東上線若葉駅から真っ直ぐ2キロほど進むと、田園風景の中に中国風の大きな建物が現れる。初めて見た人は、びっくりするに違いない。周囲とまったく調和しない「異空間」、ぶっ飛んでいる。そのはずである。これは、台湾人の康國典という方が大病をし神様に助けてもらったお礼に神社を建てようとしたら神様から場所を指定(緯度経度)された。その場所が埼玉の坂戸で、異国の地に大変な労力、年月、資金を投じて建設した道教のお宮である(本紙記事)。周囲との関連は一切ない。一直線である。今回、根津嘉一郎氏の計画した「朝霞大仏」の取材をし、同じような感じを受けた。とにかく、個人で、宗派に関係なく僧侶を教育する学校を建てるとか、日本最大級の大仏や梵鐘を作るとか、話がぶっ飛んでいる。東武鉄道と言えば、どちらかと言えば、手堅い、保守的な会社であるように見える。その会社の実質的創業者が、このような人物であったとは私にとってはちょっとした驚きであった。朝霞大仏は戦争のため幻で終わったが、根津氏の同様の社会貢献事業の武蔵学園や根津美術館は形になって残っている。