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露天風呂洞穴コンサート
山の中の遊びの空間

海族鮮山忠
(滑川町)
山下忠文
さん

   滑川町の森林公園近くの山間に建つ「海族鮮山忠」。「古民家風」という形容では足りない、単なる「居酒屋」でもない、オーナーの山下忠文さんが、自分の手で作り出した、型破りの遊びの空間だ。

福田鉱泉の跡地

―オープンはいつ。

山下 1997年です。

―この場所は何があった。

山下 ここは福田鉱泉の跡地なんです。湯治場です。今も源泉が出ています。(店舗としている)建物は(前の所有者が)小川の下里にあった家を移築したものなんですが、40年ぐらい閉鎖をされていた。私が来た時は、前に「鉱泉前」バス停がありました。

誰も住んでいなくてジャングルのようでした。それを1年半ぐらい、伐採したり庭を造ったり、それでオープンしたんです。

―今お店はここだけですか。

山下 以前は上尾店がありましたが、今はここだけです。

-山下さんはおいくつですか。

山下 昭和26年生まれです。

―元々何をされていたのですか。

山下 航空自衛隊からこういう道に。冷凍食品とか魚屋をやったりして。包丁を持って40年ぐらいたちますかね。

―このような店をやろうと思ったのは

山下 私は鹿児島育ちで、古いものの方が落ち着きます。人里離れても、今は車社会なので、雰囲気があるのがいいなと。自分が落ち着くイメージで作り それがお客さんにも通じてくれればということです。 

―店内はかなり広いですね。

山下 席もずいぶんゆとりをもたせています。空間が大事かなと。お昼は外でも食べられるようになっている。

―料理はどんなもの。

山下 予約制のふぐなどから、刺身・寿司、揚げ物、手打ちうどん。私は館山の船形市場で入札権を持っていて、そこから産地直送の魚を直接買い付けています。値段的には普通の居酒屋ですね。ランチは毎日メニューが変わる。

―「海族」とは。

山下 私が魚屋をやっていて海のものが好きなんで。やはり生もの、魚が主です。山の中で海のものを食べさせるところが面白いでしょう。

―ご自身で調理も。

山下 今も厨房に入っています。ほとんどのものは作れます。元々メニューは自分ですべて考えて、それを若い人たちに教えて、自分は外仕事をやっていた。

―こういうところではお酒を飲みたいですね。

山下 (運転)代行を使うと結構距離が出るので、誰か飲まない人と来ないといけませんが。マイクロバスで送迎もやります。

―不便な場所ですが お客さんはどうですか。

山下 やはり口コミというか、そういう人が多い。テレビ番組を観てという人も。客層は幅広いですが、遠い人は結構と遠くから来ます。

―最初は異様な感じを受けるでしょうね。

山下 入りづらいとみんな言います。(値段が)高いのではと思う人も。

―入ってみると料理よりこの雰囲気に驚くのでは。

山下 もちろん食べ物屋だから鮮度、味は必要だけれど、雰囲気づくりが一番必要なんです。器にしても。紙の器で出すか、木の器か、陶器か、それによって味が変わってくる。環境づくりが、店の大事なところでは。

ログハウス、陶芸小屋、ピザ窯、洞窟、露天風呂

―周辺の建物や内装は手作りの部分が多いんですか。

山下 そうです。日々ちょこちょこやっていますからどれを作ったかわからないくらい。内装関係は古いものを持ってきていますが (店舗の)軒、床も、隣のログハウスも自己流で。ログハウスを造るのが趣味なんです。


ログハウス

―ログハウスはかなり大きい。

山下 柱は一本が5㌧あります。自分で立てた。

―ログハウスは何に使う。

山下 宴会に使ってもらったり、私はアフリカの太鼓や沖縄三味線をやるんで、そういう人が集まったり。

―他に作ったものというと。

山下 陶芸小屋、ピザ窯、洞窟劇場、露天風呂-----

―陶芸もされる。

山下 全く素人でしたが、今は店に出す食器類も自分で作っています。型にはまっていないものが好きですね。


自作の食器

―陶芸の集まりがある。

山下 地元の好きな人たちが毎日来ています。寝泊りのできる小屋も自分たちで作りました。

―ピザ窯は。

山下 自分たちでピザ、燻製を作ったり。私がいるときはお客さんに出します。 


バリ小屋(右)とピザ窯(左)

―露天風呂?

