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発達障害者を支援する
ガーデン・カフェベーカリー
 グーチョキパン (鳩山町)

 
 鳩山ニュータウン近くのカフェベーカリー、グーチョキパン。広いガーデンを備えるしゃれたお店だが、発達障害者を支援することを目的にしている。
2017年4月には、障害者作品を展示する「障害者アート展」を催した。経営者の内野喜代子さんにお聞きした。

            

広いナチュラルガーデン

             

―いつオープンされたのですか。

内野 4年ほど前です。途中で事情があって半年ほど休みましたが。

―カフェベーカリーですか。

内野 そうです。パンを販売するほか、喫茶、金曜日にはランチもお出ししています。

―庭が広いですね。

内野 疲れた方がゆったりと休んでいただければいいかなと。ナチュラルガーデンといいますか、自然な感じにしています。

             

―ガーデニングがお好きなのですか。

内野 草むしりが大好きです。

障害者施設で働く


―どうしてカフェベーカリーを開かれたのですか。

内野 パンが目的ではなく、発達障害など障害を持っている方の就労支援というか、働けるところがあればいいなと思い、始めました。

―障害者支援に関わろうとしたのはどうしてですか。

内野 息子も発達障害ですが、私は小さい頃から、養護施設などで働きたいと思っていました。高校の時一人で実習に行き、障害者施設に就職、その後も長い間保育士をしていまして、福祉問題にすごく興味がありました。

―就労支援の場ということですか。

内野 障害のある人が働くと言っても、急に働くのは難しいので、作業所とか中間のようなところで、何か支援ができないかと。行政では、なかなか細かいところまで手が届かないと思います。

―今障害者は。

内野 まだです。そこに行くには、経営の安定と、全部自分で把握しなければなりません

―息子さんは。

内野 息子は今北海道でデイケア(就労支援施設)に通っています。

発達障害の啓発週間に合わせアート展を開く


―障害者アート展というイベントを開いていたのですね

内野 4月2日が自閉症啓発デー、それから1週間が発達障害の啓発週間とされていますが、なかなか取り上げられません。少しでも知っていただこうと、その期間、障害者アート展という障害者が描かれた絵を展示するイベントを開きました。


―コンサートも。

内野 4月1日、2日は鼻笛奏者のモスリンさんをお招きし、コンサートを開きました。一般の方がいらっしゃるので、その時に「しゃべり場」ということで、障害者の生きづらさを一般の方にも理解していただくための場を設けました。

―展示する絵はどのように募集したのですか。

内野 東京・中野の中野サンプラザで障害者アート展があり、電話したら、埼玉に川口のみぬま福祉会・工房集という熱心なところがあると教えていただきました。そこに連絡したら、川越市立美術館で障害者アート展を開催しており、翌日、川越美術館と、川口の集さんに行って、計画を話したら協力してくれました。東松山のかうんと5という支援団体にも連絡してくれて、絵を集めて運んでいただきました。また、ある新聞が無料でチラシをまいてくれたり、いろいろな団体が協賛していただきました。

                

―出品した障害者にも励みになりますね。

内野 出品してくれた作家さんには手紙を書いて、フリマでの売り上げとかを作家さんに還元しようと考えています。障害のある方でも、自分のやったことがなにがしかの結果になれば、次への意欲につながるかもしれません。鳩山町の作家さんもチラシを見て出品してくれましたが、その方は都内で個展も開いている。剣道とかスポーツで大会に行けば町の広報に載りますが、障害者の芸術でも秀でたところがあればもっとクローズアップしてもよいのではないでしょうか。そうしたら、今はひっそり生きているご家族ももっと胸が張れます。


障害を理解することが必要


―今後の運営について。

内野 なかなかパンの売り上げだけではお給料を出すまではいかないのですが、ひきこもっている方がいつでも来てよいと行き場所にでもできたらと思います。

―イベントは。

内野 アート展は、今回初めてでしたが、次につながる結果で、来年からも4月2日前後の土日はやろうかと考えています。それ以外にも、社会的弱者のためのギャラリーとして、作品を飾る場所に使ってほしいと思います。


―障害者を支援するのに必要なことなことは何でしょうか。

内野 一般の方がわかってあげることです。たとえば音は、私たちは小さい音を捨てて必要な音だけを聞きます。バックに音楽が流れていても不快ではないです。しかし発達障害の過敏な人は、かすかな音まで全部拾ってしまい、地下鉄の下にいるような心境なのです。どういう気持ちがするのか、一般の方に知ってもらうこと。あの人たちはキョロキョロしているが、つらいからなんだとか、跳びはねているのが奇妙だという見方と、それはもしかして空に昇りたい幸福な行動なのかもとか。それをわかってあげることが一番大事です。中学校でそういう子がいたら、普通はいじめになるけれど、大変だろうと思えば、いじめにはならない。個性ととらえれば、いろいろな人がいるということになります。


―発達障害の方は隠れた能力を持つ人が多いと言います。

内野 そうです。アートにしても、工房集は、サポート事業で海外に販売もしています。アートの才能を生かせば、施設にいても、その人は収入を得ることができます。

退職金をはたいて起業


―内野さんはおいくつですか。

内野 68歳です。


60代で開業したわけですね。

内野 65歳近くでした。私は向こう見ずなんでしょうね。第2の人生はそっちでいいと思って、退職金を全部はたき、借金をして。

 しかし、縁があり支えてくださる方がたくさんいて、自分ができないところは協賛というか、こういうことをしたいのでご協力いただけませんかと言うと、ほぼ協力していただけました。一人の力ではとてもできませんが、SOSを打てるところには打つことで乗り切ってきました。


―課題は何ですか。

内野 健康でしょう。健康でないと、他人のことまで考えてあげられないし、SOSもできない。心と体の健康があれば、お金はなくても、何とかなります。

                         

                         (取材 2017年4月6日)

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