知人の一人に地方出版社、まつやま書房(東松山市)の山本正史社長がいる。弊紙が立ち上げの頃、いろいろご支援いただいた。まつやま書房は、山本社長と息子さんで切り盛りしているが、実に味のある、面白い企画を打ち出す。出版不況と言われ、特に地方出版には逆風が吹く中、事業として継続されているのは素晴らしい。
そうした中、2点が目に留まり、記事化させていただいた。一つは、『山王焼』(比留間隆敏著、2018年12月)だ。東松山に江戸時代から続くやきもの、山王焼の歴史とその技法などの特徴を記したもの。著者の比留間さんは、現在「新山王焼」として山王焼を継承している横田隆史さんに弟子入りして陶芸を学んだ方だ。「伝統の山王焼」記事はこちら。
もう一つは、『探訪 比企一族』(西村裕・木村誠編・著、増補新版2018年6月)だ。源頼朝を支え鎌倉幕府設立のカゲの立役者となった比企の尼をはじめとする比企一族に関し、各地の伝承などを調査し、真実の姿を描こうとした力作だ。著者の西村氏のインタビューを「中世史に大きな足跡を残した比企一族」として記事化した。
両書とも、文章はすきがなく、内容も私にはほぼ完ぺきと見える出来栄えである。これを読めば、これまであまり世に知られていない山王焼、比企氏に対する理解が深まり、関心が強まることは間違いない。
さらに驚きは、著者の比留間氏は公務員、西村氏は退職後勉強したという、以前は専門家でなかった方であること。地域の埋もれた宝と人材を発掘する、まつやま書房に感謝したい。まつやま書房の作品リストを見ると、新しい発見があります。
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