今回、地域とは離れるが、「身近なデータで景気を読む」と題して、エコノミストの宅森昭吉さんを紹介させていただいた。宅森さんはこの3月に金融機関を退職されてから「景気探検家」を名乗られるようになった。その姿がすがすがしい、頼もしいと感じたこともあるが、同時に宅森さんの経済を見る目が面白く、私自身以前から影響を受けてきた方だからである。昔、宅森さんが「巨人が勝つと株が上がり、景気もよくなる」と言い出した時には驚いた。宅森さんは旧来型の経済学に立脚した経済分析・予測もきちんとできる方なのだが、いろいろな出来事と景気との関係を拾い出してそれを景気や市場の予測に使ってきた。理由はよくわからない関係をジンクスと呼ぶことが多いが、宅森さんは因果関係が重要だと言う。巨人や阪神はファンが多いから、その人達が元気になれば経済にも影響するというわけだ。私はさらに加えて、世の中の出来事、人間のやることはすべて相互に影響し合っているのではないかという気がする。最近の将棋の藤井聡太さんの活躍も、活躍したから景気が上向いたという面と、世の中が上げ潮の時は、活躍する若い人が登場するという側面もあるのかもしれない。個人の人生でも集団でも、勢いとか波があり、すべてがそれに影響される。経済も不思議な世界である。