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出会い

 この歳になると、若い人たちの実態でわからなくなってくることが増えてくるが、その一つが「男女の出会いがない」という指摘である。
 少子化の原因である晩婚化、「少婚化」の背景として、各種調査で「出会いが少ない」という理由が必ず出てくる。私が以前勤務していたシンクタンクでも、ある人が独身男性が増えている理由を調べたところ、やはり「相手がみつからない」という答えが多かった。
 これはなぜなのだろうか。出会いの機会が以前より減っているとは思えない。ネットによる交流などを含めれば、たぶん拡大しているのではないか。また、今の若者は私から見れば、受け答えがスマートでソツがなく、コミュニケーション能力も高まっているように思える。昔のように、女性の前に立つと顔が赤くなり言葉が出ないような男は今では絶滅しているのではないか。
 ここから先は私の推測である。
 私の家では犬を飼っているが、散歩中犬は臭いを追いかけ、隣に雌犬がいても臭いを優先して見向かない。電車の中などで、今の若者は携帯に見入り、周りの人たちには無関心、あるいは拒否姿勢のように感じられる。
 もちろん携帯には有益で楽しい情報がつまっているだろうが、生身の人間の方がもっと面白いし大事なはず。
 それは赤の他人だから無関心なのか。私が若いころ、ある母親は「女は一歩外に出たらいつ見初めてくれる人が現れるかもしれないのだから、その心づもりをしておかなければいけない」と言っていたのを覚えている。
 先日、ある勉強会に出たら、古老が「最近の子供は、先生が知らないおじさんに話しかけられても返事をしてはいけないと教えてるから、『おはよう』と声をかけるとそっぽを向く」と嘆いていた。
 他人をみな、誘拐魔や痴漢とみなせば、出会いは学校や会社で隣の席に座った人、あとは、出会い系サイトと有料の結婚紹介業しかなくなってしまう。

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