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障害者就労支援 クリーニング作業で高い工賃を実現 ひまわり工房(朝霞市) 金子勝さんに聞く

富士見市議、埼玉県議を務めた金子勝さんは、今朝霞市にある障害者支援施設「ひまわり工房」(社会福祉法人高栄会運営)の管理に携わっている。同施設は、就労支援部門で高い工賃払いを実現し、生活介護部門で重度障害者を受け入れるなど、注目すべき実績を上げている。「ひまわり工房」の運営について、金子さんとサービス管理責任者の三上菊江さんにお聞きし、後半で金子さんのこれまでの歩みを紹介する。

ひまわり工房外観
ひまわり工房

社会福祉法人高栄会の運営する多機能型障害福祉サービス事業所

―ひまわり工房はどのような施設ですか。 

金子・三上 社会福祉法人高栄会の運営する多機能型障害福祉サービス事業所という位置づけになります。多機能というのは、サービスのメニューが複数あるという意味で、うちの場合就労継続支援B型と生活介護との2種類です。

―設立は。

金子・三上 平成29年です。法人が隣に特別養護老人ホーム花水木の里を運営しており、朝霞市から障害者施設も運営してほしいとの要請がありました。

―障害者は何名が利用されていますか。

金子・三上 就労継続支援は定数が21で契約者が24名、生活介護が定員20で契約者が26名。契約者の方全員が毎日来られるわけではないので、ほぼ定員いっぱいの状態です。

―障害の種類は。

金子・三上 就労支援は半数以上が知的障害で、あとは精神障害、身体障害、自閉症の方もおられます。

―年齢層は。

金子・三上 平均年齢は30代です。上は60代から下は20歳までいますが、若い方が多い。

―生活介護は。

金子・三上 年齢は同じくらい。うちの場合、特別支援学校を終えて来られる人が多い。朝霞、和光、川越、所沢など。

―生活介護は重度の方が多い。

金子・三上 多いのはやはり知的障害ですが重い方が多い。ランクで2~6区分のうち、5、6の方が圧倒的です。

ホテルや入浴施設のタオル類のクリーニング

―就労支援の仕事の内容は。

金子・三上 クリーニングと農作業です。印刷は縮小しました。

―クリーニングは具体的には。

金子・三上 病院の防水シート、ホテルのバスタオル、フェイスタオル、ハンドタオル、床マット、系列の老人施設のデイサービスや保育所のタオルなどの洗濯です。近隣の入浴施設(志木、和光)のバスタオル、フェイスタオル、館内着類はうちで全部担当させていただいています。

就労支援クリーニング作業

ひまわり工房クリーニング作業
ひまわり工房クリーニング作業風景

―クリーニング作業はどういう工程になるのですか。

金子・三上 汚物があるものは汚物処理機にかけ、次に大型洗濯機(3台)に入れ、乾燥機(4台)に移し、その後プレスが必要なものは大型のプレス機でシワを伸ばし、それから皆さんで一斉にたたんでいく。障害者の方のある方の主な仕事はたたみになります。

大型洗濯機
大型洗濯機

―作業が非常に組織的、効率的に回っているという印象です。 

金子・三上 (見学の)保護者の方が御覧になって、きちんと仕事をしているという感覚でよいと言われ、移られてくる方もいます。

―発注元からの評価はどうですか。

金子・三上 最初志木の入浴施設から受けていて、障害のある方は単純作業を丁寧にやるので評価をいただいて、新しいお風呂のお話もいただきました。

―作業が難しい人もいるのではないですか。

金子・三上 一定時間たたみ続ける仕事は結構体力もいります。体の不自由な方は座った状態でできる作業にしたり、小さいタオルのたたみだけという方もいます。通所を始める前にまず体験してもらいますので、そこで自分に合うかどうかを見極めてもらいます。

―農作業もやるのですか。

金子・三上 隣接する畑にいろいろな野菜を作っており、クリーニングの同じ仕事では飽きてくる人もいるので、その場合は農作業をやってもらいます。除草、耕運機、苗を植えたり。外に出してあげると気持ちが変わることもあります。畑の仕事はこれからもっと力を入れていきたいと考えています。 

ひまわり工房農園
隣接する農園と三上さん

4~5万円の高い工賃の人も

―勤務時間は。

金子・三上 原則、平均9時から3時半くらいまでです。 

―短くてもよいのですか。

金子・三上 短い方もいます。午後から来る方もいます

―工賃はどのくらいですか。

金子・三上 平均工賃が3万円以上になるようにがんばっています。毎日9時から3時半まで働いている方なら多い人は4、5万円はいきます。

―就労支援の平均はどのくらいなのでしょうか。

金子・三上 埼玉県が定めている目標工賃は2万円です。うちはおそらく朝霞でもトップクラスだと思います。ありがたいと思っています。

生活介護は重度の人が多い

―生活介護の方は。

金子・三上 来ていただいて、8時半から3時半くらいまで過ごしていただく。余暇活動、散歩に行ったり、入浴目的で来られる方もいます。車椅子のまま入れる浴室があります。

