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股関節ストレッチで頭もやわらかく真向法 星野優さん

座って、股関節を伸ばす運動、真向法(まっこうほう)。簡単で、短時間でできる健康法だ。創始者は、この運動で脳卒中の後遺症を治した。富士見市に住み、埼玉県真向法体操会の会長を務める星野優さんは、健康にはストレッチ運動が重要だとし、長年真向法に取り組んできた。富士見市と志木市で教室も開いている。星野さんに、真向法についてお聞きした。

最初は「礼拝体操」と呼ばれる

―真向法とはどのような体操ですか。

星野 股関節のストレッチです。第1から第4まで4種類の体操から成っています。

-真向法はどのように始まったのですか。

星野 福井県に長井津(わたる)=1889~1963=という方がいました。お寺の生まれでしたが実業界に出て、42歳の時に脳溢血で倒れます。意気消沈していたんですが、ある時元に戻らないのは自分に感謝する気持ちが足りないからではないかと考え、お釈迦様の座り方、座禅をまねて、一生懸命礼拝をしました。すると礼拝をしているうちに体が動くようになり、完全に立ち直ったんです。

それで50歳を過ぎてから普及を始めた。とにかく無心で感謝の念を持ってお辞儀をする。真っすぐ正面を向いてお辞儀をするということで、真向法と名付けました。最初は第1体操しかなくて、礼拝体操と言っていたようです。

最初は焼け野原の数寄屋橋で始めたそうですが。渋谷に本部を持つほど大きくなったわけです。

-いわゆるストレッチの一種ですね。

星野 「ありがとう」の心で表現したストレッチ体操です。あるいは赤ちゃん座り、赤ちゃんの柔らかさを追求したストレッチですと言っています。

-ヨガのポーズとも似ています。

星野 真向法体操は、ストレッチでもヨガでもあります。ヨガの仲間です。禅のお坊さんが始めたものなので「和風ヨガ」と言ってよいでしょう。元々柔道も相撲も太極拳も皆ヨガから来ているのです。仏教自体がヨガから始まっています。

4種類の体操で簡単

―真向法は4種類の体操しかなくて、簡単ですね。

星野 そうですね。第1~4を10回反復しても、10分あればできてしまいます。ですから毎日5回でもかまいません。個人差があって、第1や第3しかやらないという人もいます。第4はやりたがらない人が多いですね。私は、第1~第4は週に2、3回しかやりません。ただ、普段の生活で、股関節を柔らかくするよう努めています。電車の中でもできます。

まず背筋をまっすぐにして胸を張るということが基本です。猫背を防ぎ、後姿がきれいになる。新鮮は酸素を肺に素早く吸収できる。呼吸はヨガと同じ腹式呼吸ですので、丹田を強化します。

―股関節のストレッチがそんなに大事なことなのですか。

星野 股関節は脳と密接な関係にあります。股関節に脳が命令を出し、そこから足の指先まで信号が行くんです。脳のシグナルがスムーズに通るようにするには、股関節を柔らかくしなければいけません。ちょうどY字路の交差点が股関節と言えます。

―ここを柔らかくして脳とのつながりがスムーズになると、何が変わりますか。

星野 一番は血流が良くなり、リンパの移動がスムーズになります。それで免疫力が上がる。そういうことで、若返るというとオーバーですが、老化を遅らせることができます。

それから、体が柔らかくなると、考え方も柔軟になります。生き方の面で、粘り強くなると言えます。

―病気では、どんな病気に有効ですか。

星野 脳のリハビリになりますから、脳梗塞、あるいは脳溢血で倒れて半身不随とか後遺症で行き詰まっている人には、リハビリになります。血流が元に戻るわけです。それは実際にMRIなどで確認できています。

ストレッチには本来そういう効果があります。だから、今は野球選手でも、イチローなどはその代表ですが、ストレッチをします。激しいプレーをして試合を終えるといろいろなところで毛細血管が切れるんです。それをストレッチと軽いマッサージで回復できます。そいう意味で、この体操はリハビリに効果があります。

ただ、病気自体を治しますと言ったら、嘘になります。私も言ったことはありません。

―腰痛にいいと言いますが。

星野 それも、予防効果があるということです。今元気な人がやるのが、一番いいんです。炎症を起こして痛みがある場合は、まずはお医者さんに行って治療してもらってください。痛みが治まってから、真向法をやればそれは運動治療にはなります。リハビリで必ず治るとは言えません。まず病院でレントゲンを撮り、原因を見つける。交通事故が原因か、先天的か、加齢か、あるいは仕事のせいか。原因によっては、体操だけではダメです。

逆にタクシーやトラックの運転手のように運動不足で腰が痛くなっている場合は、これで治ります。だから元気になった、血圧が下がった、糖尿病が軽くなったのは単に運動不足であったというケースがあります。たまたま真向法をやったら簡単にできるので長続きした。結果として腰痛も治った。そういう人が多いです。

―星野さんは、真向法だけでなくストレッチ全般を研究し実践されている。

星野 ストレッチでも股関節を中心にしたものです。教室でも、私が考案したストレッチをやっています。ストレッチをやれば真向法が上達します。ストレッチの成果を、真向法のポーズで確認しているとも言えます。

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「命儲け」ができる

―ストレッチは筋トレなどより体にいいわけですね。

星野 体をほぐし、血流をよくし、血管もやわらかくする。筋肉もやわらかくなります。筋トレは、筋肉を固くしてしまう。ボディビルダーは全然健康ではないんです。ボディビルダーの体は固いだけなので、打たれた時痛い。やわらかい筋肉なら衝撃を吸収します。横綱の白鵬は非常に体が柔らかく、ツッパリを吸収しています。だから腰の粘りがあって強いのです。筋肉をつけるなら柔らかい筋肉をつけるのが基本です。

