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
港区白金台の国立科学博物館附属自然教育園を散歩した。東京都心、しかも白金というハイソな場所に位置する、約20㌶の広大な緑地である。私はすぐ隣の庭園美術館は何度か訪れていたが、自然教育園は広すぎて、単なる森のようで、パスしていた。今回訪問したきっかけは、『あなたの神さまが待っている開運神社』という本で、ここを非常にエネルギーが高い神域として紹介していたからだ。その理由は、自然の他、神道(皇室)、金持ち(豪商)、徳川家という属性が重なっていることにあるという。調べてみると確かに歴史が面白い。土器や貝塚が発見されていることから縄文時代から人が住み着き、平安時代に水田が開墾。室町時代には太田道灌のひ孫の新六郎がこの地を治め、「白金長者」と呼ばれた。「白金」の地名はここに由来する。江戸時代には高松藩松平讃岐守頼重の下屋敷、明治時代には軍の火薬庫、大正時代に宮内省の管理下「白金御料地」となった。大正10年に御料地の一部が朝香宮の邸地となり現在の庭園美術館につながっている。その後、戦後に文部省所管、天然記念物及び史跡に指定され、一般公開されるようになった。
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園内は林、池、湿地が自然のままの姿で保全されている。庭園美術館の庭がきれいに手入れされているのと異なり、むしろ自然の野生、荒々しさ。散策路を歩きながら、白金長者の館跡や讃岐守下屋敷庭園にあった老木なども見ることができる。神域のパワーははっきりとは自覚できなかったが、なんとなく心が洗われた気はする。
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