ふじみ野市の上福岡駅から約5分、ビルのらせん階段を上った3階に重厚な空間が広がる。珈琲とギャラリーのエーデルだ。炭焼きコーヒー、ダッチコーヒーなど本物の味を提供すると同時に、主に地域の作家の絵画を展示するギャラリーでもある。40年以上にわたり店を守っている店主の白井健二さんにお話をうかがった。
オープンは昭和48年
-このお店はいつ開かれたのですか。
白井 昭和48年からここで営業しています。
-店名の「エーデル」とは。
白井 ドイツ語で、エーデルワイスのエーデルで、エレガントとか気高いとかの意味です。
-当時の写真を拝見すると、すごく豪華な造りですね。
白井 採算度外視で、当時は、この辺では桁外れに目立ったお店だったと思います。(経済が上り坂であった)時代背景もあったでしょうね。
-喫茶店を開かれたきっかけは。
白井 ずっと食品卸の仕事をしていましたが、何か商売しようと考え、コーヒーは家内も私も好きだったので。その時40歳でした。
-当時、上福岡はどのような街だったのですか。
白井 公団住宅ができて、商店がポツポツとでき始めた頃でした。畑や空地がいっぱいありました。
-現在はおいくつになられたのですか。
白井 84歳です。
ダッチコーヒー
-その間お店に変化は。
白井 建ててから12年後の昭和60年に今のビルに建て替えました。
-メニューは。
白井 基本は変えていないです。
-コーヒーの味の特徴は。
白井 売り物は炭焼きブレンドです。一般に炭焼きコーヒーとされているものの多くはまがいものですが、ここのは備長炭でじっくり焼いている文字通りの炭焼きです。
―値段は。
白井 炭焼きブレンドが500円です。最初に炭焼きを出したのが昭和60年ですから、当時では格別高かったです。
-ダッチコーヒーは。
白井 最初から扱っています。炭焼きブレンドの豆を使い、水で、点滴のように5秒に1滴くらい落ちるように調整して抽出、8~10時間かけて、下にたまったコーヒーを冷蔵庫に冷やしておきます。注文があると、多少甘みをつけて、生クリームを浮かせて、お出ししています。
-ダッチコーヒーは今は珍しいですね。
白井 今は、このように手間ひまかかって能率の悪いことはあまりやらないですね。
-メニューは豊富です。
白井 食べ物はサンドイッチ類以外ありませんが。
名窯のカップが150客
-りっぱなカップが揃っています。
白井 主にヨーロッパのものですが、マイセンとか、ウェッジウッドなど名窯と言われるものを揃えています。150客ほど置いてあり、全部使っています。
-お客さんが選べるのですか。
白井 選んでいただけますし、私どもでお客様の雰囲気に合わせて見繕ってお出しています。
自身も絵を描く
-店内に絵画を展示するギャラリーでもあるのですね。
白井 店を建て替えて以降、水曜から日曜まで5日間の単位で展示しています
-どのような作家さんを。
白井 作家では、西山晋、広井良昌、村松均各先生など。あとは、私の所蔵品や私自身の絵も飾ります。
-ご自身も絵を描かれるのですか。
白井 昔から好きで描いています。
-油絵ですか。
白井 出品していたのは油絵です。新洋画会の会員でした。
-カウンター奥に飾られている絵もご自身の作品ですか。
白井 スペインのトレドという古い街の風景です。
常連さんも入れ替わる
-これまで長くお店を続けられたのは何によるのでしょうか。
白井 よいお客様に恵まれているのですが、自社物件で営業しているということともあります。
-固定客が多いのでしょうか。
白井 常連さんもいつの間にか変わっていくものなんです。30数年来ていただいている方もいますが、44年前からの方はいないですね。大きく、3回くらいは入れ替わっているかもしれません。
珈琲とギャラリー エーデル ふじみ野市上福岡1-10-2
049-261-3020 月、火曜定休
(取材2017年5月、その後閉店)
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