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川越市高階地区新河岸駅周辺の整備
紆余曲折を経て
駅舎橋上化、駅前広場など完成

川越市の東上線新河岸駅を中心とする高階(たかしな)地区の風景が最近変わった。平成29年末には、新河岸駅が橋上化され、新たに東口を開設。また東西駅前広場を含む駅前通り線とそれを結ぶ自由通路が建設された。しかし、事業が計画されてから現在に至るには、約50年もの長い歴史があった。新河岸駅周辺の都市基盤整備の概要と経緯について、川越市都市計画部新河岸駅周辺地区整備事務所の小林学所長にご説明いただいた。

当初は区画整理の計画

―高階というのはどういう地域ですか。

小林 東武東上線の新河岸駅を中心とし、東を新河岸川、北を不老川が流れ、南北を川越街道(国道254号)が縦貫する地域です。人口は約53千人(令和元年6月)で、川越市でも非常に人口の多い地区です。

―ただ、都市基盤が整っていなかったわけですね。

小林 新河岸地区は高度経済成長期に都心のベッドタウンとして注目されるようになりました。しかし、元々あった農道や路地沿いに次々と住宅が建てられ、道路ですとか、公園、下水道など本来整備されるべき都市基盤が未整備のまま、宅地化が進みました。

―それに対して、当初は区画整理事業の計画があったそうですが。

小林 昭和42年に区画整理事業として都市計画決定し、川越街道旧道より西側の区域(第1工区、現在の砂新田1丁目から4丁目)については、昭和53年度に事業が完了したのですが、残る東側の区域(第23工区、約72.5㌶)については、住民の合意形成が難航し、長期間事業に着手できない状況が続いていました。

まちづくり方式を転換

―やはり区画整理は、地権者の調整が難しいのですね。

小林 区画整理という事業手法は、簡単に言いますと地権者が少しずつ土地を出し合い(減歩)、道路や公園などを生み出し、不整形だった土地を整えて改めて配置(換地)し、必要な上下水道なども併せて整備するまちづくり手法の一つです。接道や上下水道などが整備されるなど条件が良くなることもあり土地の資産は増進しますが、減歩により土地の面積が実質上減少することもあり、住民の合意形成が中々進みませんでした。一方その間、区画整理で整備する予定であった都市生活に必要な下水道などは個別に整備されたため、区画整理事業そのものが停滞してしまう状況となっていました。

―そして、大きな方向転換を行った。

小林 そこで、区画整理に代わるまちづくりの手法について、地域の皆さんと話し合いを進め、平成25年に、未接道地の解消、骨格道路の整備、地区計画制度を活用した街並み形成などを内容とする新しいまちづくり方針(通称:高階まちづくりプラン)を作成し、未着手であった残りの区域(約72.5㌶)について、新しい手法によるまちづくりに着手しました。

平成29年末に自由通路、駅舎の橋上化、駅前通り完成

―その事業により新河岸駅周辺が生まれ変わったわけですね。

小林 まず、未接道地の解消事業につきましては、地区内に6箇所指定した区域のうち、2箇所の整備が完了し、現在残りの4箇所についても検討を進めています。次に骨格道路の整備につきましては、寺尾大仙波線(前期)、駅前広場を含む東西駅前通り線の整備。それに関連し、東西連絡自由通路及び新河岸駅の橋上化を実施いたしました。これにより地元の皆さんの念願であった新河岸駅の東口が開設され、新しくできた駅前広場には送迎用駐車場の設置やシャトルバスの乗り入れなど駅へのアクセスが格段に向上しました。加えてソフト面で地区計画という、建物の用途や大きさの制限等、まちづくりに関するルールを定めて街並み形成を誘導してきました。

