世田谷区奥沢にある九品仏(くほんぶつ)浄真寺を訪れた。浄土宗の寺で枯山水など庭が有名なので前々から見てみたいと思っていた。庭自体は、紅葉の季節でないためもあろうだろうが期待していたほどではなかった。
感心したのは、一つは寺名になっている九品仏(九躰の阿弥陀如来像)である。この仏像は、寺を開いた珂碩(かせき)上人が印相の異なる九品(「上本上生」~「下本下生」)の阿弥陀如来像造立を一生の事業として発願し、江戸時代初期の寛文7年(1667)に完成させたものという。いわゆる大仏ほどではないが、高さ2㍍80㌢ほどの丈六像であり、堂々たる貫禄がある。それが3つのお堂に3躰ずつ、あっさりと置かれてあるのがよい(現在九品仏の大修繕中とのことで一部は見られない)。もう一つ感心したのは、寺が閉ざされず地域に開かれ、溶け込んでいることである。東急大井町線の九品仏駅近くから参道があり、だれでも自由に境内を散歩することができる。元は九品仏駅という名だったという自由が丘はすぐ隣だが、そこにこのような癒しの場所があるのはちょっと驚きだ。