小泉内閣時代、竹中大臣のブレインでもあった高橋洋一東洋大教授が、豊島園にある温泉の脱衣場で窃盗を働いたとして書類送検されたとのニュースには驚いた。
私は前職時に、高橋氏には何回かお世話になったことがあり、私にとってはもっとも尊敬でき、かつ親近感のもてる官僚の一人だった。ご存知の方もおられるだろうが、高橋氏は旧大蔵省のキャリア官僚であったが、小泉内閣時、旧知の間柄であった竹中氏に請われ、構造改革の企画立案にあたった。高橋氏は、財政投融資を担当した実績を持ち、特に郵政民営化、政策金融機関改革の推進には多大な貢献をした。また、最近の景気対策でも財源として計上されている、いわゆる「埋蔵金」(特別会計の余剰金)を”発見した”ことでも知られている。
高橋氏の功績は小泉構造改革を推進する知恵袋となったこととともに、官僚の生き方にまったく新しいモデルを示したことにあると思う。出身母体の大蔵省から離れ、その世話にならず、一匹狼として国家的視点から縦横無人に活躍した。省益にとらわれ萎縮している霞ヶ関官僚の、本来あるべき姿を鮮やかに描いてみせた。
高橋氏の性格は、飾り気がなく、気さく。どちらかというと、豪放磊落の野人タイプかもしれない。今回の事件の真相のほどはわからないが、そのような隙の多い性格ゆえ魔がさしたのかもしれない。これにめげずに、さらに日本の政策当局に刺激を与え続けてほしいものである。
コメント