なつかしいラジオCMを覚えている人もいるだろう。越生で昔から伝わる郷土の銘菓、「一里飴」。守り抜いてきた一里飴本舗住吉屋製菓の大山幸子さんにお聞きした。
一粒で一里歩ける
―一里飴の歴史は。
大山 もともとあったのは梅の蜜を原料とした医薬品みたいな形で作ったのが始まりのようです。最初は行商で飴を売っていたようです。
―いつごろの話ですか。
大山 1464年に生まれた田代三喜という人(医学者)が作ったとされているんです。
―今も昔と同じものなんですか。
大山 製法は同じです。大きさは大分変わりましたが。昔は一粒で一里もつから一里飴という名をつけたらしいですから。
―どういうことですか。
大山 口の中に入れて一里歩けるということです。昔は口の中がいっぱいになるほど大きかった。あまり大きすぎると苦情があったので、今の大きさにしたと聞いています。
―何が入っている。
大山 水飴、お砂糖、蜂蜜が主ですね。
―普通の飴に比べ特別なものが入っているわけではない。
大山 そうですね。
―受け継いでいるのは住吉屋さんだけですか。
大山 今は作っているのはうちだけです。越生駅前に大山さんという先々代の弟さんの店があり、そこが支店という形です。
―大山さんで何代目ですか。
大山 私で4代目。
―販売は他には。
大山 丸広(百貨店)さんと毛呂山のいなげやさん、他に菓子問屋に卸しています。
―一里飴が長く続いたのはどうしてだと。
大山 皆さんが言われるのは、後味が残らないと。あと、噛んでも歯にくっつかないから入れ歯の人でもいいと。
―作り方にコツが。
大山 そうでしょうね。他の飴を見たことはありませんが。
全国放送ラジオでCM
―CMが有名だった。
大山 ラジオですね。「一里歩いて一里飴。もう一つ歩いて一里飴」。
―全国放送ですか。
大山 文化放送でやっていたんです。大分前ですね。その後、TBSでもお世話になったんですが、それもやめちゃいました。
―どういうお客さんが多い。
大山 ご注文いただくのは、本当に全国から。沖縄まで送ったりしますので。ここ出身の人がおみやげで持って行っておいしかったから直接ほしいとか。
―どういう使い方。
大山 自分で食べる人の方が多いようです。贈り物より。
―一袋の中身は。
大山 粒にすると27、8粒。
―値段は
大山 値段一袋200円(税別)で変わらないですが、中身が少しずつ減ってきていますね。材料があがっていますから。
―袋のデザインは昔のまま。
大山 変わらないですね。
―菓子博覧会の受賞も。
大山 いろんなのに出して、いろいろいただきました。
―最近、飴の需要はどうなんですか。
大山 やはり落ちてきていますね。お客さんはお年寄りの方が多いですね。前は敬老会などでよく使ってもらっていましたけど。
―まんじゅうも作っている。
大山 酒(さか)まんじゅう。これはあちこちのお菓子屋さんで作っているのと同じです。皮を甘酒でこねている。
―価格は
大山 一個90円(税別)です。
―他は。
大山 自家製は飴、饅頭と、他は最中ですね。
―最近越生の町は。
大山 よくないです。梅林も入場者が減ってきているようですね。
(本記事は「東上沿線物語」第22号=2009年1月掲載記事を2021年1月更新したものです)
住吉屋製菓〒350-0416 埼玉県入間郡越生町越生699
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