9月号では、日高の人気スポット、サイボクハムの笹崎龍雄会長にご登場いただいた。
会長は、造語とたとえを交えた話術の名人で、事業のことから、社会時評、人生論まで縦横無尽に語ってくれた。さすが91年を生きた人生の達人で、そのことばは私にとっても非常に参考になりました。
会長は、サイボクハムの成功、人気の理由について「惚れて通えば千里の一里。恋も味も同じようなもの」とし、「本当においしければ必ずまた買いに来てくれる」と、本物のおいしさをあげる。
我々も、時々家族でサイボクを訪れるが、豚肉、その加工品をはじめとする製品の味がよいことは間違いない。
それでは、なぜサイボクの肉はおいしいのだろう。ここで笹崎会長が元々獣医であり、養豚に関わるようになってから『養豚大成』というテキストを書き、それがベストセラーになり、世界各国にも翻訳出版されるほど、養豚技術の専門家であるということに注目したい。つまり、味の背後には、小手先のテクニックやイメージではなく、確固とした養豚技術の集積がある。これは、とかく販促戦略に頼ろうとしがちな昨今の企業の行き方と異なる、本来のベンチャーの姿であろう。
ただ、サイボクの品は、肉以外もおいしい。調味料、飲み物、野菜、果物、米—。私は、よくサイボクでパンを買う。そのパンは、都心の有名店より私には本物の味に感じる。
元々は笹崎会長の知識、技術で始まったサイボクだが、現在はそうした本物を求める遺伝子が全社に浸透してきているのであろう。社員の方々も皆さん明るく、前向きである。
これまでローカルにとどまっていたサイボクだが、最近池袋の東武百貨店に直営店を開いた。全国区になる日も近いと思われる。
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