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管理するアパート・マンションの空室
    
右肩下がり
(株)
渡辺住研
    渡邉毅人社長

 全国的に人口が減少しアパート・マンションなどの賃貸住宅も空家が増加傾向にある。東京に近い東上線沿線も例外でない。そうした中、賃貸住宅管理を手がける(株)渡辺住研(本社富士見市)は、管理物件の空室率が右肩下がり、最近では4%程度まで低下している。その秘訣は何なのか。渡邉毅人社長にお話をうかがった。

                  

7千戸を管理

―お仕事はどのような内容ですか。             

渡邉 不動産業のうち主に賃貸管理業及びその周辺業務です。お部屋の紹介、管理、入居者から家賃をいただきオーナーに送金したり、月々の精算業務など。また、お部屋にしまえない荷物をトランクルームなりコンテナに収納したり、プロパンガスの供給などアパートに付随するサービスも提供しています。

―付随サービスは別の会社ですか。

渡邉 トランクルームは同じ会社で、プロパンガスはエフテックコーポレーションという別の会社で扱っています。

―管理件数は。

渡邉 アパート・マンションが約7000戸、駐車場が約5000台、ストレージと呼ぶトランクルームが約4000戸、ガスの供給が約3000戸です。

    

―地域は。

渡邉 駅で言うと、東上線の志木から新河岸あたりまでです。店舗は、志木、みずほ台、鶴瀬、ふじみ野、上福岡の5店あります。川越には、叔父が社長を務める住研川越という会社があります。朝霞のリゾンの新しい社長さんも、高校の後輩ということもあり朝霞以南にも行かず、棲み分けができています。

―従業員数は。

渡邉 約100名(パートを含む)です。

―新しい賃貸物件の建設はやらないのですか。

渡邉 ほとんどやっていません。過去に分社した住研コンサルという会社は相続対策でマンションを建てましょうという事業をやっています。うちは、それよりも日々お役にたつ事業をやろうと。ただ、オーナーから相続の相談に乗ってほしいという依頼が増えてきており、その部門を立ち上げてお世話を始めてはいます。

―賃貸管理で地域での位置づけは。

渡邉 全国に展開する大手を入れても、鶴瀬駅だけで2割ちょっとはシエアがあると思います。

 

アパマンショップにネット戦略を依存

―アパマンショップの看板を掲げていますが。

渡邉 アパマンショップのFCの加盟店になっています。元々私はアパマンの創業者である大村浩次社長が九州で小さな不動産業を立ち上げていた時に2年ほど一緒に仕事をさせてもらっています。そこの人間関係もあって、加盟しているので、他の加盟店よりは良好な関係にあると思います。アパマンの本体を含めこのブランドをきっちり育てていこう、支えていこうという感覚は私の中にあります。

 
                       ふじみ野店

―「住研」から「アパマン」に看板を変えたのは。

渡邉 アパマンショップができた時からのメンバーですので、2000年からです。

―FC店としてアパマンに何を依存されているのですか。

渡邉 ネットに関する戦略が一番大きいと思います。ネットの時代は、ブランドへの信用力なんです。amazonは信用力が高いから気軽に注文する。得体の知らないところに注文はしない。ネットの世界はブランド力の戦い。以前うちで持っていた「快適賃貸」という地場ブランドがいかに地元で強くてもネットでの対決になると大手ブランドに勝てないだろうと予測し、アパマンショップに加盟しました。予想通り、ネットでの対応、スピード、ブランディング戦略はアパマンショップの力がおおいにあると思います。

―アパマンを通じてお客さんを集めているということですか。

渡邉 半分くらいはそうです。今、お部屋探しはほとんどがネットを通されます。調べないでいきなり来店というケースは非常に少ないです。


―ブランディングとはどういうことでしょうか。

渡邉 アパマンショップというブランドでCMも打てますし、イメージも作れます。全国規模のネーミングとブランドを我々だけで作れるかと言うと、とても作れません。そこの信用は絶大な効果があります。たとえば、CMを打つ。全国規模でものごとを進めるので、安い金額でできる。たとえば鶴瀬は加盟店はうちしかいないので、効果は一手にうちが獲得することができます。

