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外国人の自立を支援
ふじみの国際交流センター

(ふじみ野市上福岡)

日本で暮らす外国人が増えているが、まだまだ閉鎖性の残る日本社会で外国人が生活するのは容易でない。ふじみ野市上福岡を拠点とするNPO法人ふじみの国際交流センターは、外国人に対する悩みごと生活相談、日本語教室、情報誌の発行など、多様な支援活動を展開している。石井ナナヱ理事長にお聞きした。 

          

外国人を孤立させないように顔の見える関係に

―こちらではどのようなことをされているのですか。

 

石井 いろいろなことをやっていますが、大きく5つのことを。第1は、外国人の悩みごと・生活相談。第2に日本語教室、第3に子どもの学習指導「国際子どもクラブ」、第4に多言語情報誌の発行、それから5番目に国際交流(サロン、講座)。他は行政との協働によるまちづくり事業などです。今地域に住んでいる外国の方と顔の見える関係になって孤立させないようにする、円滑な社会生活が送れるようにする活動すべて。一番の目標は外国人の自立で、その支援のために何でもやりますというのが、センターの役割です。

―対象地域は。

石井 限っていませんが、ふじみ野市、富士見市、三芳町の行政から生活相談の業務委託を受けており、その地域の外国人はいつここへ来ても必ず誰かが相談に応じる、いつ電話がかかってきても必ず誰かが出ることにしています。しかし、業務委託はなくても、どこから相談が来ても乗っています。

―相談の内容は。困りごとなら何でもよいのですか。

石井 どこにいても、何でも構いません。別に悩んでいなくても、おしゃべりにきてくれてもよいです。結局目標は、外国人と顔の見える関係になる、孤立させないことですから。孤立すると、人間は寂しいから、事故や事件が起きる。だからお話をしに来る人もいるし、ご飯を食べに来る人もいるし、本当に悩んでくる人もいるし、翻訳・通訳の依頼に来る人もいます。

 

病院や学校への同行通訳

―通訳はどういう場面で。

石井 同行通訳です。たとえば病院。日本語のわからない患者は断る病院がたくさんあるので一緒に行って通訳する。あるいは学校で進路相談がある時に親と子どもと先生の間に入って、先生の伝えたいことを伝えたり。市役所、税務署もあるしいろいろなところに行きます。さきほど来た方は、最近引っ越してきたが、外国人登録をしなければならず、できれば国民健康保険に入りたいということで、スタッフが一緒に市役所へ行っています。

外国人30名、日本人40名のスタッフ

―スタッフはどのくらい。

石井 30人の外国人スタッフ、40人の日本人スタッフがいます。毎日交代でスタンバイして、年約2500人の方が来られますのでその対応をします。

          

―外国人スタッフはどの国の人ですか。

石井 常時スタンバイしているのは英語、中国語、韓国語、フィリッピン語ぐらいですが、あとは登録スタッフが何かあったら来てくれます。

―日本人は語学対応は。

石井 日本人は語学は関係ありません。原則、やさしい日本語で対応します。文房具というとわからないが、エンピツならわかります。家具というとわからないが、タンス、ツクエ、イスならわかる。やさしい方の日本語なら通じることが多い。それでダメなら、外国人スタッフに頼みます。

医療、家族、教育、言語などあらゆる相談が

―生活相談の内容はどのような。

石井 医療、家族、教育、言語などいろいろあります。医療なら、一緒に病院に行ってとか、ご主人がうつ病になった、家族なら離婚したい、夫婦間のトラブル、子どもが学校でいじめられる、教育や言語ではやはり学校や行政からの手紙が読めないという相談が多い。日本語を教えて、市役所から書類が来ているけれど書けないから書いて、税金の話、入管関係でビザの書き換えで一緒に行くこともあるし、住まいのことで外国人に家を貸したがらない不動産屋さんはたくさんあるのでお願いしたり。あとは生活が多い。旦那さんが働けなくなって生活費が足りないからどうしようとか、隣近所が誰も話をしてくれないとか、病気になってお医者さんに行ったら風邪薬2週間もらって2万円、国民健康保険に入っていない、それじゃ入ろうと市役所に一緒に手続きに行ったり。仕事のことで、最近は労働災害の相談もすごく増えています。やはり言葉があまりできなくても外国人スタッフがいるので安心して相談ができる。私たちは素人ですが、いつも勉強しながら正しい情報が提供できるように努めています。

―日本語教室は。

石井 日本語教室は毎週木曜日にここで。大勢来られます。午前中が日本語教室、午後がパソコン教室。

多言語情報誌「インフォメーションふじみの」

―情報誌とは。

石井 多言語情報誌「インフォメーションふじみの」は2ヶ月に1回出しています。無料です。日本にいる外国人に知らせたい情報や地域の公的情報・生活情報を7か国語に翻訳、県内の市役所、図書館、公民館に置いている。あとはホームページに載せて年45万件ほどアクセスがあります。必要な情報は全国共通です。

          

