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弱冠24歳でオーケストラを立ち上げ、聴衆のすそ野拡大を目指す 池田開渡さん (東京・練馬)

ヴァイオリンの演奏家である池田開渡さん(東京都練馬区在住)は、弱冠24歳にして、自らのオーケストラ「ぴとれ座」を立ち上げる。クラシック音楽の聴衆が減少している現状を憂い、気楽に聴ける場を提供して、ファンのすそ野を広げるのが目的、と言う。第1回の演奏会を、3月21日(火)、練馬文化センターで開く。

クラシックを気軽に聴ける場を

-おいくつですか。

池田 1992年生まれ、今24歳です。

-ヴァイオリンの演奏家なのですか。

池田 フリーランスのヴァイオリン奏者です。

-オーケストラを立ち上げるそうですが。

池田 クラシック音楽中心にずっとヴァイオリンをやってきましたが、現状はクラシックを聴くお客さんはすごく少ないんです。オーケストラで、客席が埋まり、何の補助もなくやっていけているところは、ほとんどないです。文化庁などの助成金をいただいて運営できているわけです。僕が今度立ち上げるのは、オーケストラは敷居が高いというか、クラシック音楽は難しいというイメージを払拭して、かしこまってではなく気軽に聴きに行こうかという文化が、実現していけたらいいなという、第一歩なんです。

-3月に第1回目のコンサートを開くわけですね。

池田 3月21日(火)に練馬文化センターで第1回音楽会を開きます。

-どのような内容ですか。

池田 オーケストラの演奏会は、通常は長い曲を2、3曲やって終わりですが、今回は休憩前の前半は全部僕がお話しを入れて、寸劇までつける。オーケストラがどうやってできたのか、オーケストラのどの辺が面白いのか、を紹介しつつ聴いていただく、誰でも楽しめる入門のようなステージです。第2部はドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」という曲。比較的知名度があり、皆さんどこかで聴いたことがあると思います。メジャーでありポピュラーでありながらきちっとしたクラシック音楽をお届けするという形式をとります。

アナログで、色彩豊かな、オーケストラの魅力

-オーケストラの面白さとはどう言ったらよいですか。

池田 シンセサイザーとかロックバンドとか現代の楽器はエレキ楽器です。一つでいろいろな音を出せます。オーケストラはすべてがアナログです。今回のオーケストラは、一番小さいサイズですが、それでも40人、楽器の種類は13から14あります。アナログでありながらそれだけの種類の音、色彩の豊かさがある。それだけの人が意思を一つにして目の前でそれを表現するのを見るのはすごい魅力だと思います。

-「新世界より」はどのような曲なのですか。

池田 ドヴォルザークはチェコの作曲家ですが、彼が当時先進的なアメリカに行って、そこで目に入ったもの、体験を故郷のチェコに向けて発信した曲なんです。クラシック音楽ですが、ジャズやロックなど現代のポップスな要素がたくさん入っています。

-オーケストラ名の「ぴとれ座」とは。

池田 「ぴとれ」はフランス語でピエロという意味です。僕は、以前から5人で「ピトレ弦楽奏団」という弦楽器のバンドをやっています。同じように、クラシックの面白さを知ってもらいたい、生の音に触れる機会を増やしたい、いうコンセプトで始めました。そこに聴きにきてくださるお客様からオーケストラもこのように楽しければという意見がありました。では、オーケストラにしようと。ただ、今後お芝居がつくかもしれないし何をやるかもわからない部分があり、オーケストラだけに固執するわけではないという意味を込めて名付けました。

指揮者、プロデューサーとして

-今までも指揮者でもあるのですね。

池田 メインの仕事は、ヴァイオリンを弾くことですが、中学生の頃に、九州交響楽団の方々と一緒に演奏をさせていただいたことがあり、その時、生のオーケストラを体験し、それをまとめている指揮者にあこがれを感じました。高校の時から先生についていましたが、大学の4年間は、ヴァイオリンが専攻、副科として指揮を勉強。オーケストラの指揮をする機会もありました。

-オーケストラを結成するのはいろいろ大変ではないですか。

池田 40人の人を集めるにはお金がかかります。でも、仲間内で相談したら、賛同してくれる人が多かったのです。ギャラは正直安いですが、皆さんが一緒にやりたいと言ってくれたことが原動力になっています。

-プロデューサーとしての役割があるわけですね。

池田 僕は、音楽家でもあるけれど、アイデァマンかなと思うところがあります。高校、大学の頃から、演奏会など企画のプロデュースをしていました。東京スカイツリーの展望デッキに行くエレベーターの音楽は僕がプロデュース、ピトレ弦楽奏団が演奏しています。

現状は楽器で食べていける人が少ない

-コンサートは今後も継続されるつもりですか。

池田 第2回は9月に予定しています。その後も、1シーズンに1回、年4回できるのが理想です。

-クラシック音楽のファンが増えればいいですね。

池田 今は、聴く人が減っただけでなく、映画でもドラマでも生の楽器でレコーディングすることが減っています。コンピューターが発達して、生の音なのかコンピューターの音なのか聞き分けが難しくなっています。作る側にとってコスト削減につながりますが、こちら側からすると仕事がなくなります。楽器で食べていける人数が減っています。ヴァイオリンは、大学で僕の同期は33人いたのですが、そのうち何人がヴァイオリンで生活できるかというと、一生懸命やっているとか、実力があるとか、別のところで、仕事がそもそも減っていて、門が狭すぎます。リスナーが増えれば、仕事も増えるはずです。そうしないとジャンル自体がなくなってしまうかもしれません。

2歳からヴァイオリン

-出身は。

池田 北九州市です。

-ヴァイオリンは2歳から習ったのですか。

池田 両親がヴァイオリンの先生をしており、強制的に始めたんです。最初はいやでした。

-これまでの経歴で特に大きな影響を受けたのは。

池田 高校生の時、2009年から5年間毎年ドイツのオーケストラに参加したことです。いまだに、オーケストラの雰囲気とか、音にあこがれています。

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