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健康には骨が重要 高齢者の運動能力をアップする骨たたき体操 勇崎賀雄  身体哲学研究所所長・からだの学校湧氣塾塾長

健康には、筋肉でなく骨を鍛える運動が重要である。このような独自の考え方で、体操を考案し、教室を開いているのが、勇崎賀雄(ゆうざき・よしお)身体哲学研究所所長・「からだの学校湧氣塾」塾長だ。湧氣塾では、最近は「骨たたき体操」を指導、高齢者の骨密度や運動能力を高めるなど、成果を上げている。勇崎所長・塾長と、森千恕(もり・せんじょ)湧氣塾校長にお話をうかがった。

筋トレは健康に逆効果

―健康のための運動と言えば、通常は筋肉を鍛えるのが中心です。

勇崎 50年くらい前から健康ブームになり、健康法の本もいっぱい出ていますが、近年は筋肉学的な観点が強い。ボディビルなど主に筋肉運動を健康法に取り入れています。私は30~40年前からそれはよくないと申し上げています。

勇崎所長・塾長

―筋肉を鍛えても健康にはならないということですか。

勇崎 健康法としては筋肉を使い過ぎるのはよくありません。高齢者運動学の青柳幸利さんは「健康になりたければ今すぐ筋トレはやめなさい」と、老人学で世界的な権威といわれるイタリアのジャンニ・ペスは「ウエイトトレーニングは最悪」と言っています。筋肉を強化しすぎるとアスリート、スポーツ選手は必ずしも健康とは言えません。

―骨が重要ということですか。

勇崎 骨は骨格として人体を支えているだけではありません。骨の中にあるやわらかい組織、骨髄は血液を作り出しています。またカルシウムを供給する臓器でもあり、ホルモンの調整もしている。最大の内臓です。さらに感覚器官の調整の役割も担っています。手の指先も足のつま先も関節を介して背骨とつながり、背骨は全身の動きを感じ取ります。

筋肉でなく骨から入ると無理なく体の調整ができます。何より体がゆがむとか歩けなくなること自体が、筋肉の老化もありますが、それ以上に骨のゆがみ、間違った骨の使い方に原因があります。骨の観点が重要です。

―骨をどうすれば健康になるということですか。

勇崎 二つあり、ゆがむからゆがみを取る、矯正する。もう一つは、骨を強くする。そのために、全身の骨をゆるめ、ゆらし、ひびかせる様々な体操を考案し「勇崎メソッド」として体系化しております。

「ポコポコ骨たたき体操」

―「ポコポコ骨たたき体操」とは。

勇崎 短時間でできる初心者向けの体操です。3年ほど前から森千恕校長が練馬区の老人のデイサービス施設で実践しています。歩行が困難になり、車椅子、寝たきりの方も多いわけですが、体操でお年寄りが歩けるようになったり、最終的に跳べるようになった例もあります。昨年9月に、『100歳でもジャンプができる!1分ポコポコ骨たたき体操』(講談社)として書籍化しました。

―具体的にどのような体操ですか。

 ①手をたたく、②足で床をタッピング、③ひざをたたく、④腰をたたく、⑤肋骨をたたく、⑥ひじを前後に動かす、⑦反動で立ち上がる、という動作を1回(1分)行えばOKです。基本的に、たたくことによって骨に刺激を与える。たとえば、お年寄りは皆さん骨に筋肉がへばりついているような形で動けなくなっている。それを骨に働きかけると、筋肉もゆるんで動きやすくなる。力を入れなくても、必ずだれでも動けるような動きになってきます。

森校長

―たたき方はどのように。

勇崎 ポコポコとひびくようにたたいていただければ。骨を強くするには、外刺激と内側から動かすバイブレーションとよい姿勢の3つがあります。外からの刺激で中のバイブレーションを起こすように、両手を打ち合わせる手の形で、ゴンゴンでなく、ポコポコと内側が響くようにたたく。初めに手の形を作るのがミソで、これだけで膝が楽になった人がいっぱいます。

骨粗鬆症に効果、骨は育つ

―どのような効果があがっていますか。

 私が指導しているデイサービス施設では、脳幹出血で倒れて自力で立ち上がれなかった方(101歳)がジャンプできるようになった例もあります。最初60代の時に骨粗鬆症で90歳の骨と言われた方が今年86になられますが、毎年骨密度がよくなっている。自分の年齢より格段に若い骨になり、お医者さんもびっくり。

