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生活ホーム江南 障害者に向き合い、 親身で自立を支援 岩瀬茂男さん

江南町の知的障害者自立支援施設「生活ホーム江南」。運営する岩瀬茂男さんは、児童養護施設などを出て行き場のない若者の自立を助けようと、自力で施設を立ち上げた。個人それぞれに向き合いきめ細かに生活や生き方の相談に乗りながら支援するそのやり方は、画一的な行政にない、あるべき支援策の一つを示しているようだ。

嵐山郷で障害者介護の現場を経験

昭和24年生まれの岩瀬さんは、大学卒業後、当時日本有数の障害者施設として埼玉県が開設した嵐山郷(嵐山町、埼玉県社会福祉事業団運営)に就職した。障害者施設を選んだのは、お兄さんが子供の頃問題を抱えていた経験もあり、社会的弱者を支援することに関心があったため、という。

嵐山郷は、寝たきりの人を含め重度の障害者を約400人受け入れている。そこで過酷な介護現場を経験しながら、岩瀬さんは障害者支援のあり方を模索し続けた。

そうした中、同じ事業団が運営する児童養護施設に配属になり、障害を負い、親との関係もうまくいかない子供たちが、施設を出ると行き場がなくなり、非行に走ったり、経済的に悲惨な状況に陥る例を目の当たりにした。

こうした子供たちを救いたいと、岩瀬さんが平成12年、施設勤務を辞め、退職金をはたいて自ら立ち上げたのが「生活ホーム江南」だ。

現在、「生活ホーム江南」の入所者は7名。年齢は19歳から35歳。全員が、一般就労に従事している。

ホームは、岩瀬さんと奥さん、三男夫婦らが運営にあたる。就寝、食事やお風呂など生活の世話をするだけではない。入所者一人ひとりに対し、生活のこと、仕事、進路など。懇切丁寧に相談に乗り、一緒に考える。時には一緒に旅行にも行く。

「本人がどのような目標を設定するかが一番大事です」と、岩瀬さんは言う。自立には、心の持ち方が非常に重要だということだ。今後の生き方の目標を自覚してもらい、それに向けて本人が努力できるよう、様々な支援を行う。今年4月には、目標を達成し、施設を「卒業」したケースもある。

家族経営ならでもの献身的で親身なサービス。「障害者も十人十色。受け入れ施設、対応の仕方も多様にし、いろいろな選択肢を用意する必要があります」。岩瀬さんの試みは、ハード、施設を整備することが主になりがちな行政サービスへのアンチテーゼでもある。

岩瀬さんは、千葉県勝浦の出身で、実家の土地に、高齢障害者向けのグループホームも開き、運営は次男に任せている。一家で障害者支援に取り組む岩瀬さんは、自らの思いをつづり、近々、埼玉新聞社から著書『流汗悟道』(仮題)を発刊する。

(生活ホーム江南
埼玉県大里郡江南町押切大道南2620-12)

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