ひまわり工房生活介護
生活介護

―送迎があるのですか。

金子・三上 生活介護の方は自宅あるいは近くの集合場所から全員送迎します。

―障害の重い方のお世話は大変です。

金子・三上 職員のスキルの問題も含め重度の方は受け入れが難しいという施設もありますが、うちは重い方でも無理とは言わず、原則受け入れるという方針です。

―これから富士見市まで送迎するのですか。

金子・三上 生活介護通所者が富士見市に転居されるので、他に希望者があれば一緒にと考えています。またグループホーム入居者で昼間の拠点が見つからない人がいるようなので。

―障害者に関わる制度について要望がありますか。

金子・三上 障害者支援の仕事は肉体的・精神的にハードですが、支援員の平均年収は低い。 雇用確保が課題となっており、国からの報酬のベースを上げていただければと思います。

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金子勝さんにこれまでの歩みを聞く

金子勝さん
金子勝さん

プロフィール 1960年富士見市生まれ、明治大学卒業。83年第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。2005年富士見市議会議員、3期務める。2016年埼玉県議会議員。2019年、2023年埼玉県議選落選。現在、社会福祉法人高栄会顧問。

代々政治家の家系

―富士見市の出身ですか。

金子 そうです。

―政治家の家系なのですね。

金子 ひいおじいさん(飛田和彌五郎)が鶴瀬村の村長をしており、祖父(飛田和一治)が埼玉県の企画部長、父(金子春男)が新聞社勤務後富士見市議会議員になりました。 

―お年は。

金子 1960年生まれです。

―大学時代弁論大会で優勝経験があるのですか。

金子 私は明治大学ですが、雄弁部の部長が父の知人だった縁で雄弁部に入りました。東京大学で総長杯争奪全国学生弁論大会というのがあり、たまたまそこで優勝したんです。

―大学卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に就職された。

金子 マスコミを志望していたのですが、大学の就職課から金融も受けておけと言われ、たまたま入ってしまった。当時銀行はよかったので。

―銀行では。

金子 支店は銀座支店、北九州支店。半分くらいは本部で審査や企画を担当しました。伊藤忠商事に出向したこともあります。

2005年富士見市議に、会派「草の根」立ち上げ

―2005年に市議選に出た。

金子 それまで父が市議をしていたのですが辞職することになり、地元から後をやってくださいというお話がありまして。

―市議になり新会派(草の根)を立ち上げたわけですね。

金子 八子朋弘さん(現埼玉県議)と草の根という会派を立ち上げました。当時議会改革が進まなかったので、我々の議会改革の志をしっかりと言っていこうと。

―市議から県議に。

金子 市議を3期務め、星野光弘県議(現富士見市長)が富士見市長選に出て空席になった県議の補欠選挙に出ました。ただ、2019年は再選を目指しましたがかないませんでした。

―県議になってから自民党に鞍替えされたのですね。

金子 市議の時は定数が21で、会派は最初は2人ですが、最後は6人まで増えて、分母が小さいのでそれなりに発言力がありました。特に議会の改革も柔軟に提案していくこともできた。ところが県議になると分母が90人になるので、議会改革を進めるにしても政策を進めるにしても大きな集団が必要だと思いました。

埼玉県のキャッシュマネジメントを提案

―議員として印象に残っている仕事は何ですか。

金子 市議の時代では、我々が一般質問で資源ゴミの取り組みを訴え、現在の廃棄物の持ち去り禁止条例につながりました。それから、大型商業施設「ららぽーと」を誘致する時、地権者をまとめるお手伝いをさせていただき、それなりに貢献できたと思っています。

―県議としては。

金子 今回7月に開通した国道254号バイパス志木・富士見間の予算を自民党の皆さんの力添えで私の時にとらせていただいた。それからこれから整備が始まる富士見市の産業団地は県の企業局が240億円くらいかけて土地を買収したのですが、これも私の時に予算化していただきました。

 それから、私はたまたま銀行の勤務経験がありましたので、県におけるキャッシュマネジメント、現金をいかに効率的に運用していくかについての仕組みを提案させていただいた。お金が残っているところと足りないところがあった場合、内部で貸し付けて外からお金を借りることはしないでやる仕組みです。当時の上田知事は理解してすぐ取り入れてくれました。私自身自分ならでの仕事ができたと思っています。

障害者福祉はやりがいがある

―障害者福祉の仕事はいつから。

金子 2019年に落選した時、知人のご紹介で関わるようになりました。

―障害者の世界は入ってみてどうですか。

金子 今、障害者施設と同じ法人が運営する保育園3園も見ていますが、皆さん純粋で、素のまま接してくれる人達に対して正直に誠実に対応していこうという仕事はやっていて気持ちがいいし、すごくやりがいがあります。同時にそれをいかに組織的に機能的にやっていくかというところではまだまだの面があり、私にも貢献できるかなと思います。

―富士見市について。

金子 私の家は代々富士見市にいて、やはり思い入れはあります。曾祖父から同じ鶴瀬小学校に通い、今自分の息子もお世話になっています。非常に住みやすいです。これからも少しでも役に立つことがあれば、とは思っています。

―選挙に再挑戦もありますか。

金子 今は、この仕事です。

                     (取材2023年8月)

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