日本最初の健康体操 自彊術
    天才治療師・中井房五郎が考案、戦後近藤芳朗医師が普及
 
自彊(きょう)術は、日本で最初の健康体操とされる。器具を使わず、ストレッチを主体とした31種類の動作を順番に行うことで、体や心の働きを整え、病気を改善する。健康に不安を抱える高齢者を中心に、愛好者は着実に増えている。不思議な体操、自彊術の歴史とその効果などについて紹介したい。  

 
自彊術は、当時多くの難病を治し天才治療師とされた中井房五郎(1878―1931)によって創案された。中井により大病から救われた一人に、実業家の十文字大元がいた(大元の妻・ことは十文字学園の創始者)。中井の治療院は患者が殺到、十文字は中井に何か病人が自分でできる方法はないかと持ちかけた。そこで中井は、31通りの体操の型をわずか1時間余りで作り上げたという。これが今に伝わる自彊術。「自彊」とは、「自ら努めて励むこと」の意味。



 
その後十文字は自彊術の普及を精力的に進めた。大正時代末期には、自彊術をやる人は300万人とも言われ、一大ブームを巻き起こした。しかし、十文字の死後、太平洋戦争も始まり、自彊術は衰退に向かう。

 昭和の半ば、中井の高弟から自彊術を会得した久家恒衛翁に、医師であった近藤芳朗博士とその妻・幸世が出会う。近藤夫妻は自彊術の効用を実感し、体操を医学的に研究するとともに、普及活動に乗り出した。昭和49年に設立した自彊術普及会は、62年には社団法人(その後公益社団法人に移行)として許可された。
 現在は、全国に約4千教室、会員は約5万4千人を数え、愛好者は着実に増えている。ただ、中高年層、女性が多く、若年層に広げるのが今後の課題という。

 自彊術は座ったり、立ったりした姿勢で、器具もいらず狭い場所で1人でできる。所要時間は15分ほど。31動作から成り、マッサージ、指圧、按摩、整体術、呼吸法などの手法が取り入れられている。全身の関節を動かし、脊柱の矯正、血管機能、自律神経の改善などをもたらすという。

 自彊術で、体調や心の状態が改善する。病気への効果については、1985年に実施した自彊術励行者に対するアンケート調査がある(第22回北京国際運動医学学術会議に論文発表)。治療のため行っている人のうち病状が好転したと答えた人が96%。特に、狭心症、腰痛、頭痛、胃腸炎・便秘症、自律神経失調などの効果が大きいという結果だった。

 テキストやDVDも販売され、独習もできるが、自彊術普及会によると、自己流でやると型が崩れるので、近くの教室に通った方がよいとのこと。



























自彊術普及協会本部
 















                                          近藤芳朗博士

(本記事作成には、『自彊術で若返る』(自彊術普及会監修、ベースボール
・マガジン社)、自彊術普及会ホームページ・取材などを参考にしました)
 (公益社団法人自彊術普及会 東京都北区中里2-14‐1 03-3940-6696)