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ジャズ喫茶

 はるか昔、私が大学生のころ、ジャズ喫茶によく通った。暗い店内でレコードをかけ、コーヒーを飲ませるだけだが、学生運動華やかなりし当時の、少しネクラな学生の気質とマッチしていた。私は、国分寺駅前にあった「モダン」という店が好きだった。
 就職してからもしばらく三鷹に住み、吉祥寺によく行った。当時、都内では新宿と吉祥寺がジャズ喫茶のメッカで、吉祥寺だけでも20軒以上あったはずだ。
 その後、ジャズ喫茶は徐々に姿を消していった。暗がりで一人でジッとジャズを聴くような行動をとる人が減ったこと、コーヒー一杯で何時間も粘られては経営が成り立たなくなったこともあるだろう。
 神田神保町にあった「響(ひびき)」という店が閉店したとき、ある新聞に「さらば青春の響」という見出しが載ったことを覚えている。
 ところが、地域紙の仕事を始めて、いろいろ歩き回っていて、東上沿線にジャズ喫茶が生きながらえていることを知った。
 その一つが、BUNCA(志木)だ。この店は、大型の音響装置に、LPレコードのコレクションという、昔からのパターンをかたくなに守っている。まさか志木で、このような店に出合えるとは思わなかった。ぜひ本紙で紹介したかったが、店主があまり表に出るのがいやな方のようで、そのままになっている。
 朝霞台駅前には、ライブが主だが、「停車場」という店があり、こちらは本紙で取り上げさせていただいた。この店から巣立った有名ミュージャンもいる、本格派のジャズクラブである。
 そして、同じく朝霞の「海」。実は、私は以前、この店の近くに住んでいたが、その歴史をよく知らなかった。最近、「海」がわが国で現存する最古のジャズ喫茶であるらしいことがわかった。次号、「基地の町朝霞」特集でご紹介する予定です。

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