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埼玉の役立つ植物を紹介
現代有用植物展

 
 秩父市長瀞町にある埼玉県立自然の博物館で、「現代有用植物展~くらしと植物のステキな関係」と題する特別展(
2017年1月15日まで)が開かれている。埼玉県内の、様々な役立つ植物の紹介をしている。学芸員の木山加奈子さんにご案内いただいた。

<埼玉県立自然の博物館について>

「鉱物植物標本陳列所」がはじまり

                     
                          博物館外観

 当館の歴史は、元は秩父鉄道さんが、大正10年に「鉱物植物標本陳列所」という小屋を今の博物館の向い側に建てたのに始まります。それが戦後秩父自然科学博物館に発展、1981年に県に移管されました。長瀞という場所柄もあり、鉱物や地質関係の資料が充実しています。長瀞コーナーもあります。
 1階に、地学展示ホール、生物展示ホールがあり、生物展示ホールは、埼玉の多様な自然環境を再現するジオラマです。今回の企画展は、生物展示ホールと、2階の企画展示室を使って展示しています。

巨大哺乳類パレオパラドキシア

 パレオパラドキシアという哺乳類の化石です。今年3月に国指定の天然記念物になりました。ジュゴンとか近いですが、同じ種は絶滅しました。秩父地域は昔は海だったので、浅い海に棲んでいた動物です。

                    
                       パレオパラドキシア 

 <自然の恵み>

岸壁に生えるイワタケ 

 亜高山帯の環境での植物の利用として、岸壁に岩茸(イワタケ)という地衣類があります。地衣類は、キノコに近いですが、キノコの中に藻類が共生しています。岸壁によじ登って採取します。江戸時代から珍味として江戸に出荷されていました。三峰山や両神山などで売っています。

       

 

山菜

 秩父地域では、まだキノコや山菜など植物を採取して食べる文化が残っています。ワラビ、タラノキ(たらのめ)、フキ、モミジガサなど。

栃の実を使った郷土料理、とち餅

 秩父の郷土料理で有名なのは栃の実を使ったとち餅ですが、葉ももち米などを包んでちまき風にするつとっこという料理もあります。

武蔵野の雑木林

 武蔵野の台地丘陵の雑木林の主要な樹種がコナラ、クヌギのどんぐりの木です。昔は薪炭に利用、落ち葉はたい肥にしていました。作物の代表が、川越イモです。武蔵野の雑木林は、江戸時代の新田開発より前は、草原が広がり、馬草場として利用されていました。


 埼玉が全国シエア2位のクワイ

 埼玉の低湿地は、水田地帯ですが、かたわらでいろいろな植物が採取されます。岩槻周辺が産地で、全国シエア2位のクワイは、オモダカという湿地性植物の栽培品種です。

         

 

<秩父地域の木材のさまざまな挑戦>


オノが折れるほど硬いオノオレカンバの箸

 ・TUMICCO(つみっこ)という、スギ、ヒノキ材で作った積み木が、秩父で出産祝い品として人気になっています。

 ・カエデ材などの木材の器に藍染を施した食器類を、小鹿野町に工場を持つ関野木材が製作しています。

 ・オノオレカンバという、オノが折れるほどの、日本で最も硬い木の一つを使った箸です。オノオレカンバは、秩父で比較的多く見られます。浅見箸製作所が製作しています。

  <植物と生きる人々(生業との関わり)>

秩父のメープルシロップ

 秩父でメープルシロップ製造を始めたのは、大滝村とか奥秩父の方で、過疎高齢化が進み、林業経営が厳しくなってきたなかで、従来の林業と組み合わせて複合的にやっていくことで、暮らしが成り立つのではないかと考えたことからです。通常、スーパーで売られているメープルシロップはカナダ産でサトウカエデという種類のカエデを使っていますが、日本では自生しておらず、秩父で作るメープルシロップは皆在来のカエデを使っています。国内27種あるカエデのうち埼玉では21種が見られます。

        

 生産に取り組むのは、秩父樹液生産協同組合。ただ、メープルシロップは、卸先が多く、一般の人が買えるのは少ないようです。

 舟運を生かした西川林業

 飯能や毛呂山、越生などは江戸時代頃から西川材と呼ばれる木材の産地でした。「西川」という地名があるのではなく、江戸の西の方の川から木材が来るということで、名づけられたそうです。入間川、高麗川、越辺川など荒川の支流を使い、筏を組んで運んでいた。一本で江戸に着くのは、すごくアクセスがよいのです。また、すごく丁寧に手入れをし美しいということでブランド林業として確立していました。

 小川和紙に欠かせない接着剤、トロロアオイ

 一昨年ユネスコの無形文化遺産に指定されましたが、その前に1978年に国の重要無形文化財にも指定されています。今は小川町、東秩父村が有名ですが、昔は飯能や小鹿野でも和紙生産が行われていました。

 原料のコウゾは、クワの仲間ですが、繊維が強くて和紙のベースになります。ただ、これだけでは和紙はできず、繊維と水をつなぐのが、トロロアオイです。糊よりすごく、乾くと粘らなくなります。和紙は何枚か重ねて作りますが、乾燥させた後、はがすことができるのです。

 <暮らしを彩る植物>


カンスゲから作るスカリ

 秩父地域のスカリは、カンスゲというスゲの一種を、細く裂いて縄をない、編み上げたもの。主に背負い編み袋として使われてきました。手間がかかり、1つ作るのに1カ月くらいかかりますので、業としては成り立たず、愛好会などで製作しています。

                 

 
ササかご

 秩父地域では古くからオカメザサで作られたササかごを利用してきました。このササかごは非常に長持ちし、100年近く使うことができます。

                 

 

染料植物

 埼玉ではアイ(藍)とベニバナ(紅花)が有名です。アイは羽生や行田で生産が盛ん、 ベニバナは、桶川がかつて全国的な産地でした。染料植物は、使う部位が異なり、アイは全体に色素が含まれていますが、ベニバナは花びら、アカネやムラサキは根です。ムラサキは、埼玉では絶滅しました。

           

 

江戸に出荷されていたフクジュソウ

 埼玉にゆかりのある古典的な園芸植物が、サクラソウとフクジュソウです。サクラソウは、荒川沿いに自生し、さいたま市の田島ケ原自生地は国指定特別天然記念物に指定されています。フクジュソウは、秩父地域にいくつか自生地があり、江戸時代には新年を告げる花として大流行、江戸に出荷されていました。秩父紅と呼ばれるオレンジ色のフクジュソウは、珍品として将軍に献上されたと資料にあります。

<長瀞とも関わりのあった本多静六>

 本多静六は、現在の久喜市菖蒲町の出身で、我が国最初の林学博士となり、森林科学の礎を築いた人です。長瀞には昔、遊園地建設の計画が昔あり、それにも関わり、秩父の羊山公園も本多の設計です。博物館の前身の鉱物植物標本陳列所創設の際も、資料収集のメンバーの中に長島乙吉(鉱物研究者)らと並んで本多の名があります。

         

 
博物館ホームページ



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