中央高速の国立府中インター近く、「yakult」の文字を掲げた巨大な建物が見える。ヤクルト中央研究所だ。私はヤクルト1000を愛飲し日頃お世話になっており、開発した代田稔博士はどういう人だったのか興味があり、代田記念館見学会に参加させていただいた。まず驚いたのは、研究所の規模だ。敷地約3万㎡、7つの棟から成り、研究員だけで300名、総人員400名、国際会議場も備えるという。ここは研究開発だけでなく、ヤクルトの根幹である乳酸菌の種菌を製造し、世界各地の製造拠点に供給する役割も果たしている。
代田記念館には代田博士の生い立ちから乳酸菌の開発、ヤクルト創業に至る歴史が展示されている。代田博士は長野県飯田の出身、昭和5年、京都帝国大学で微生物学を学んでいる時、ヒトの健康に役立つ乳酸菌の強化培養に成功。これが今日までヤクルトの原料となっている乳酸菌、「シロタ株」である。それから5年後、ヤクルト研究所を設立、ヤクルトの製造販売に乗り出す。ヤクルトの事業化には、永松昇という人(後のヤクルト本社初代社長)が重要な働きをしたようだ。ヤクルトの開発から事業化に至る過程は非常に興味深いので、いずれ調べてみたい。記念館には代田博士のノートをはじめ愛用の品々も展示、書とカメラが趣味で、雅号の「萬年」は万年床からとったという。