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障害者が絵で生計を立てる道を
あいアイ美術館(川越)

 
 川越にあるあいアイ美術館(NPO法人あいアイ運営)は、障害者に絵画など創作活動を学ぶ場を提供している。絵で生計を立てられるようになった人も多く出ている。そこで学ぶ4名の障害者の作品展「狭山の小さな画伯たち」が狭山市立博物館で開かれている(8月13日まで)。粟田千恵子理事長・館長にお話をうかがった。
 

  
               
                           「狭山の小さな画伯たち」展

東京・北区には就労支援事業所


-あいアイ美術館は、どのような活動をされているのですか。

粟田 川越を拠点に、障害者が創作活動を学び、作品を展示する「あいアイ美術館」を 、東京都北区では就労支援B型事業所を運営しています。また他に、港区、練馬区、狭山市では、講師を派遣して絵画教室も開いています。


-障害者に絵を教えるということですか。

粟田 一から教えます。その子の既成概念をぶちこわすところからやっています。

-粟田さんが直接指導されるのですか。

粟田 私が指導する講座は月2回。多摩美や芸大の学生さんに手伝ってもらっている日もあります。

 知的障害の子ともう50年描いていますから、どっちが先生かわからない。彼らの方がずっと発想は面白いです。一緒に描かせてもらっていると、私自身が非常に楽しい。

                
                                須賀大介さん 「だるま」


3歳から60代まで100名以上

-どのくらいの方が来られているのですか。

粟田 今、知的障害、精神障害含め、3歳から60代まで100人以上の方がいます。絵が好きで、絵を大事にする人ならだれでもOKです。元々は知的障害が中心でしたが、今は精神障害の方が非常に増えています。ものすごい増加です。

-あいアイに来る人は別の障害者施設に入所されているわけですか。

粟田 そういう子もいますし、最初からうちに就労支援で入る子もいます。

              
                         鹿熊美佐子さん「赤ずきんちゃん」 

-教えているのは絵だけですか。

粟田 個人によっていろいろです。油彩、日本画、時には版画、書の場合もあります。


-教え方に特徴が。

粟田 100人いれば100通りやり方が違います。こっちの子には、「もう少していねいに塗りましょうね」。こっちは、「もっと元気にはみ出ることを気にしないで」。また、みんな相棒を作ってやっています。友達が友達を教える。コンビで絵を描く。お互いを教え合う。

企業に就職した例


-絵を習う目的は何でしょうか。

粟田 2つあります。1つは障害・病気の癒し。もう1つは社会的自立です。際コーポレーション(本社東京)という会社がありまして、絵描きとして雇ってくれます。際に勤めただけで延べ20名ほど。メニューとか部屋に飾る絵を製作したりする仕事です。大卒と同じ給料をいただき、20年続いている子もいます。そういう会社をたくさん見つけてきまして、就職させるわけです。

                
                  岩崎喜裕さん 「川越時の鐘」 

-障害者が絵で働けるということですね。

粟田 絵を描く能力はあるんです。異常な部分がすごく面白い。絵は面白いが、人間対応ができないのが問題ですが。


-際コーポレーション以外でも就職例があるのですか。

粟田 何社かあります。社員としては雇えないが、このパッケージを作ってくださいとか、このデザインをしてくださいとか。というケースも。(今回狭山市立博物館に出品している)「時の鐘」は知事さんが名刺に使いますと言ってくれました。絵描きになった子もいます。

-障害や病気が治る効果がありますか。

粟田 知的障害は治りません。精神障害も完全に治るということはないですね。ただ、障害が弱まることはあります。


  増加する精神障害者


-今後の課題は何ですか。

粟田 この2年ほど、精神障害の方がすごく増えて、毎日精神障害の人に会っています。子供ではなく、社会人になって、周りとお付き合いができない、会社に通えなくなったという方。だから30過ぎ、40代、50代の人が多いです。プライドが高く、社会とはうまくいかない。そういうタイプが圧倒的に多い。精神障害は、本当にわからない時があります。


-知的障害の人と精神障害の人は違うのですか。

粟田 絵も見ただけで大きな違いがあります。知的障害の人は、見る目が面白い。雑草を描いても、ダンゴムシを描いている。画面にダンゴムシがいっぱい。精神の人にそういう発想はない。でも、頭もいいし、絵も理解してくれる。描写力はすごく持っています。

-知的障害者と精神障害者を一緒に教えるのですか。

粟田 教室で、精神障害者と知的障害者を合体させて3年目になります。精神の人が知的の人のめんどうをみてくれるようになってきました。そしたらよくなってきました。だから、今、精神と知的を一生懸命コンビネーションしています。精神障害の人と知的障害の人がうまく融合してくれるといいですね。絵を介して友達になってくれれば。
 

               
                     
                                  粟田さん

-粟田さんはおいくつですか。

粟田 1942年生まれ。75歳です。

-神職とお聞きしましたが。

粟田 熱田神宮の7つある社家の1家、粟田家の21代目にあたります。結婚して「林」になったのですが、女系でも跡を継げるということで旧姓に戻しました。

-障害者問題に関わるきっかけは。

粟田 妹の死が一つあります。小学校1年の時、はしかで亡くなった。それで大学の時、知的障害の子のところに家庭教師に行き、その子をあずかりました。

-川越にはいつから。

栗田 最初はずっと港区で活動していましたが、20年ほど前、岩崎君というよくできる子が川越に引っ越したので私もついてきました。この子は絵がうまく、あの先生のところに行くと絵がうまくなると評判になり、川越に根を張るようになりました。

     あいアイ美術館ホームページ  http://www.aiai-art.jp/

 
   狭山市立博物館で開催中の「狭山の小さな画伯たち~アウトサイダー・アート展」は、狭山市在住であいアイ美術館に通う4名(須賀大介さん、鹿熊美佐子さん、藤島可苗さん、田端翔馬さん)の作品を中心に展示している。
 

 (狭山市立博物館、月曜休館、ホームページ http://sayama-city-museum.com/

                                       (取材 2017年8月)