具体的データとしては、広島大学の先生に、施設の高齢者の骨密度、足底圧、歩行速度の変化を調べていただきました。すると、骨たたきを継続した人は、骨密度が上がり、歩行速度も上がったという結果が出ました。老化で一番問題になる骨粗しょう症にも有効であるということです。

―これは結構驚きなのではないでしょうか。

 骨に働きかける運動は長い間ないことになっていました。骨を強くするには、カルシウムと太陽にあたることと、運動することですが、運動で骨に働きかける方法はなかった。勇崎が実践してきた骨たたきは、デイサービス施設でお年寄りの骨への働きかけが実際にできました。骨に対しきちんと働きかけができる運動が、体を整え改善することを誰も考えてこなかったのです。

―骨をたたくことで骨密度が上がるとはどういうことなのでしょうか。

 骨は折れてもうまくつなげば傷跡も残らないほど再生します。このような器官は骨だけです。骨は、上手に刺激を与えればしっかり育つのです。

―湧氣塾ではどのような体操を指導されているのですか。

勇崎 初心者向けは骨たたき体操です。メインは、自分の体が長年の使い方でゆがんできたり、代謝が悪くなってきたのを整え、改善するためのセルフメンテナンスです。整体とか行ってもその時はよくても繰り返しになりますが、うちはゆがみ、代謝不全に対し自力で対応していくというのが主たるプログラムです。

湧氣塾教室風景

「尻尾の呼吸」

―骨呼吸というものもあるのですか。

勇崎 呼吸は、環境により緊張しすぎたり、病気になると十全にできなくなります。うちは総合的な健康法で、ゆがみを取るために正しい動きをしていたら、その動きが必ず呼吸になる。正しい動きをすることで正しく吸ったり吐いたり、できるような動きに作ってあります。骨の体操と呼吸がリンクした「尻尾の呼吸」というエクササイズもありますが、呼吸だけ独立して行うことはほとんどありません

―骨たたき体操はどのくらいやれば効果が表れますか。

 3ヵ月から半年くらいで。膝が痛い、腰が痛いだけなら、1週間で変わります。

―特に体に問題のない一般の人にはどのような効果がありますか。

勇崎 姿勢がよくなり 元気が出ます。私は40年間続け、今71歳ですが、骨年齢は20代です。免疫力が強くなり、今回のコロナウイルスも、かかりにくくなり、感染しても軽く済むでしょう。

体操が苦手な人でもできる

―骨体操は楽にできるのも特徴ですね。

勇崎 自分は運動が好きではない、普通のくたびれるような運動はしたくないけれど何かしなくてはならないのというので、うちに来られる方もいます。年寄りの劣化している体を膝、腰が痛いのに筋トレさせると、被害者がいっぱい出ます。うちの場合は椅子に座って 体操の苦手な人でもできる。体操が好きな人はそんなに多くないが、世界的に長寿になり健康維持には絶対何らかの形のヘルスケアをしなければなりません。

―勇崎さんは、なぜ骨の研究に。

勇崎 私の専門は本来哲学ですが、小学校時代から柔道をやり体のことに関心ありました。体操もやりヨガもやり20代後半から本格的に呼吸法や氣に関する健康法を研究しました。西野流呼吸法の創成期から参加し20年程指導部長をしましたが、20年前に骨と呼吸を専門にするため独立しました。

20年前から勇崎メソッドを実践

―お考えや方法は独自のものですか。

勇崎 古今東西の健康法を学びましたが 私のやり方は完全にオリジナルです。

―勇崎メソッドの体系を確立されたのはいつですか。

勇崎 20年前で、湧氣塾を立ち上げました。ただ、「ポコポコ」のような簡単に誰でもできる体操の普及は5、6年前からです。

―骨たたき体操を経験したい人は。

勇崎 東京・五反田に湧氣塾の道場があり、他にカルチャースクールの講座もあります。老人施設などにももっと広げていきたい。

―今の時代に骨たたき体操の意義は大きいですね。

勇崎 世界的にデスクワークが急激に増え、日本人も椅子を使い出し、ギックリ腰が増えてきました。5、6時間、椅子でパソコンに向かえば、腰が痛い、膝が痛いは避けようがない。自分の手でたたくだけで効果があります。

(取材2020年8月)

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