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健康法
 

高電圧で病気を治す 電位治療器とは

発明者 原敏之氏の創設した白寿生科学研究所

 

 町を歩くと、「○○トロン」などの看板を掲げる体験型の店舗を時々見かける。高電圧の電極の間に体を置くことで、頭痛、不眠症などを改善する、電位治療器という装置。無料体験して、気に入ったら購入してもらうという仕組みだ。

 電位治療器は、昭和の初めに理学・物理療法を研究していた原敏之という人が開発。戦後、医療器械として製造承認を得た。原氏の創設した会社が、株式会社白寿生科学研究所で、「ヘルストロン」という商品名で電位治療器を製造販売、これまでの出荷台数は約100万台に達する。電位治療器のメーカーは乱立しているが、白寿の代理店が離反して設立・分化したところが多いという。

 電位治療器とは何か。どんな効果が期待できるのか。開発者の原敏之氏とはどんな人なのか。紹介したい

頭痛、肩こり、不眠症、慢性便秘の緩和

電位治療器とは、電極と電極の間に高電圧をかけて、電界を発生させ、その中に人間の体を置くことで、病気を治療する器械。たとえば乾電池を入れるケースの、プラスの電極とマイナスの電極と考えてみるとよい。電極の間に体を置くと、電圧を体に浴びることになる。  

白寿生科学研究所の「ヘルストロン」(写真)は、治療する人の頭の上の傘のような部分と足元に電極が入っている。中にある装置で100ボルトの電圧を9000ボルトに変え、9000ボルトの電極の間に体を置くことになる。


 ヘルストロン(A9000T)上と ヘルストロン(W9000W)下

 高電圧で感電が心配だが、電流は0.1マイクロアンペアのほんのわずかの量で、そのままでは人体が感じることができない程度。感電の恐れはまったくない。ただ、器械を体験する店舗では、わずかでも電流が流れていることを証明するため実験をしている。白寿生科学研究所の「ハクジュプラザ」では、検電器という棒状の器械を治療者の手に触れる。ビリビリと音がする。

電位治療器の効果は、体の血行をよくし、頭痛、肩こり、不眠症、慢性便秘の症状を緩和すること。治験で、頭痛、肩こり、不眠症、慢性便秘が一定割合以上改善しているというデータが得られ、医療器械として承認を受けている。

 その原理として、電界をかけると、体毛が揺れて皮膚を刺激し、皮膚温が上昇することが確認されている。これから「電界作用が皮膚の触覚や圧を感じる感覚受容器を刺激し、血液の循環と体の調節機能に働きかける」という作用仮説が説明されている。

 製造承認された際の効果は4つの症状の緩和である。ただ、実際にかかっている人たちには、別の様々な症状が改善したり、健康になったり元気になったりする例も多いようだ。

 電位治療器の副作用としては、温泉に長くつかった時の湯疲れと似た症状を感じるケースがある。それも、治療を継続すると消えるという。

 器械にかかる場合、1日1時間が基準とのこと。それを1週間から1ヶ月程度続けると、効果が現れる。ただ、「ハクジュプラザ」など体験型店舗では多くの人に経験してもらうのが目的なので1回、2030分としているところが多い。

 高圧電線下では健康な人が多いという記事がヒントで開発

電位治療器は原敏之という人が発明した。白寿生科学研究所の創業者だ。


                              

原敏之 氏(伝記表紙より)

明治35年、長崎県対馬の生まれ。不眠・頭痛など慢性の症状を持つ母親を助けたいと、理学・物理療法を研究する。たまたまドイツの医学雑誌に、高圧電線の下では健康な人が多く作物もよく育つという記事を見つけたのをきっかけに、高電圧電界療法を考案した。昭和3年、福岡で、母親を実験台に100万ボルトの高電圧電界装置の公開実験を行い、雑誌などに「日本のエジソン」と紹介された。

 戦争で研究は途絶えたが、戦後、もう一度事業を立ち上げようと、上京し、昭和30年に白寿会本部という会社と白寿会病院を設立。「交流電圧電界保健装置」(ヘルストロン)が昭和38年に厚生省から製造承認を受け、39年「白寿生科学研究所」を設立(社長は息子の昭邦現社長)、今日に至る。

 同社がその後大きく成長したのは、もちろん「ヘルストロン」の効果が認められたことが大きいが、佐藤栄作元首相が使用するなど、いろいろな有力者の支援もあった。特に、笹川良一元日本船舶振興会(現日本財団)会長は、東京・虎ノ門の船舶振興会のビルの最上階に100万ボルトの「ヘルストロン」を設置、診療所という形で運営し、当時はマスコミに大きく取り上げられた。

 ハクジュプラザ600ヵ所


 「ヘルストロン」の価格は、横になるシート式のタイプで28万円、椅子式は47120万円と、安くはない。マッサージ機などと違い、かかっても体感がなく、即効性もないため、ただ置いておいても売れない。そのため、業界では体験型販売が一般的で、同社の場合、「ハクジュプラザ」と呼ぶ体験型店舗を展開している。顧客は、そこに通い無料で体験をし、説明を受け、納得したら購入するというシステムだ。「ハクジュプラザ」は全国に600ヵ所、従業員は代理店を含め1300名ほど。東上線沿線では大山、東武練馬、成増、朝霞、志木、みずほ台、上福岡、霞ヶ関、寄居に店舗がある。

「ヘルストロン」は、1万ボルト未満が家庭用で、それ以上は医療用。医療用は、病院・医院、接骨院、福祉センターなどに納入されている。累計出荷台数はほぼ100万台に達する。海外も、中国・蘇州に工場を持つほか、ロシア、韓国、台湾、中国、ブラジルなどで販売している。

 なお、白寿生科学研究所では、原敏之が開発した「ササロン」(クマザサを原料としたお茶)など健康食品も扱っている。

大小60社が乱立する業界

 電位治療器を扱う会社は大小を含めて60社くらいある。元々白寿生科学研究所と取引していた代理店が、「ヘルストロン」の特許が切れたのを機に離反し、設立した企業が多かったが、近年は白寿以外の企業から独立した業者が多い。

 業者が乱立状態で、問題も起きている。2013年、パワーヘルスという会社が、不当表示ということで消費者庁から指導を受けた。白寿の原昭邦社長は、日本ホームヘルス機器協会という業界団体を作り、業界のコンプライアンス(法令順守)推進などを進めてきた。

 高齢化が進み、病気の治療、健康に役立つ器械を必要としている人は多い。ただ、電位治療器は認知度がまだまだで、マイナスイメージを持っている人も少なくない。同社では、「この器械の原理、効果を正しくご理解していただき、私ども業界も法遵守を徹底し、さらに普及させて皆様の健康にお役にたてれば思います」と話している。

  

                       白寿生科学研究所本社(東京・渋谷)
  

                                    (2015年9月)