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ラストバンカー

年を取り、楽しみの一つがブックオフでの雑本探しである。amazonの古本は便利だが、新しい出会いはない。ブックオフで主に新書の110円コーナーがよい。先日は3冊購入。1つめは、『息身佛』(板橋興宗、角川SSC新書、2011年)。海軍兵学校を出て戦後病気や様々な苦しみを経て仏門に入り、曹洞宗大本山総持寺貫首を務めた高僧が人生の歩みをつづった本だ。座禅の修行の重要性を説いており、呼吸法を学ぶ私にとってその方法が参考になった。2つめは、『ぼくは眠れない』(椎名誠、新潮新書、2014年)。椎名誠は好きな作家で、不眠症との戦いを詳しく記録している。面白かったのは、きっかけとなった、ある日深夜に見知らぬ女が押しかけてきた事件。参考になったのは、「ソルト風呂」が効いたという体験談。そして3番目で一番感銘を受けたのは、『仕事と人生』(西川善文、講談社現代新書、2021年)。西川氏は、住友銀行出身で三井住友銀行頭取、日本郵政社長などを務めた方で、現役時にイトマン事件、不良債権処理、さくら銀行との合併など数々の実績を上げ「ラストバンカー」とも呼ばれた。この本は自らの経験を振り返りながら、組織においてどのような心構えで仕事をすべきかを説いている。私は旧職時代にいろいろな金融機関の方と接触したが、住友銀行の人は仕事ぶりが他と違う。それだけ社風が厳しいのだろうが、この本でその背景が少しわかったような気がする。無自覚、無能なサラリーマンであった私にとって、今からでも見習いたいくらいだ。

「仕事と人生」
「仕事と人生」(西川善文著)
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東上沿線物語
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