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極上の「スペシャルティコーヒー」 珈琲えぽっく(朝霞市)

朝霞市本町の裏通りにある珈琲えぽっくは、極上の「スペシャルティコーヒー」を提供するこだわりの店だ。店主の吉岡修さんにお聞きした。

2001年に開業、13年に移転

―このお店はいつから。

吉岡 2001年にオープンしました。最初は同じ本町2丁目ですが、もっと駅に近く、2013年の1月に現在の場所に移転しました。

―お店で自家焙煎し、豆の販売と喫茶店もされている。

吉岡 最初は豆の販売だけをやろうと思ったんですが、スペースがあったので。

―どのようなコーヒーを扱っているのですか。

吉岡 いわゆるスペシャルティ―コーヒーだけです。

―スペシャルティコーヒーとはどういうものですか。

吉岡 私は、SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)のカッピングフォームに沿って、甘みとか酸味、コク(ボディ)など10項目で100点満点の点数をつけて、80点以上をスペシャルティコーヒーとしています。SCAA認定の審査員は各国にいます。

―豆を審査するのですか。

吉岡 生豆です。それをいかに焙煎するかはそれぞれです。

―単位は。

吉岡 毎年、ロットごとに審査します。世界のスペシャルティコーヒーと言われているのは全収量の5%ほどです。

―ブルーマウンテンのような高級ブランドはどうなんですか。

吉岡 今はブルーマウンテンといってもあまり評価されていないんです。日本だけですね。ブランド志向も若干はありますが。ケニアは特徴としてケニアフレーバーがあり、ヨーロッパで人気が高い。最近出てきたパナマのゲイシャ種、特にエスメラダ農園のは値段が高いです。

コスタリカ産は非常に面白い

―スペシャリティだけを扱っているのですか。

吉岡 そうです。LCFというグループがあり、そこを通しています。こだわっているのは、ニュークロップ(新豆)です。水分値が高く枯れていない。だから火力も少し強めにして焙煎します。

―吉岡さんとしてはどういうコーヒーを求めているのですか。

吉岡 これは1回だけあったんですが、香りがシナモン風、果実系。そしてなめらかなコクがある。ケニア産でたまたま時間の経過等とタイミングがよかったのでしょう。その後も近いのはありますが。

―主な産地は。

吉岡 アフリカから中米、南米。アフリカでは、エチオピアとケニアははずせません。アジアではインドネシアのスマトラ。中米では、ガテマラ、エルサドバトル。最近ではコスタリカが非常に面白い。

―コスタリカはどのような。

吉岡 コスタリカは、マイクロロットと言って少量生産。たくさん作らない。2000mの高地で挑戦的なことをやっている。今までなかったキレがあります。

―コスタリカはブランド名は。

吉岡 コスタリカのスペシャルティコーヒーは「ブティックコーヒー」と呼んで出してきました。

―販売は産地単位ではないのですね。

吉岡 農園や農協の名前で置いています。混ぜない。混ざると特徴が失われますので。

―価格も高い。

吉岡 生豆は普通のコーヒーの数倍しますが、変動は少ないです。うちではそんなに高くつけているわけではありません。販売は200gで900円から、100gで450円から。喫茶では、ストレートは500円で統一しています。ブレンドは3種あり、エポック、マイルド、深煎りが400円です。

脱サラ喫茶店

―どうして朝霞に。

吉岡 生まれは長崎県島原半島ですが、今の住まいは朝霞です。

―喫茶店を開く前は。

吉岡 サラリーマンだったんですが、希望退職に応募して辞めたんです。喫茶店をやるつもりはなかったんですが、50を過ぎていましたから、いろいろ職を探して、どうしようかとふらふらしていたら、たまたまこういうコーヒーとめぐり合って、そこからのめりこんだんです。コーヒーは好きだったんですが、こういうコーヒーは知らなかった。

―こういうコーヒーとは。

吉岡 スペシャルティコーヒーです。今は氾濫していますが、その頃はまだあまり広まっていなかったんです。

―どのようにめぐり合ったのですか。

吉岡 最初は本です。東京・千歳船橋の堀口俊英氏の著書。それからセミナーに行って勉強した。

―いけると思ったわけですか。

吉岡 いけるというより、とりこになったんです。全然違っていましたから。おおげさに言うとカルチャーショックです。これが悲劇の始まりでした。

―コーヒーについては自信ができましたか。

吉岡 コーヒーの世界は未知の分野が多く、まだまだ自信はないです。また、農作物ですので毎年変わるので、その中で何をと言われると困るんです。いろんなものを経験しているということはあるでしょうが。

―周りに大手の珈琲店も増えましたが、これだけこだわっている店は少ないのでは。

吉岡 今は、スペシャルティコーヒーもある程度、氾濫しているような感じです。大手も出てきています。ただ、自分の行き方とは別なので、気にしていません。

―自分の行き方とは。

吉岡 コーヒーの特徴ですね。 それも年によって変わるのですが。ケニアならケニアフレーバーがあり、それをしっかりとらえる。なるべくそういう売り方をしたいと考えています。

コーヒーカップにもこだわり、土を活かした民芸調が好み

―コーヒーカップにもこっている。

吉岡 最初は合羽橋から入れていたのですが、面白くありません。元々やきものには興味がありました。市内の丸沼芸術の森の陶芸家が教室の講師をされていて、お願いして青白磁のカップを作っていただいたのが最初です。25客ほどあったのですが、ほとんど割ってしまいました。その後も、専門店やネットなどで気に入ったものがあれば入れています。

―今カップ何客くらいありますか。

吉岡 今40客くらいでしょうか。だいぶ割りました。

―洗う時に割るのですか。

吉岡 そうです。最近は慣れてきてほとんど割らなくなりました。

―好きな作品は。

吉岡 特に惹かれるのが土を活かした民芸的なもの。土そのものの味が面白いなと。ただ、コーヒーカップにはちょっと合わないのですが。

いろいろなコーヒーに出会える

―脱サラして喫茶店をやってみていかがですか。

吉岡 利益はないです。私のやり方でテナント料を払いながら利益を出すのは無理です。

―それでも続けておられる。

吉岡 もうすぐ19年ですけど、やっているといろいろなコーヒーに出会える。最初に出会ったコーヒーと今は違う。それと、喫茶でいろいろ個性的な人が集まります。人間模様みたいなものを感じて、それはそれで面白い。私は接客が下手ですが、下手だから面白い面もあります。

(珈琲えぽっく 朝霞市本町2-10-43 048-468-1786)

(本記事は、「東上沿線物語」第30号=2010年7・8月の記事に2020年10月の取材を加えて作成しました)

 

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