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中野理恵さん

 以前、本紙に寄稿していただいたこともある中野理恵さんが『すきな映画を仕事にして』(現代書館)という本を出された。実は昨年の10月に出版されていたのだが、最近手に取ってみたら、これが実に面白い。中野さんと言えば、映画配給会社パンドラの創業者で現在も社長。ゲイであることを公言して暗殺されたハーヴェイ・ミルクのドキュメンタリー映画を皮切りに主にメジャーでない多くの海外の秀作映画を日本に紹介してきた他、かつてはウーマンリブの旗手の一人としても知られた。この本は、男社会に反発して、好きな映画を仕事にする事業を立ち上げてからの中野さんの記録、奮闘記である。それぞれの作品に関わる苦労話、様々な出会い、そして自らの生い立ちまでが、つづられている。私は映画にはあまり詳しくないが、人柄であろう、文章が、こきみよく、流れるようでスラスラ読める。そして何と言っても、どんな時でも切り拓く中野さんの行動力に、感心させられる。

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