酒製造の共同研究、2018)

2018年には抗ウイルス作用に関する臨床試験結果も発表された(愛媛大学と養命酒製造 の共同研究)。「クロモジエキス配合飴」を使い、愛媛大学医学部附属病院に勤務する看護師ら134名を対象に行った試験で、クロモジエキス摂取群で有意にインフル エンザ感染の減少がみられた。さらに風邪症状の低減効果も認められた。

養命酒製造は、クロモジを用いた製品として、「薬用養命酒」のほか、2018年にのど飴、 2019年に香りを活かしたクラフトジンを発売している。クロモジの効果を活かし新分野を拡大していく方針だ。

クラフトジン

(本記事作成に際し、クロモジ研究会にお世話になりました。取材2020年5月)

養命酒記事

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