―ストレッチ体操はそれだけ重要ということですね。

星野 今は、昔と違って、少年野球でもうさぎ跳びはやりません。私の子供のころは、星飛雄馬の時代ですから、うさぎ跳びをしタイヤを引っ張っていました。今は、イチローの時代ですから、高校野球でも試合後ストレッチをやっています。ママさんバレーでもストレッチはやっています。何の運動でも、ストレッチはやった方がいいです。準備運動、ウォーミングアップでやり、後は整理運動、クールダウンでやる。ただ、いろいろやると大変ですので、簡単にやるなら股関節のストレッチだけでよい。

―これから高齢化で厳しい日本社会をこれが救う。

星野 金儲け、財テクでなく、健康を蓄積していく。命儲けをしようと。

―真向法は効果が出るにはどのくらい続けるべきですか。

星野 第3者から見て素晴らしいと言えるところまで行くには、個人差もありますが、少なくとも3年はかかります。それまでにやめてしまう人が多いですね。3日でやめてしまう人もいます。でも3年やった人は30年続きます。

真向法そのものでなく、ウォーキングの仲間とかテニスの仲間、柔道の仲間で、うまくなる補助として使う、あるいはジャズダンスやエアロビクスの準備運動として行うやり方があります。その方が長続きします。相乗効果もあります。だから真向法だけでなく、最低限ウォーキングをしてくださいと申し上げています。

―本やネットの画像などを見て一人でやってもよいですか。

星野 自己流でやってもいいですが、ケガをする場合があるから一度はうまい先生のを見てやった方がいいですね。崩れた姿勢のまま覚えて自分はそれでいいと思っていると危険です。ただ、先生もたくさんいるから、なるべく本部、あるいは教室でも古くからの教室がよいかもしれません。

―やる時間は。

星野 朝にいきなりやるのは反対です。夜ならお風呂に入って、体を暖かくしてからがいいと思います。

デジタル体操

―真向法を実践している人はどのくらいいるのですか。

星野 会員は全国で9000人前後で、増えもせず、減りもせずと言ったところです。海外にも支部があります。ただ、4つの体操を真向法と名乗らずにやっている人はたくさんいます。

―有名人では。

星野 故鈴木俊一元東京都知事 先日都知事選に出た細川護煕元首相、綿貫民輔元衆院議長など政治家に多いですね。あとはアナウンサーの草野仁さん。公務員、特に郵便局系は普及しています。

―星野さんは元々サラリーマンだったのですか。

星野 日本IBMのコンピューターのメンテナンスを担当するエンジニアとして勤めていましたが、今は退職し、建設関係の仕事をしています。またIBMのOBが作ったNPOで情報技術者としても活動しています。

―真向法はいつから。

星野 真向法は41歳の時から始めています。私は今年で64歳になります。

―真向法を始めたきっかけは。

星野 真向法の前に、空手道場に通っていました。海外出張が多くなりケガができないのでやめたんですが、柔軟性だけは維持したいと思い何かよい体操はないかと探したらたまたま真向法が目につきました。直接東京の本部に出向き入門、その後さいたま市宮原にある埼玉県の本部に移り今日に至ります。

―やってみてよかったということ

星野 やはり、体が柔らかくなると考え方も頭もやわらかくなります。なので、いろいろな資格を取るのにも集中力が発揮できました。仕事をしながら大学にも通い、最終的には国際経営の修士も取りました。それを活かし会社では内部統制の監査の仕事に移り、退職になりましたが、今でも国際政治とか国際経営は専門として勉強しています。

今、関心があるのは団塊の世代が後期高齢者なる「2025年問題」。国際政治とか国際経営上は非常にこわいものがあり、その時日本の国が存在しているかどうかわからないというレポートもいっぱい出ています。私も「2025年問題」の主役です。世の中にこれから迷惑をかけることになります。

―今後はどのように真向法に取り組んでいくつもりですか。

星野 真向法やストレッチはやってみると、非常に奥が深いです。教えるためには、たくさん勉強しないといけません。私もライフワークとして勉強しなおしています。

あと、自分はコンピューターをやってきたので、コンピューターと比較しながらやっています。真向法の第1~第3体操は、0と1の2動作の反復するデジタル動作です。だから完全な01動作を目指そうとしています。ロボットがやるようなきれいなものが理想です。まず1の姿勢。猫背であったり、腰が逃げていたら1に認定できないわけです。1が作れれば0はすぐできる。

シンプルであっていろいろなすごいことができる。だから真向法は面白いのです。IT関係では、真向法をやる人が多いですが、これが1つの理由です。

―埼玉県の真向法協会の役員を。

星野 埼玉県真向法体操協会の副会長を2000年頃からしています(その後会長に)。

―お住まいは富士見市。

星野 23歳の時に都内の世田谷から川越に越してきて、それから富士見市に移りました。

―教室は。

星野 真向法は、志木市の柳瀬川駅前の志木サテライトオフィス(隔週の土曜日)と、富士見市の針ヶ谷コミュニティセンター(第2、第4土曜日)です。また、富士見市の針ヶ谷小学校の体育館でバドミントンの団体を運営しており、そこで股関節ストレッチのトレーナーをしています。ソフトボールチームでも、ストレッチを教えています。

―連絡先は。

星野 埼玉の協会のホームページをご覧ください。

(取材 2014年10月)

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