―近所の人なら住研さんを知っていますが。

渡邉 地域では強くても、荒川の向う、大宮に行ったら、住研を誰も知らない。大宮から来る人も、所沢から来る人もいますから、そこの弱さはあります。

               
        
      鶴瀬駅前の渡辺住研本社ビル

―渡辺住研の創業者は。

渡邉 父の渡邉定雄が創業者です。

―社長になられたのは。

渡邉 2005年です。

―お年は。

渡邉 48歳です。

4%程度の空室率を達成、社長自ら空室をチェック

―全国的に賃貸を含め住宅の空室が増加する中、貴社の管理物件は空室率が低下しているそうですね。

渡邉 直近は4%くらい。ずっと低下傾向にあります。

―これはどのような要因によるのでしょうか。

渡邉 そもそもの出発点として、私が社長になる前の専務の時代、オーナー訪問をすると空室が決まっていないとお叱りを受けるわけです。おやじはオーナーさんより年上だったので、私に言いやすいこともあったでしょう。行くたびにお叱りを受ける。賃貸管理の一番のポイントは空室を埋めて、その家賃を遅滞なくオーナーさんに送金することです。まずそれをやらなければいけないと20年ほど前に空室巡回というのを始めました。関係者全員で空室を見に行って、なぜこの部屋は決まらないのか原因を突き止めようということです。今も続けています。

 これをすることで、全社で空室が決まるかどうかに一喜一憂する会社にしようと。社風を作ってきました。そこが一番大きいと思います。いまだにこの物件が空いている、どんな対策を打っているか、成果が出ているのかを、月に一度チェックして確認しています。おそらく空室を社長自らがチェックしている会社はまれなんではないでしょうか。これをしていることが、結果につながっているのだと思います。

―具体的にどういう手が功を奏しているのでしょうか。

渡邉 そんなに難しいことではないです。入居者が、この部屋に住みたいと言ってくれれば、住んでくれます。そのための条件をそろえるだけです。たとえば、入って臭かったら借りてくれませんので、匂いがしないように工夫をする。クロスがボロボロならクロスをきれいにしなければいけない。最近の希望はネット環境だと言うなら、ネット対応の部屋にしなければいけない。設備なのか家賃なのか。ありとあらゆることを考えて、いろいろなことを、愚直につぶしていくくだけなんです。それをできるかできないかです。あきらめたらその部屋は決まりません。決まるまでやり続ける。

社員教育と採用に力

―そういう努力を続けるには、社員の資質が重要と思いますが、社員教育に力を入れているのですか。

渡邉 正直申し上げますと、私は不動産業はあまり好きではないです。2代目なのでやらざるを得ませんが。一番興味があるのは、採用や人事など、対人のところで、生き方であるとか、見えないところでどうふるまうかとか、家族とどう接したらよいかとか、そんなことを口酸っぱく言います。今日も幹部会で言ったのですが、部下に結果を出させてあげられない上司はいらない。自分のこどもたちにちゃんとした結果を出させてあげられない、教育してあげられない親はダメだよと。親として一番うれしいのは地道な努力が報われて成果が出た時だと。それを親は自分のことのように喜ぶ。そういう人間でないと部下は育てられない。じゃあ本当にそういうつもりで部下を指導しているかと言うわけです。 

そもそも私は不動産業というより人間教育の方に興味があるんでしょうね。だから数字があがっていないという結果より、ものごとから逃げている、何件チャレンジしたのか、姿勢の方が気になります。

―採用は。

渡邉 20年間新卒を採ってきました。いったん去年でやめましたが。うちは新卒から入ったプロパー社員がほとんどです。面接では、苦労をしているというか、いろいろな体験をしている人、価値観が同じ方向の人を重視します。