山下 昔からの岩盤を利用し、仕切って男湯、女湯、打たせ湯もあるんです。ただ、一般には開放してません。入湯法とかめんどうなことがありまして。

  

-洞窟がある。

山下 洞穴があるので、洞穴でジャズ、チェロ、オカリナ、津軽三味線の演奏会をやったりとか。定期的ではないですが、お客さんでやらしてくれという人がいたときなどに。先日は薩摩琵琶の演奏会を開き、町長さんも来てくれました。

―洞穴とは。

山下 ここは福田軍需工場の跡地なんです。洞穴がいくつかあったのを終戦後、埋めたんです。それを掘り起こしました。

―掘るのにどのくらい。

山下 これも一人でぼっつらぼっつらですから、何年もかかりますよね。ユンボ(パワーシャベル)をもっていますから、自分で運転して。

―中に人が大勢入れる。

山下 かなり入れます。ギャラリー的な使い方もできますね。


洞穴入り口(内部は数十メートルに及ぶ)

―一体ここはどのくらいの広さがあるんですか。

山下 駐車場も入れて3000坪あるんです。土地はもっていても使わないと。

-今は何か作っているのですか。

山下 いつも何か作っています。今はクルーザーの船の中を直しています。少人数の貸し切りをやろうと思っています。

-クルーザーはどうされたのですか。

山下 友達から譲り受けてここに運びました。あとはバリ小屋を修繕中です。スピーカー、プロジェクターなど機材を置き、幕を張って映像を映して、映画館、野外劇場のようにできないかなと。


クルーザー

一個一個石を積む

―モノ作りがお好きなんですか。

山下 ないものから作りだすのが好きなんです。ここが荒地だったら、荒地から何かを作っていくのが好きなんですね。

楽しめればいいかなと。食べ物は板前をやってきたけど、陶芸とかログハウス、洞穴はあくまでも自分が好きだからやっている。

―これだけいろいろあると時間的には大変ですね。

山下 だから合間を見てという感じですね。根をつめてやるときはやる。周りに好きな人がいっぱいいるからそういう人たちに手伝ってもらうこともあります。飽きがきたらほかのところに移る。飽きなくていいんです。

―でも継続しなくてはいけない。

山下 基本的には、1個のものをここに置けば残るんです。11個置けばいい。365日で365個できるんです。だからあせる必要ない。そういう考えだと負担がないんです。何か作り上げようと思ってするよりも、無理しないで、また1個。その繰り返しで、自然とできあがっちゃうんですね。

 庭の池も1ヵ月半で作ったんですよ。自分で掘って。岩も自分で持ってきて。がんばって造らなくていいんです。1つ積めばいいんです。何かやればいい。できあがるんですよ。

-ログハウスなど大きなものは作るのがそう簡単ではないです。

山下 25トンのクレーンを使ったり、機械でやるから力はいらないんです。必要な時は仲間に手伝いに来てもらって。

-今までやってきていかがですか。

山下 それなりにいろいろな人との出会いがありますから。自分が楽しんでいるからそれに合う人が来る形になっています。

―今後は。

山下 まだ全部できあがっていないんです。中途半端がいっぱいある。半端を少しずつ、ぼつぼつやっていくということ。

 いずれ、この山を果樹園にしたい。今もぶどう、キウイ、びわ、柿、みかんなど植えているんだけど。あとは蜜蜂を飼ってハチミツをとりたい。自然とのふれあいをやっていきたい。

(滑川町福田346310493564706

(本記事は、「東上沿線物語」第18号=200810月記事を元に、20213月に再取材し作成しました)

 
 
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