 西口駅前通り
    西口駅前通り

        
           東口駅前通り

 
   西口駅舎

                
                     東西自由通路

―基盤整備はこれで終わったのですか。

小林 今後は、残る未接道地の解消事業、骨格道路整備事業として寺尾大仙波線の後期整備、新河岸駅北通り線の整備を進めていく必要があります。

―新河岸駅北通り線は、駅の南側で踏切を渡る従来の道路に代わる役割を果たすということですか。

小林 現在地区の東西をつなぐ主要な道路は市道0043号線ですが、道路幅員が狭く駅直近の踏切を渡っており、朝夕のラッシュ時には踏切付近で歩行者、自転車、自動車等が輻輳(ふくそう)し、非常に危険な状況となっています。そのような状況で新たに東西を横断する広い道路を造ることは、市道0043号線の交通負荷を低減する効果に期待できます。今までは通過交通も駅へ向かう交通も主に市道0043号線を使っていました。今は駅へのアクセスは東西の駅前通り線を使えますので、市道0043号線の交通量は若干減少しています。北通り線が開通した場合、更に交通が分散され地区内の横断がより快適になるものと想定されます。

―今回、駅舎が100mほど川越寄りに移転したわけですが、どうしてですか。

小林 駅周辺の整備構想は、段階を経て進めてきた経緯があります。その中で、駅前広場を含む東西駅前通り線や自由通路、駅舎の橋上化や東口の開設などを検討し、現在の駅舎の位置なども決めてきたものです。

事業経費

―事業の予算はどれほどだったのですか。

小林 駅舎関連整備費、骨格道路整備費等で約74億円です。 

―市の予算ですか。

小林 事業主体は川越市ですが、国・県の補助金交付を受けながら残りを市の財政で負担しています。

―駅の整備は東武鉄道が行ったのですか。

小林 駅舎の更新については、鉄道事業者の意思で行う場合と自治体が鉄道事業者へ整備をお願いする場合とありますが、今回は後者の『請願駅』にあたります。整備に当たっては、鉄道関連の特殊な工事があることや運行に係る安全性確保の為、川越市と鉄道事業者との間で工事委託に関する協定を締結し進めました。なお、自由通路は市の所有となりますが、駅舎は整備後に鉄道事業者の所有となるため、双方で事業費の負担割合を取り決め負担金に係る協定を締結して事業を進めました。

東口からのアクセス時間短縮

―整備の効果はどうでしょうか。

小林 一番は東口が開いたことです。これまで駅東側の人たちは地下通路を通ったり、駅に近い踏切を渡って西口を利用していましたが、東口の開設と自由通路の整備により、駅東方面から改札までのアクセスは約4分短縮されました。また市営のシャトルバスも、停留所が東西の駅前広場にできましたので、従前の停留所から改札口までのアクセス時間と比較して約2分短縮されました。また自由通路の整備により東西の交流がより活発になりました。

 更に新しい駅舎ができた後、住民の暮らしが明るくなったように感じます。通勤通学者のモチベーション維持にも大きな効果があるのではないでしょうか。…新しいエスカレーターを上り、新しい自由通路を抜けて改札口へ。改札を一歩入ると、そこには鉄道事業者さんの協力により音楽やアロマの香りが流れる…。これらは駅を利用する人に一瞬の癒しを提供していると思います。また自由通路には市営の広告掲示スペースもあり地元事業者のPRに貢献しています。

一方、新しい駅が地元の人々に馴染み始めた今年の春、地元商店会が中心となり駅前広場に隣接する児童遊園で伝統の舟運祭りとコラボした感謝祭が開催されました。これは今まではなかったことです。

―駅前広場もなかなか行き届いていますね。

小林 西口が約3200㎡、東口が約3100㎡。送迎用駐車場、シャトルバスのりば、思いやり乗降場、タクシーのりばなどを備えています

            
                      東武ストア跡地・建設予定地

商店街の活性化が課題

―商店街はまだ寂しいです。

小林 駅前の東武ストアが今取り壊され更地になっています。2021年頃にリニューアルオープンしたいということなので、合わせて駅周辺の活性化ができないかと、昨年から地元の方々を中心とした検討会を立ち上げ、まちあるきやワークショップを重ねながら検討を進めています。

                
                                           小林所長

         (取材2019年7月)