是川銀蔵の『相場師一代』(小学館文庫)という本を読んだ。是川銀蔵は、戦後株の仕手戦で活躍した人で「最後の相場師」と言われた。1992年に95歳で亡くなっているが、この本は93歳の時書いた自伝である。 私は以前株式本として読んだことがあったが、今回買い直してじっくり読んで驚いた。この人は大変な人である。16歳で単身満州に渡り軍相手に商売を始め、日本に戻り関東大震災でトタン板で大もうけするも金融恐慌で倒産。経済を猛勉強して是川経済研究所を設立。国際情勢の分析力で軍に信頼され、朝鮮に渡り是川鉱業、さらに是川製鉄を設立、従業員1万人を超す大企業となる。小磯朝鮮総督の知遇を得て、小磯内閣の閣僚も打診される。戦後は、コメの二期作に挑戦した後昭和35年から株式投資を再開。投資は、独自の情報と読みで、特定の銘柄に集中する方式で、日本セメント、同和鉱業、住友金属鉱山などの仕手戦で名をあげた。どれも筆頭株主になるほどの集中投資で、住友の場合は金の鉱脈のある土地をあらかじめ購入するなど経営にも深く関与した。とにかく、波瀾万丈、行動力はすごい。ゴーストライターがいたのかもしれないが、文章も上手で、面白い本です。
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