業界の不祥事はよいきっかけに

―最近、賃貸住宅業界で不祥事が相次いでいますが。

渡邉 よい傾向だと思います。偽物を作っていた人たちがあぶり出されている。今回問題になった某社は25年ほど前から、ずっと言われていました。ただ、賃貸管理業ってこの程度と言われるのが、スタッフの誇りにも影響するので、非常に残念でもあります。うちは空室対策でもプライドをもって進めていますが、その会社の人たちは、しょせんもうかればよいという発想だからそこに行くのだと。そういう業界を一新してきちんとした本物を提供する業界になってほしいです。来年かさ来年には賃貸管理士制度ができて、賃貸管理業が法制化される見通しで、ちゃんとした免許制度の中で消費者やオーナーさんに安心してもらえる業界になるよいきっかけなのではと思います。

―すでに賃貸住宅が建て過ぎ、過剰であるという指摘もあります。

渡邉 だぶついているのは、金融の問題とデベロッパーの問題があります。大手銀行は海外で利益をあげられますが、地方銀行、中小銀行は、都内に出て来て、住宅やマンションにジャブジャブお金を出すしか方法がなかった。デベロッパーは建てるのが仕事で、中小、ハウスメーカー系は建てないと商売にならないから、オーナーさんが建てる必要がなくても建てさせていると思います。人口が減っているのにこんなに建てて大丈夫なのかと、私も思います。

ただ、駅に近くて、それしか資産がなくて他は農地だとか、借金がほとんどないとか、条件がそろえば、今でもアパート建設はあり得ます。

―今後の不動産市場の見通しを。

渡邉 ここ数年、ダラダラと下がっていくのではないでしょうか。日本の長期政権とは、経済政策なんです。経済が好調な政権は国民から支持されるから長続きします。安倍政権は経済政策がそんなに間違った方向ではない。そう考えると、次が誰になるかによって景気の動向は大幅に左右される可能性がある。予測として安倍さん以上にリフレ派が首相になる可能性はものすごく小さい。経済は鈍化する可能性が非常に高いと私は見ています。消費税も10月に上がる。景気感もよくないなとみんながさらに使わなくなる。オリンピックで建築はいいですが、止まっていくと、数年にわたってダラダラ落ちていく不景気になるのではないか。 

ペーパーレス化など、時代にマッチさせる

―今後の渡辺住研の進む方向は。

渡邉 時代にマッチさせていく。早すぎていけないし、遅すぎてもいけない、時代とともに会社、個人が変化し続けていける組織にしなければいけないと、あらためて感じています。国交省が賃貸管理業の契約書を電子化する社会実験を8月から実施します。しばらくすれば本格運用が始まるわけです。年内には契約は紙ではなくてよいという時代がやってくるわけです。来年の今頃はうちも紙がなくなるのだと思います。

一つ一つのことを時代とともに変えていかなければいけない。そうしないと淘汰されて、うちの生きる権利がなくなることになりかねません。せっかくお預かりしている資産をしっかりと安全に運用するためにも、変化していく。電子化だけでなく、民泊でホテルのようにして貸しましょうとか、新たな貸し方のご提案も時代とともにしていかなければならない立場なのかなと思います。

     

―入居者を映画に招待したそうですね。 

渡邉 280席の映画館を貸し切りにして「ペット2」という映画を無料ご招待(8月4日)の募集をしたところ、現時点で550組(1100名)の応募がありました。クレームもない、滞納もない、オーナー様にとっては宝のような入居者に、1人でも多くお礼を言いたいというのが一番のきっかけで、まず映画をやろうと。こんなに多くの方から応募があったのはうれしいです。

 入居者向けサービスとしては、24時間の駆け付けを近日中に始める予定です。今は、管理担当は夜間でも駆け付けますが、専門的な水や電気をいじれるかというと、あまりできない。そこをきちんと対応できる、本物の駆け付けサービスを作ろうと。次からは事前に発生を防ぐような手立て。たとえば早い時期にエアコンの試運転をし、壊れているものは一斉交換するとか、の対応を検討しています。

 いろいろな手を打って、渡辺住研の管理物件に住みたいと最終的には言ってもらえるようなレベルの高い管理ができたらと考えております。

            (取材2019年6月)