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ヒキコマハジマル
 

人の想いを描く

 和風似顔絵工房 結(ゆい)

半身不随の障害を克服


 
 豊かな色彩とほのぼのとした雰囲気の中に、その人の個性や想い、置かれた状況があざやかに浮かび上がる。そんなスタイルの似顔絵を描くのが、川越市で「和風似顔絵工房 結(ゆい)」を主宰する鈴木正道さんだ。鈴木さんは、20年以上前、クモ膜下出血で倒れたが、前向きな生き方とリハビリで障害を克服、新しい境地を開いている。今、作品展覧会を開催中だ(本川越駅前のあやクリニックギャラリー、1127日まで)。
 

 

記念用、販促用で依頼


―新しいジャンルの似顔絵ですね。

鈴木 「和風似顔絵」は私が勝手につけたのですが、たぶんこういうスタイルは、どこにもないと思います。絵画的にしっかり描きながら、ご依頼主さんやモデルさんの背景とか場面、想いもしっかり込めた似顔絵もあってもいいのではないかと考えました。

―手間がかかりますね。

鈴木 1枚1枚手描きです。似顔絵というと即興で描くイメージがありますが、1枚仕上げるのに1カ月以上かかってしまうものが多いです。

―お客さんはどんな人が多いのですか。

鈴木 最初は結婚式とか子供が生まれたとか記念、思い出の品が多かったですが、途中からお店や会社の看板や名刺などビジネスツールとしての依頼が増えて、今はほぼ半々です。

                   

―不思議に、描かれた人の雰囲気が伝わります。

鈴木 実は、描いている時、あまり絵を描いている感覚ではないんです。お客様の想いを思っているだけで、あとは画面の前で手を動かしている感じ。心に訴えてくるものに耳を傾けて筆を進めていきます。なので、一般的な、皆さんがイメージされる似顔絵とは描き方も、出来上がりも違うと思います。



小サイズで3万円


―材料は。

鈴木 絵の具は、アクリル絵の具。紙は水彩紙を使います。

―名刺やカードにも使えるのですね。

鈴木 作品をスキャンして、データを小さくして名刺にしたり、大きく引き延ばして看板にするなどいろいろな用途があります

―お値段は。

鈴木 製作費が小さいサイズで3万円。中くらいのサイズが5万円、大きいサイズが10万円から。あとは額縁とマット代です。

                   



明治大学で箱根駅伝めざす


―今、おいくつですか。

鈴木 43歳です。

―出身は。

鈴木 川越です。

―明治大学の陸上部にいた。

鈴木 高校(川越高校)の時も走っており、陸上をしに大学に行った感じです。箱根駅伝に出れたらいいなと考えていました。

―ところが病気に。

鈴木 大学2年、21歳の時、クモ膜下出血に。手当てが遅かったら命が助からなかったそうですが、運よく近くの大学病院に運ばれました。しかし、半身不随になり、最初ベッドから起き上がることもできませんでした。

                           

今も障害が残る


―それがどのように回復を。


鈴木 しばらくは療養、リハビリで、就職もできず卒業しました。それでも1、2年くらいで日常生活は送れるように。若かったので、治りも早かったのかもしれません

 障害者になってから自分で開墾して、廃材を使って今使っている工房を建てました。自転車で日本縦断のスケッチ旅行をしたり、やりたいことを好き勝手にやっていくなかで、麻痺も改善していきました。

―今は。

鈴木 でも、今でも障害はたくさん残っています。左半身がしびれていますし、目が斜視、モノが二重に見えたりします。




両手で描く


―絵はどうして。


鈴木 元々、習ったことはなかったのですが、若い頃から絵を描くのは好きで、ちょこちょこ描いていました。

―病気になっても描けたのですか。

鈴木 私は、左利きですが左手がまったく動かなくなり、右手で描く練習を始め、同時に左のリハビリもしました。今は両手で描いています。

―工房を立ち上げたのは、いつですか。

鈴木 4年前です。いったん絵の道はあきらめて別の仕事をしてもいたんですが。結婚もしていないし、子供もいないので、最後のチャンスだと思って立ち上げたのが、「和風似顔絵工房 結」です。


―作品が非常に独創的ですね。

鈴木 工房を始めた当初は、食べていくためにという面が結構あったかもしれません。でもお客様の絵に対して込めたい想いに接していく中で、だんだん、そういう感覚がなくなり、純粋に想いに対して描いていくようになり、そのような評価をいただく機会が増えました。



病気が気づきを与えてくれた


―障害について意識されますか。

鈴木 自分は障害者という意識は全くないです。ただ、体が一部動かないだけです。若い頃は、装具をつけたりし周りからの目もあって悩むこともあったのですが、今はこちらから話さない限り会っていてもそうは思われませんし。

―むしろ病気がプラスに働いた面もあるということでしょうか。

鈴木 病気にはすごく感謝しています。大きな気づきを与えてくれました。奪われたものより、与えられたことの方が大きかったです。

                     

―作品集を出される。

鈴木 これまでご依頼いただいた作品の一部を作品集として編ませていただいています。12月に完成を予定しています(1部1000円)。

 

和風似顔絵工房 結

http://nigaoe-yui.com/

090-7825-5753


                

                  

                          (取材201611月)


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