埼玉県西部日高市にある高麗川が蛇行して形成した特異な地形、巾着田(きんちゃくだ)。曼珠沙華(まんじゅしゃげ、彼岸花とも呼ぶ)が群生し、毎年秋には赤い花が咲き誇り、多くの観光客が訪れる。
(以下の記事は日高市産業振興課に資料提供とご説明を受け、取材のため2023年9月20日に現地を訪れ撮影しました)
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高麗川は横瀬町の苅場坂峠付近を源流とし、国道299号、西武秩父線に沿って流れ、日高市を通り、坂戸市で越辺川に合流する川である。特に日高市内では蛇行が多く、その極めつけが巾着田だ。川筋が馬蹄形で、川に囲まれた部分はその形が巾着袋に似ていることから巾着田と呼ばれている。
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巾着田は南北約500m、面積約22㌶あり、昔はすべて秋は一面が稲穂、春はレンゲの水田だった。一時期ダムを建設する計画が持ち上がったが、撤回し、昭和40年代後半に日高町(当時)は公園を整備することになり、巾着田のうち約半分の土地を購入した。篠藪を重機で掘り返し整地したところ、曼珠沙華が出現した。球根が自然に流れ着き根づいていたとみられる。その後、分球によって球根が増え、現在は約500万本に達している。
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日高市では曼珠沙華の咲く12㌶を巾着田曼珠沙華公園とし、毎年巾着田曼珠沙華まつりを開催、この間の入場は有料(500円)としている。期間中約50万人の人が訪れる。平成29年(2017)には、天皇・皇后両陛下(現上皇・上皇后)は同公園を訪れ、満開の曼珠沙華を観賞された。
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巾着田では、秋は、曼珠沙華の後、10月上旬からはコスモスが見頃を迎える。春は、4月上旬から中旬頃まで桜と菜の花が、6月中旬から7月上旬にはアジサイが見頃になる。 巾着田の北西に高さ305mの日和田山(ひわださん)が立つ。山頂に近い二の鳥居から、巾着の形が見渡せる。
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