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GABA(ギャバ)を 多く含む発芽玄米 不安・ストレスを解消する効果

玄米は体によいと言われる。その玄米を発芽させた発芽玄米は、GABA(ギャバ)を多く含むなど栄養価が増し、健康効果が高まる。GABAは不安やイライラを解消するなど、メンタルに作用し、現代のストレス環境にうってつけの成分だ。発芽玄米について、その啓蒙・普及活動を行う一般社団法人高機能玄米協会の日浦拓哉事務局長(㈱ファンケル事業企画本部事業開発部次長)にお話をうかがった。

玄米は生きたおコメだから発芽する

―発芽玄米とは。

日浦 コメは基本的に種子です。脱穀する前のコメはもみ殻がついていますが、そのまま放っておくと雨に濡れれば発芽します。玄米も水につけると発芽するんです。我々が普段食べている精白米は玄米から糠層(胚芽、果皮)を全部削っています。言い方は悪いですが「死んでしまったおコメ」です。これに対し玄米は生きたおコメなんです。生きているから、種子の中の酵素が働くと発芽します。玄米に水と温度を与えると、中の酵素が活性化して、発芽しようとする。その瞬間、一番いい栄養状態の時に発芽を止め、熱をかけて乾燥させて発芽玄米を作ります。

芽を出そうとする瞬間にGABA(ギャバ)という物質が増える

―発芽玄米は何がすぐれているのですか。

日浦 玄米は酵素が活性化して胚芽部分から芽を出そうとする瞬間にGABA(ギャバ)という物質が増えるんです。元々玄米は白米に比べて栄養価が高いのですが、発芽玄米はさらに栄養が付加される。また発芽する時に玄米の表皮が柔らかくなり炊飯もしやすくなります。

―GABAが含まれることが発芽玄米の特徴ということですか。

日浦 そうです。発芽玄米には、普通の玄米と同じ食物繊維やビタミン、ミネラル類、認知症によいとされているフェルラ酸とか、体によいとされる成分がほとんど含まれていますが、GABAを多く含むことが最大の特徴です。

ファンケル資料

GABAは血圧を安定させ、リラックス、集中力を増す

―GABAとは。

日浦 GABAは「ガンマ―アミノ酸」というアミノ酸の一種で、特に哺乳動物の脳や脊髄に存在します。体内では抑制系の神経伝達物質として、脳内の血流を活発にしたり、脳機能の活性化を促す働きをします。そのため、GABAは血圧を安定させたり、イライラや不安を解消しリラックスしたり、集中力を増すとかの効果があります。

発芽玄米は100g中に15mgのGABAを含む

―ストレスの多い現代ではGABAの精神作用は注目されますね。

日浦 現代人は慢性的なGABA不足状態にあるといわれています。パニック障害など精神の不安定な人はGABAで調整します。薬やサプリメントとして処方されることもあります。食材ではトマト、ナス、カボチャなどの野菜や果物に多く含まれます。サプリメントの他、GABAを多く含むチョコレートや飴なども出回っています。その中でも発芽玄米は100g中に15mgのGABAを含み、最もGABAを摂取できる食品です。主食でもあるためGABAを効率よく摂取できます。

GABAが増える最適条件の時点で発芽を停止させる

―発芽玄米を製造するには技術がいるのですか。

日浦 玄米を炊飯器に入れて24時間水につけて、温度をじわじわかけていれば芽は出ます。ただ芽が全部出てしまうと芽に全部栄養をとられて栄養価と食味が低下しまう。だから、一番GABAが増える最適条件の時点で発芽を停止し、栄養価と食味が最も高い状態を保つ必要があります。GABAは水溶性なのでいつまでも浸けていると溶け出てしまうという問題もあります。

ファンケルが発芽玄米の最大手

―ファンケルが発芽玄米の最大手なのですか。

日浦 一番量としては多いです。

―ファンケルといえば化粧品のイメージですが、発芽玄米を扱い始めたきっかけは何ですか。

日浦 この分野は国の研究の方が早く、中国農業試験場が1990年代に玄米が発芽する時にGABAが付加されることを発見しました。そのころ玄米は炊飯が難しくボソボソしてあまりおいしくないのであまり食べられていなかった。ファンケルはすでにサプリメント事業を手がけており、1999年に21世紀の高齢化社会の主食候補として発芽玄米を発売しました。おコメに機能性の付加価値をつけたのはこれが初めてです。業界の先陣を切りました。




―他に生産者は。

日浦 秋田県の大潟村あきたこまち生産者協会というところで作っています。それから今パックゴハンの形で発芽玄米のごはんがいろいろなメーカーから結構出ています。

胚芽の大きい、「金のいぶき」というコメ

―一般社団法人高機能玄米協会とは。

日浦 元々は発芽玄米の業界団体でしたが、「金のいぶき」というコメを扱うようになり、2014年に玄米の用途開発と啓蒙を行う団体に衣替えしました。

―「金のいぶき」とは。

日浦 コシヒカリとかと同じようなコメの品種です。古川農業試験場で開発し宮城県が主たる産地です。おいしくて胚芽が大きいという特徴があります。栄養価もビタミンEやGABAの量が多い。これを新品種として当協会が見つけて正しく栽培する方法を確立し、販売を広げる活動をしています。ファンケルの発芽玄米に使っていますが、必ずしも発芽させなくてもそのままでも食べられます。

食べやすく扱いやすい発芽玄米

―あらためて発芽玄米のPRをしてください。

日浦 栄養面ではGABAが一番の特徴ですが、そもそも玄米ですから食物繊維の働きで腸内環境がよくなる。玄米の食物繊維は小腸を通過して大腸に直接届く。乳酸菌の餌になり、いい発酵を生みます。便秘が治ったなどの声を聞きます。

それと、玄米を食べやすく扱いやすくしている。いったん熱をかけてそこから乾燥させているので炊飯したようなもの。普通のごはんと混ぜても、そのままでも炊飯しやすい。

―値段は。

日浦 ファンケルでは1キロ税込963円(通信販売)で販売しています。

(取材2021年6月)

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