ふじみ野市福岡の大規模ショッピングセンター「イオンタウンふじみ野」に、障害者就労継続支援B型事業所「リハスワークふじみ野」が2022年4月に開設される。ショッピングセンターに障害者施設が入居するのは異例である。
金沢QOL支援センター株式会社
開設する「リハスワークふじみ野」は、イオンタウンふじみ野の店舗棟の一角の2階部分210㎡を使用。障害者20名を受け入れる計画。一定距離内の送迎も行う。作業は当面、能登ヒバ・ヒノキチップ、はがき、しおり、菓子の製造だが、就労支援コーディネーターを設置し、新しい仕事を開拓する。在宅就労にも対応する。
「リハスワーク」は、金沢QOL支援センター株式会社(本社金沢市、岩下琢也社長)が運営する就労支援施設。同社は元々作業療法士であった岩下社長が2012年に設立した。訪問看護事業から始め、その後リハビリ型就労スペース「リハス」(就労継続支援A型事業所)、脳卒中・身体障害専門就労支援センター「リハス」、就労継続支援B型事業所「リハスワーク」、農福連携を行う「リハスファーム」などを幅広い障害者就労支援事業を手がける。
首都圏には、2019年1月に脳卒中・身体障害専門就労支援センター「リハス」、2020年1月に東京・大塚に「リハスワークとしま」を開設、「リハスワーク」は現在までにさいたま市浦和区、朝霞市、茨城県つくば市のほか、愛知県内に3カ所ある。
ショッピングセンター、イオンタウンふじみ野は2020年にオープン。日本無線の工場跡地に建ち、施設面積35000㎡、92店舗が入居する。物販だけでなくコミュニティの拠点機能を持たせ、社会貢献活動にも参加できる場とするコンセプトを掲げている。リハスワークはイオンタウンと提携し、ソーシャルテナントとして入居する。同社として初の、全国的にも極めてまれな商業施設への開設となる。
リハスワークふじみ野の開設を進める金沢QOL支援センター(リハスワークあさかセンター長)の大山浩太さんにお話をうかがった。
医療介護資格の有資格者が7割
―リハスワークの特徴はどんなことですか。
大山 スタッフは理学療法士、作業療法士など医療介護資格の有資格者7割を占めます。専門的なアセスメント、エビデンスにもとづいた支援ができると思います。
―どんな障害の方が多いのですか。
大山 制限はかけていません。これまでの実績では、精神障害(発達障害を含む)が半数、 身体障害が4割、知的障害が1割というところです。特別支援学校を卒業して来られる方もいますし、中途障害(就労して障害が発現)の方、他の施設から移られる方とまちまちです。
工賃5万円を目指す
―工賃はどれくらい払われるのですか。
大山 B型事業所では労働の対価として工賃が支払われます。令和元年時点で月16369円が全国の平均値です。これを私どもは月5万円に引き上げることを目標にしています。
―工賃引き上げはどのようにして可能になるのですか。
大山 現在作業の内容の柱の一つである能登ヒバのチップやはがき、しおりは石川県の特産品を生かし今の時代に求められている商品として私どものグループ(A型事業所)で開発しました。また、朝霞では「ジョブボン」と言って、地域の企業や病院などと提携し、古本を回収し再生して販売するビジネスも手がけています。リハスワークでは就労支援コーディネーターを配置し、企業における仕事を独自で開拓しています。多様性ある仕事を通じ、ご利用者様の強みを引き出す支援を提供します。
―朝霞のリハスワークも駅前のビルですし、ふじみ野は商業施設と、立地がこれまでの障害者施設とまったく異なります。
大山 福祉施設のイメージは元々地味で暗い面があります。いろいろな作業所あっていいのですが、私たちはそれを払拭していきたい。カフェ的な雰囲気があってもよいし、働く人もオフィスに仕事に来ているという感覚を持ってもらいたい。そこを大事にしています。
―金沢QOL支援センターは株式上場をされる計画なのですか。
大山 IPO(新規株式公開)を目指しています。
―スタッフの方が皆若いですね。
大山 社長の岩下は38歳、私は31歳です。
(取材2022年3月)
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