―国際交流の事業とは。

石井 国際交流のための講座やサロンを開きます。先週日曜にやったのはフィリッピンカフェ。外国人と日本人が交流できる場です。

―国際子どもクラブとは。

石井 土曜日に子どもが勉強に来ています。親が日本語の指導をできないので、日本語と学習の支援を。たとえば中国人同士の子なら親が日本語を教えられない。あとは日本人と結婚しても離婚するケースがあり、日本語をできない親に育てられている子どもは多い。

原則無料のサービス、スタッフはボランティア

―外国人から料金は取らないのですね。

石井 生活相談、日本語の教室、子どもの勉強など全部無料です。お金を取るのは通訳・翻訳だけです。翻訳してくれた方に払わなくてはいけない。翻訳は1枚2000円。同行通訳は半日5000円ですが、今年は12月までは助成をいただき無料です。

―スタッフの謝礼は。

石井 全部ボランティアです。行政からの業務委託で家賃相当分くらいの経費はいただいていますが、家賃から電気代、ガス代、備品などにお金がかかり、お金が謝金に回らない。どこかから事業委託をいただくと、その時だけは少しは払えますが。

―歴史は。

石井 国際交流センターは1997年に設立しました。2000年にNPOになり、今は認定特定NPOですので寄付していただけば税控除を受けられます。

日本語教室から始まる

―それまでは。

石井 それまで8年間日本語教室をやっていました。日本語を教えているだけではダメだな、24時間、365日、外国人と交流できる場所が必要だと思って、97年にここを立ち上げました。場所もあちこち移動して、今ここは5ヵ所目です。今までの23年間を振り返り、最近冊子にまとめました(「毎日が波乱万丈」)。

         

―石井さんが外国人に関わるようになったきっかけは。

石井 自分は高校しか出ていないので、子どもたちに大学に行ってもらったり、自分ができなかった夢で外国へ行ってもらったりしていたんですけれど、外国に行った子供たちがどこの国に行っても外国の方に親切にしてもらうと聞いて、それでは私は日本に住んでいる外国人に何かできないかと思って日本語教室を始めました。

―仕事は別にされていたのですか。

石井 学習塾をやっていました。すごく数学が好きで、小学館の数学の塾の講師の資格を取りました。数学教室をやりながら、ボランティアで日本語教室をしていました。言い出しっぺがお金を払うからと、ボランティアを募集して。でも3,4年したら言い出しっぺだけが家賃を払うのは大変だから、スタッフの人たちが払ってくれるようになり、4年目くらいから行政から生活相談の業務委託をいただけるようになったので。今はその言い出しっぺが、特別に払うことはないですが、少し寄付をしています。

民営でこれだけ多様な支援を行っているところは少ない

―活動が拡大されていますね。

石井 そうですね。生活相談だけでも、今年は少なかったですが、いつも500から600件あります。

―これだけの規模で外国人向け支援をしている施設は他にあるのでしょうか。

石井 日本語を教えているところは県内に220ヵ所もありますが、生活相談、子どもの学習、交流までやっているところは、全国でも数ヵ所かと思います。うちは外国人の村役場みたいに全部やっているわけですから、あまりありません。それと行政がお金を出している施設はありますが。民設民営はもっと少ない。

入管法改正で世の中の外国人への関心強まる

―日本にいる外国人の実態は。

石井 今年の4月に入管法(出入国管理及び難民認定法)が改正となり、それからだいぶ世の中が外国人に対し関心を持ってくれるようになりました。私は昭和60年くらいから外国人に関わっていますが、今までは、外国人は好きで勝手に日本に来たんでしょみたいな考え方でしたが、年々、特に今年4月以降、入管法が変わってから世の中が変わってきたことは確かです。でもまだまだ外国人は市民権を得ていない。障害者や高齢者に対する厚い施策に比べると、外国人は市民権を得ていないという気はしますが。

―日本人の意識が変わったということですか。

石井 関心が変わってきた。ただ、そのために何かをやるというところまでは行っていない。これからかな。

外国籍の子にも義務教育を

―具体的な制度面で要望は。

石井 外国籍の子どもは就学の義務がない。今外国人の子どもがたくさん日本に入ってきたり、国際結婚で外国人の子どもが生まれたりしていますが、外国籍の子どもは就学の義務がない。文部大臣にしても知事にしても教育長にしても校長にしても、学齢の子どもが街にたむろしていても関係ない。日本の子どもなら学校へ行きなさいとか補導するとかありますが、外国籍に対してはそれがないのが一番の課題でしょうか。

 また、日本語を教えてくれる制度がない。知り合いによると、イギリスやオーストラリア、カナダなどは外国人が来て言葉がわからないと無料で教えてくれる制度がある。オーストラリアなら英語ができて日本語ができるならこういう仕事があるよと政府から連絡が入るらしい。そういう第二言語としての日本語を教えてくれる制度がない。よく議員さんにも頼みにいくんですが、外国人は選挙権がないので投票につながらないのでと言われて。生かすも殺すも日本人の対応次第だと思います。日本語がわかるようになって、日本語で意思が伝えられるよういなれば、彼らはもっといきいきと生活できるのではないか。納税の義務はあるわけですから、権利みたいなものがもっとできてくればいいなと。

         
                           石井理事長

        (取材201912月)

 ふじみの国際交流センターホームページ